Question
保険の整理について
・若かりし頃に一人暮らしで病気になって困らないように医療保険に加入(掛け捨て 20代前半~)
・結婚後、養老保険に加入(運用型 30代前半~)
・結婚10年後、がん保険に加入(掛け捨て 40代前半~)
年齢:40代
未既婚:既婚
子ども:なし
職業:会社員
世帯年収:1,000万円~1,200万円未満
ペンネーム:紅緒
保険を解約してから、続けておけば良かったと思うケースで多いものは貯蓄性の高い保険を解約したケースでよく見られます。特に1999年以前に加入した保険の場合は、お宝保険と呼ばれることもあり、解約をしない方が良いケースが多いです。
保険は、「貯蓄や社会保障ではまかなえない、起こる確率は低いものの起こったときに経済的な損失が大きな事象」に対して必要な分だけ”保障”のために加入するという選択が合理的です。保険で”貯蓄”をしようとしても、どうしても”保障”が含まれるため、保険料のすべてが貯蓄や運用に回りません。そのため、貯蓄や運用をするならば、直接金融商品を購入し、保障を得たいなら保険を検討するのが定石です。
しかし、いったん加入している保険においては貯蓄型を解約すると損になることが多いです。お伝えしたとおり、保険料のすべては貯蓄や運用に回りませんが、長い契約期間を経てその間に運用をすることで、払込保険料の総額を上回る解約返戻金を支払う商品設計になっているものは多いからです。そのため、保険で貯蓄を行う場合は、「解約せずに最後までかけ続けられる金額を」というのも1つの目安になるかもしれません。
紅緒さんの加入されている保険で気にするポイントを整理してみます。
医療保険:現在一定の預貯金があり、高額療養費制度などを利用することで有事の際に対応できるのであれば、継続する必要性は低いです。掛け捨ての保険なので、これまでかけてきた保険料は、これまでに病気をした場合に保険金が受け取れるように備えて”おいた”過去の費用であり、解約した途端に病気になったとしても、本来もらえるはずだった保険金がもらえなくなった、と考えるべきものではありません。
養老保険:貯蓄性を求めた保険商品なので、冒頭のルールに基づいて解約は慎重に検討する必要がある商品と考えられます。
がん保険:がんの治療は複数回繰り返すことや長期的に医療費がかさむケースが多いため、加入を続ける選択も有効です。給付回数の上限を確認したり、診断だけ、通院治療だけでも保険金がおりるのか等、確認しておくのが良いですね。
医療保険にも共通することですが、今現在は経済力があり、リタイア後の経済力に自信がない場合などは、保険期間を掛け捨てではなく終身にし、保険料の支払い期間は60歳や65歳などの払い済みにするという選択もあります(商品によって選べることと選べないことがあります)。この場合、保険料は高くなりますが、貯蓄をするという考えではなく、年齢を重ね収入が減った時に高額な医療費がかさむ事態に”備える”、”保障”の役割を期待して選ぶことになります。
保険に求める効能が、保障なのか、貯蓄なのかを整理して検討するのがおすすめです。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳のとき、貯蓄80万円でマンションを衝動買いしたことをきっかけに、お金の勉強を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し賃料収入を得ている。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか(祥伝社)』、『ほったらかしでもなぜか貯まる!(主婦の友社)#なぜたま!』などがある。