貯金500万円は多い?少ない?年代別・年収別・世帯別の平均をチェック!
貯金500万円が一般的に多いのか少ないのか、気になる人は多いでしょう。金融広報中央委員会の調査によると、令和5年の全世帯における預貯金残高の平均は511万円です。ただし、貯金額は年代や年収、世帯構成などによって大きく異なり、貯金以外の方法で資産形成をしている人もいます。
ここでは、ケースごとの平均預貯金額や500万円を貯めるコツなどを詳しく解説し、あわせてNISAやiDeCoなどの資産形成方法も紹介します。
貯金500万円は多い?少ない?
上述のとおり、金融広報中央委員会が毎年公表している「家計の金融行動における世論調査」では、令和5年の全世帯における預貯金残高の平均は511万円 でした。全体的に見ると「貯金500万円」は平均的な数字であるともとらえられます。しかし、貯金500万円が多いのか少ないのかは、年代や年収、世帯構成などによって変わってくるでしょう。
以下で、令和5年の「家計の金融行動における世論調査」の結果を元に、ケース別に預貯金額や金融資産額の平均値・中央値を見ていきましょう。
年代別の預貯金額
まずは、年代別で見た平均預貯金額と、預貯金以外も含めた金融資産の平均値・中央値を下の表に載せています。
平均値(データの合計をデータの個数で割って得られる値)は一部の富裕層によって数字が引き上げられる傾向にあるため、一般的な収入での目安が知りたい場合は中央値(データを大きさの順に並べ替えたとき、ちょうど順番が真ん中になる値)を参考にすると良いでしょう。
令和5年の年代別 平均預貯金額と金融資産の保有額 (※)
年代 | 平均預貯金額 | 預貯金以外も含めた金融資産 | |
平均値 | 中央値 | ||
20歳代 | 75万円 | 151万円 | 10万円 |
30歳代 | 287万円 | 599万円 | 130万円 |
40歳代 | 340万円 | 811万円 | 180万円 |
50歳代 | 482万円 | 1,212万円 | 200万円 |
60歳代 | 812万円 | 1,862万円 | 530万円 |
70歳代 | 742万円 | 1,683万円 | 650万円 |
※金融資産非保有世帯を含みます。
年代別の平均預貯金額を見ると、60歳代以降で預貯金の平均が大幅に増え、800万円を超えています。
預貯金以外の金融資産も含めると、20代の平均保有額は151万円です。年齢を重ねるにつれて金融資産は増え、50歳代で1,000万円を超えていますが、70代になるとその平均が減少しています。
一方で中央値にも注目してみると、20歳代の金融資産保有額は10万円、30歳代でも130万円です。500万円を超えるのは60歳代以降となっています。
住宅ローンや教育費など、大きな出費が重なりやすい30歳代から50歳代で預貯金額があまり伸びていないのも、納得できるのではないでしょうか。収入は低くても支出をコントロールしやすい20歳代のうちから、貯金や資産形成に対する意識を持つことが大切です。
年収別の預貯金額
年収別で見た平均預貯金額と、預貯金以外も含めた金融資産の平均値・中央値は以下のとおりです。
令和5年の年収別 平均預貯金額と金融資産の保有額 (※)
年収 | 平均預貯金額 | 預貯金以外も含めた金融資産 | |
平均値 | 中央値 | ||
収入なし | 169万円 | 321万円 | 0万円 |
300万円未満 | 323万円 | 645万円 | 50万円 |
300~500万円未満 | 443万円 | 1,041万円 | 230万円 |
500~750万円未満 | 558万円 | 1,293万円 | 451万円 |
750~1,000万円未満 | 753万円 | 1,795万円 | 900万円 |
1,000~1,200万円未満 | 931万円 | 2,324万円 | 1,200万円 |
1,200万円以上 | 1,666万円 | 4,344万円 | 1,500万円 |
※金融資産非保有世帯を含みます。
年収が高いほど預貯金額が増加しており、年収500万以上750万円未満の層以降で平均が500万円を超えています。
年収300万円未満の層でも平均預貯金額は300万円を超えていますが、預貯金以外も含めた金融資産の中央値を見ると50万円です。この層の半数以上が、50万円以下の資産保有額であるといえます。
年収が低い場合は貯金に回せる金額が限られるため、工夫して貯金する必要がありそうです。
一方で、年収が500万円以上になると、中央値でも500万円以上の金融資産を持つ人の割合が高まり、年収が1,000万円を超える層では、半分以上の世帯が1,000万円以上の金融資産を持っていることがわかります。
世帯構成別の預貯金額
世帯構成別で見た平均預貯金額と、預貯金以外も含めた金融資産の平均値・中央値は以下のとおりです。
令和5年の世帯構成別 平均預貯金額と金融資産の保有額 (※)
世帯構成 | 平均預貯金額 | 預貯金以外も含めた金融資産 | |
平均値 | 中央値 | ||
世帯主のみ(単身) | 408万円 | 941万円 | 100万円 |
世帯主夫婦のみ(二人世帯) | 656万円 | 1,516万円 | 450万円 |
世帯主夫婦と子のみ | 521万円 | 1,212万円 | 400万円 |
世帯主夫婦と親のみ | 794万円 | 1,615万円 | 585万円 |
※金融資産非保有世帯を含みます。
単身世帯と比較して、二人以上の世帯のほうが比較的預貯金額は多く、平均の預貯金額も500万円を超えています。また、子供がいない夫婦世帯のほうが、子供のいる世帯よりも預貯金額や金融資産額が比較的多いことがわかります。共働き夫婦の増加や、子供の教育費がかからないことなどが理由として挙げられるでしょう。
どの枠を見ても最も値が大きいのは、親と同居している夫婦世帯です。まだ現役で働いていたり、年金収入がある親も多かったりするため、その分世帯の預貯金額や金融資産額が増えていると考えられます。
世帯主のみの単身世帯は、保有している金融資産の中央値が100万円とほかに比べて低い傾向です。将来のローン返済や教育費の支払いなどに備える必要性が低く、貯金する必要性が高くないなどの理由が考えられます。
貯金500万円で得られることは
貯金500万円でまず得られるのは安心感です。500万円を目標に貯金していた人なら、同時に達成感も得られるでしょう。
精神的な充実が生活に与える影響は大きく、次の目標に向かうモチベーションにもなるはずです。
また貯金が500万円あれば、緊急時にもある程度対応できます。突然の冠婚葬祭、ケガや病気になったときにも、金銭面で不安になることは少なそうです。
また、自己啓発や資格取得、旅行、趣味などに費やす余裕も生まれるでしょう。さらには、投資信託などの金融商品を用いた運用に資金を回す余力も生まれ、資産形成のスピードアップを図れるでしょう。
資産があることは精神的な安定を生み、生活の質を向上させ、より計画的な将来設計を実現する可能性があります。将来のためにいくら貯める必要があるか、目標設定は人それぞれですが、ひとつのわかりやすい目標として、「貯金500万円」を目指して資金計画を立てるのも良いでしょう。
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貯金ができない人の特徴
貯金500万円を目指していても、なかなか順調に貯金ができない人もいるでしょう。
貯金ができない人には、「収支管理が苦手」「衝動買いをしてしまう」などの特徴があります。貯金ができない理由を確認して、少しずつ改善していきましょう。
収支の管理ができていない
貯金ができない人の多くは、収入と支出のバランスを正確に把握できていないでしょう。収支管理ができないため、結果的に貯金に回す余裕がなくなってしまいます。
貯金をするためには、まず毎月の手取り額を明確に把握しましょう。
次に支出管理のために、まずは毎月の固定費を洗い出します。固定費は毎月出ていく金額光熱費や家賃、通信費、各種保険料などをリストアップしましょう。
最後に、変動費の管理のため、レシートや領収書を保管する習慣を身に付けるのも工夫のひとつです。キャッシュレス決済をよく使う人は決済アプリの明細を見たり、現金派の人も簡易的な家計簿アプリなどを利用したりして、支出を把握することが大切です。
衝動買いをしてしまう
衝動買いが多い人は計画的な貯金が苦手な傾向があるでしょう。
衝動買いといえば、「ウィンドウショッピングのつもりが実際に買い物をしてしまった」といった場面をイメージするかもしれません。
しかし、ネットショッピングも要注意です。スマホ1台あればいつでも買い物ができて便利ではありますが、お金を使っている感覚も薄れやすいです。実店舗での買い物以外でも、お金の使いすぎには気を付けましょう。
500万円を貯めるコツ7選
500万円を貯めるコツは以下の7つです。
- 家計の現状を把握して見直しをする
- 固定費の見直しをする
- 目的別に口座を分ける
- いつまでに500万円を達成するかを明確に決める
- 財形貯蓄制度を活用する
- お金が貯めやすい時期に多めの貯金をする
- 投資について学ぶ
1つずつ確認し、できそうなことから実践してみましょう。
家計の現状を把握して見直しをする
目標の貯金額を達成するには、まず家計の現状を把握してみましょう。
月々の収入と支出を詳細に記録し、自分が何にお金を使っているかを明確にします。削減できる支出に気づけば、浮いたお金を貯金に回せるでしょう。
家計簿アプリや決済アプリの明細機能など、スマホで利用できるツールも多くあります。
固定費の見直しをする
支出の中でも、毎月の固定費は家計に大きな影響を与えます。住宅ローンや家賃、光熱費、通信費など、定期的に発生する固定費を書き出してみましょう。
書き出した固定費の中で、節約できそうなものを検討します。
例えば、携帯電話のプラン変更や格安SIMへの移行、加入している保険やサブスクの見直し、電気やガスなどの光熱費の契約をよりお得なものに変更できれば、毎月の支出削減が可能です。
1度固定費を削減できれば継続的に支出を抑えられるため、毎月の貯金に回す余裕が生まれるでしょう。
目的別に口座を分ける
目的別に口座を分けるのも、貯金するコツのひとつです。
例えば、日常の支出用、固定費用、緊急時の備え用、長期の貯金用など、それぞれの目的に応じた口座を作っておけば、資金管理がしやすくなります。
口座を分けて毎月決まった金額を入れるようにすれば、無駄遣いや支出が増えている状況に気づきやすくなるでしょう。毎月決まった金額を入れるには、毎月指定した日付に指定した金額を自動送金するサービスがおすすめです。
いつまでに500万円を達成するかを明確に決める
具体的な目標設定は貯金成功の鍵です。いつまでに500万円を貯めるか、明確な期限を設定しましょう。
期限を決めると必要な貯金額とペースが明確になります。日々の貯金や節約に対するモチベーションも高まるでしょう。
目標達成のためのスケジュールを立て、定期的に進捗を確認する習慣が大切です。
財形貯蓄制度を活用する
財形貯蓄制度は、給与から直接一定額を貯蓄する制度です。自分で振り込む必要がなく、口座にも残らないため意識せずに貯金を続けられます。
長い間続ければ、気づいたときには大きな金額が貯まっているという状況も作れるでしょう。利用可能な制度があるか、勤務先に確認してみるのもひとつです。
お金が貯めやすい時期に多めに貯金をする
ボーナスや臨時収入があったときには、通常よりも多めに貯金すると良いでしょう。
また、支出が少ない月には普段より多めに貯金に回すことで、さらに貯金のペースが上がります。
貯金しやすい時期を見極めて積極的に貯金することで目標額に早く近づくうえ、自己肯定感も高まるでしょう。
投資について学ぶ
貯金だけではなく、投資についても学んでみましょう。
現在、普通預金の金利はメガバンクで年0.001%(税引前、2024年3月時点)と低いため、時間をかけてもほとんどお金は増えません。物価上昇による貨幣価値の低下も指摘されています。
投資は単にお金を貯める手段ではなく、資産を守るための手段でもあります。必ず利益が得られる保証はないですが、まずは投資の基本知識を学び、リスク管理の理解を深めることが大切です。
資産形成の方法
貯金に余裕が持てるようになったら、貯金以外の資産形成も考えてみましょう。一般的な資産形成の方法は、以下の5つです。
- NISA
- iDeCo
- 株式投資
- 投資信託
- 不動産経営
資産形成は、リスクに対する理解が大切です。資産を増やすことが目的ですが、運用成果によっては損失が出る可能性もあります。資産形成に対する理解を深めて無理なく始められる方法を選びましょう。
NISA
NISAとは、長期的な資産形成を勧めるために金融庁がスタートした少額投資非課税制度です。通常、金融商品の運用による利益には20.315%の税率で課税されますが、NISA口座で運用して得た利益は全額非課税となります。
NISAにはつみたて投資枠と成長投資枠があります。つみたて投資枠で取り引きできる商品は金融庁が定める条件を満たしたもののみで、長期・分散・積立投資に適しています。一方、成長投資枠ではつみたて投資枠にはない投資信託や個別株も購入可能です。
NISAを始めるには金融機関で専用口座を開設する必要があります。楽天証券は、豊富な銘柄、お客様サポート、ポイントサービスなど投資初心者にも始めやすい環境が整っています。
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後の資産形成が目的の自分で運用する私的年金制度です。
税制優遇が大きな特徴で、掛金の全額が所得控除の対象となります。また、運用益も全額非課税となるため、長期的な資産形成に有効です。
運用商品の選択肢も豊富で、元本保証があるタイプやアクティブな運用ができるタイプなど、運用目的に合わせて選べます。
なお、運用資金の引き出しは原則60歳からで、職業に応じて掛金に上限があります。
株式投資
株式投資は、企業の株を購入し、その価値の上昇や配当金による利益を目指す投資方法です。
大きな利益を得られる可能性がある一方で、市場変動によるリスクもともないます。そのため、株式投資を行うときは市場や企業業績、経済情勢などの分析が重要です。短期的なトレードから長期的な保有までさまざまな戦略が考えられるでしょう。
投資信託
投資信託は、運用会社が個人投資家から運用資金を集めてさまざまな投資対象に投資・運用し、その運用成果が投資額に応じて分配される商品です。
元本割れのリスクを抑える目的で、さまざまな種類の株式や債券などに分散して投資するのが特徴で、投資先は米国・国内・新興国・先進国・全世界などから幅広く選択できます。
先ほど紹介したNISAやiDeCoでも取引できる投資信託が多くあります。
不動産経営
不動産経営は、アパートやマンション、駐車場などの物件を購入し、それらを貸し出して賃料収入を得る方法です。
賃料収入は毎月の安定した収入源として魅力的ですが、物件選びや購入資金の確保、ローンの組み方など、購入段階から時間や手間がかかるうえに専門的な知識も必要なため、難易度が高いといえるでしょう。
また、物件購入後の管理も重要です。管理会社と契約して管理してもらう方法もありますが、業者の選定や契約内容のすり合わせ、管理手数料の決定など、考えなければいけない事項が多くあります。
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貯金500万円は多い?少ない?
貯金500万円が多いのか少ないのかは、年代や年収、世帯構成などによって変わってくるでしょう。金融広報中央委員会が行った「家計の金融行動における世論調査」では、令和5年の全世帯における預貯金残高の平均は511万円 でした。
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貯金500万円を貯めるコツは?
家計の現状を把握して見直しをする、固定費の見直しをする、目的別に口座を分ける、いつまでに500万円を達成するかを明確に決める、財形貯蓄制度を活用する、お金が貯めやすい時期に多めの貯金をする、投資について学ぶなどのコツがあります。
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資産形成の方法は?
NISAやiDeCo、株式投資、投資信託、不動産経営などの方法があります。
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
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運用して増えた分も全額非課税で受け取れるのね!