社会保険とは?医療、介護、雇用などわたしたちを守る制度について
再就職手当とは?受給金額の計算方法や受給条件、メリットやデメリットについても解説
雇用保険から支給される手当金のひとつに「再就職手当」があります。失業中の方の再就職が決まった際に受け取れるお祝い金のようなものですが、誰でも受給できるわけではなく、一定の条件を満たす必要があります。
また、同じく雇用保険から支給される「失業保険」(正式名称は「基本手当」)とは別物のため、それぞれの違いを理解しておくと良いでしょう。
ここでは、再就職手当の受給金額の計算方法や受給条件、受け取る際のメリット・デメリットなどを解説します。
- 再就職手当とは?
- 再就職手当と失業保険は何が違う?
- 再就職手当はいくらもらえる?
- 再就職手当の受給条件
- 再就職手当のメリット
- 再就職手当のデメリット
- 再就職するまでの間に貯蓄があることが大切
- 再就職手当の受給要件や金額を知って上手に活用しよう
- 手当が入るまでの間にお金が必要な場合はクレジットカードの活用を
再就職手当とは?
再就職手当とは、雇用保険の受給資格のある方が、早期に職業に就いたり事業を開始したりする場合に支給される手当金です。より早期の再就職を促すための制度であり、早く就職または開業するほど支給額が高くなります。
ただし、受給できるのは所定の条件をすべて満たした方のみです。詳しい条件は後ほど解説します。
再就職手当と失業保険は何が違う?
失業中にハローワークで所定の手続きをすることで支給されるものに、失業保険(正式名称は「基本手当」)があります。再就職手当・失業保険ともに失業中に受給できますが、両者の支給目的は異なります。
失業保険は、失業中の生活の安定を図りつつ、求職活動をスムーズにすすめるための支援が目的です。
失業中は収入が途絶えるため、生活費の工面などに多くの時間とエネルギーを費やし、就職活動に専念しにくいケースがあります。こうした事態を避けて、求職者の生活を安定させ、就職活動に専念しやすくさせることが主な目的です。
一方、再就職手当は早期の再就職や事業の開始を促すことを目的とした制度です。早期に就職するほど支給額が高くなる再就職手当は、失業者に再就職への意欲を上げる効果もあるでしょう。
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再就職手当はいくらもらえる?
再就職手当は、再就職する日の前日までの「失業保険」(正式名称は「基本手当」)の所定給付日数 により、以下のように給付率が異なります。
基本手当の所定給付日数 | 給付率 |
3分の2以上残して就職した場合 | 基本手当の支給 残日数の70%の額 |
3分の1以上残して就職した場合 | 基本手当の支給 残日数の60%の額 |
この給付率をもとに、次の計算式で求めます。
※再就職手当・就業促進定着手当・常用就職支度手当の算定における 基本手当日額には上限あり
- 離職時年齢60歳未満:6,290円
- 離職時年齢60歳以上65歳未満:5,085円
(令和6年7月31日までの額)
基本手当日額とは、雇用保険で受給できる1日当たりの金額です。原則として 離職日の直前6カ月に定期的に支払われた賃金の合計を、180で割った金額のおよそ50~80%(60~64歳については45~80%)です。
金額の計算方法
具体例を用いて、実際に再就職手当の金額をシミュレーションしてみましょう。
基本手当日額が5,000円、所定給付日数が90日の方が、以下のそれぞれのタイミングで再就職した場合の再就職手当を計算します。
- 給付制限期間中
- 雇用保険(基本手当)の受給手続日以降40日目
給付制限期間中
給付制限期間中とは、雇用保険(基本手当)の受給手続日から原則として7日経過した日の翌日から2カ月間、雇用保険(基本手当)を受けられない期間をいいます。退職理由が正当な理由のない自己都合による離職等による人が受ける制限期間です。
このケースでは、所定給付日数が90日で給付制限期間中に再就職が決まったため、基本手当の支給残日数は90日になります。3分の2(60日)以上残して就職したため、支給率は70%です。
したがって、再就職手当として31万5,000円が支給されます。
雇用保険(基本手当)の受給手続日以降40日目
雇用保険(基本手当)の受給手続日以降40日目に再就職した場合、支払残日数は50日です。3分の2の日数(60日)より少ないため、支給率は60%になります。
したがって、再就職手当として15万円が支給されます。
このように、受給開始日から早期に再就職した場合ほど、再就職手当の支給額は高くなります。
再就職手当の受給条件
再就職手当を受けるには、次の8つの条件をすべて満たす必要があります。
- 待機期間満了後に就職または事業を開始した
- 支払残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
- 離職した会社と関係のない会社に就職した
- 待機期間満了後の1カ月間に就職した場合は、ハローワークや職業紹介事業者の紹介によるものである(給付制限がある方)
- 就職先で確実に1年を超えて勤務できる
- 原則として雇用保険の被保険者である
- 過去3年以内で、再就職手当や常用就職支度手当を受給していない
- 受給資格決定前から内定が決まっていた会社に再就職するものではない
ひとつずつ具体的に解説します。
待機期間満了後に就職または事業を開始した
基本手当の受給手続きをすると、7日間の待機期間があります。その間に就職したり事業を開始したりした場合は支給対象外になります。
支払残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
再就職手当の支給は、支給残日数が所定給付日数の3分の1より少ない場合は受給できません。
離職した会社と関係のない会社に就職した
離職した会社に再雇用される場合は支給対象外です。また、離職した会社と密接な関わりがある会社への就職も対象外となります。
待機期間満了後の1カ月間に就職した場合は、ハローワークや職業紹介事業者の紹介によるものである(給付制限がある方)
自己都合退職をしたなど給付制限がある方で、待機期間後1カ月以内に就職した場合は、ハローワークや職業紹介事業者の紹介により就職していなければ支給の対象にはなりません。
就職先で確実に1年を超えて勤務できる
再就職先の勤務期間が1年以下の短期契約の場合は支給対象外です。ただし、契約更新の見込みがあれば支給対象になります。
原則として雇用保険の被保険者である
再就職手当は雇用保険の就職促進給付であるため、原則として雇用保険の被保険者になっていることが条件です。
過去3年内で、再就職手当や常用就職支度手当を受給していない
過去3年以内で、再就職手当や常用就職支度手当、事業開始における再就職手当を受け取っている場合は支給対象外です。
受給資格決定前から内定が決まっていた会社に再就職するものではない
基本手当の申請をする前に、すでに採用の内定を得ていた会社に就職する場合は支給されません。
再就職手当のメリット
再就職手当は、失業中の方の再就職が決まった際に受け取れるお祝い金のようなものであり、ほかにもさまざまなメリットがあります。
失業期間を短期間化できる
再就職手当は、基本手当の申請後から早期に再就職するほど多くの金額が受け取れるため、再就職への意欲を促す効果があるでしょう。
再就職手当は非課税
再就職手当には税金がかからないため、再就職先の年末調整や確定申告などは不要です。
ただし、配偶者や家族の扶養に入るためには、受給見込み額が130万円未満である必要があります。
再就職手当と給与により収入が安定する
早期に再就職すると再就職手当金を受け取れるうえに、再就職先からの給与も得られます。
再就職手当のデメリット
再就職手当を受給する際のデメリットも確認しましょう。
失業保険はストップされる
基本手当を受給していた方の再就職が決まり手当金を受け取った場合、基本手当はストップされます。
希望どおりの再就職先に就職できない可能性がある
再就職手当は受給できる期間が限られるため、手当金をもらおうとするあまり、焦って再就職先を決めてしまう可能性があります。理想とする職業が別にあるにもかかわらず、手当金を受け取るために自分が納得しない会社への就職を決めてしまうかもしれません。
再就職手当はあくまでもお祝い金と捉えて、焦らず自分にあった再就職先を選びましょう。
再就職するまでの間に貯蓄があることが大切
離職する際は、再就職するまでの生活費などをカバーするための貯蓄が大切です。
基本手当は、7日間の待機期間があり、自己都合退職の場合にはさらに2カ月の給付制限が設けられています。なお、直近5年間において3回以上の自己都合退職をした場合、給付制限は3カ月間になります。
その間は基本手当が受け取れないため、収入が途絶えてしまいます。
また、基本手当として受け取れる金額は離職前の給与よりも少なくなるため、それだけでは生活費をカバーできないことも考えられます。そのため、不足分を貯蓄で備えておく必要があるでしょう。
再就職手当の受給要件や金額を知って上手に活用しよう
再就職手当は、求職中の方が再就職や事業を開始した場合に支給されるものです。再就職を促す目的があるため、早期に再就職や事業開始をするほど支給額は高くなります。
ただし、受給できるのは条件に該当する方のみで、支払期間も限られています。再就職手当を受給希望する方は、条件やタイミングなどを理解したうえで計画的に就職活動を進めるようにしましょう。
手当が入るまでの間にお金が必要な場合はクレジットカードの活用を
失業保険や再就職手当を受け取るまでにお金が必要になることもあるかと思います。そんな時はクレジットカードを上手に活用しましょう。
クレジットカードのメリット
クレジットカードは支払いをした翌月以降に引き落としがあるため、現金の持ちあわせがなくても代金の支払いができます。コンビニやスーパーなどでの支払いや、インターネットショッピングでの支払いが可能です。
利用明細書には利用日と金額が記載されるため、家計簿代わりにすることで計画的なお金の管理にも役立つでしょう。
また、利用金額ごとにポイントが進呈されるクレジットカードなら、貯めたポイントを利用金額に充てたり好きな商品と交換したりできる場合があります。
クレジットカードのキャッシングという選択肢
クレジットカードにキャッシング枠が付帯されていれば、キャッシングによる現金の引き出しもできます。クレジットカードには買い物代金の支払いに利用できる「ショッピング枠」と、お金の借り入れ ができる「キャッシング枠」があります。
キャッシング枠はカード申込時に申し込むほか、後から追加で申し込みも可能です。すでにキャッシング枠が付帯していれば、利用可能枠内ですぐに借り入れできます。
コンビニや金融機関などのATMから現金を引き出せるほか、口座への振り込みでのキャッシングも可能です。
万が一の場合に備えてクレジットカードを申し込むなら、ぜひ楽天カードをご検討ください。
※この記事は2024年5月時点の情報をもとに作成しております。
このテーマに関する気になるポイント!
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再就職手当って何?
再就職手当とは、雇用保険の受給資格のある方が、早期に安定した職業に就いたり事業を開始したりする場合に支給される手当金です。
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再就職手当と失業保険は何が違うの?
失業保険(正式名称は「基本手当」)は失業中の収入の補填を目的としている一方、再就職手当は再就職を促すことを目的にしています。
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再就職手当はいくらもらえる?
基本手当の支給残日数によって給付率が異なります。「基本手当日額×支払残日数×70%(または60%)」で計算します。
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再就職手当をもらう際のデメリットは?
再就職手当を受け取ると基本手当はストップします。また、手当金を受け取りたいがために、焦って自分が納得しない会社への就職を決めないよう注意しましょう 。
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失業保険は失業中の収入の補填が目的だけど、再就職手当は再就職を促すことを目的にしているのね。