傾聴力とは?相手の話を聴く基本やコミュニケーションでの鍛え方を紹介

リリース日:2023/06/20 更新日:2024/11/22

人の話の聴き方によって、人間関係を良くできる場合もあれば、悪化させてしまう場合もあります。良好な人間関係のために相手の話を深く聴く力を「傾聴力」といい、これはビジネスにも役立つと注目されているスキルです。

傾聴力は、誰でも努力すれば身に付けられる可能性があるものです。ここでは、傾聴力の意味や重要視される理由、傾聴力を高める方法などを紹介しますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

  1. 傾聴力の意味
  2. 傾聴力が重要視される理由
  3. 傾聴力を高めるメリット
  4. 傾聴力が高い人の特徴
  5. 傾聴力を高める方法
  6. 傾聴力の活かし方

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傾聴力の意味

傾聴力の意味

傾聴力とは、どのような力を指すのでしょうか。まずは、用語の意味・傾聴力の構成要素・傾聴する方法について具体的に解説します。

傾聴力とは?

傾聴力とは、臨床心理学者カール・ロジャーズが「Active Listening(アクティブ リスニング)」として提唱した、人の話を聴き、相手の言いたいことや気持ちを深く引き出せる力です。相手の話をしっかり聴くことは、立派なスキルのひとつです。

 

傾聴力が欠けていると、人間関係に支障をきたす可能性があります。

 

例えば、こちらが一生懸命話しているのに、相手の態度がうわの空で、話す気力がうせたという経験のある人は多いでしょう。話を聴いてくれない人と距離を置きたいと考えるのは仕方のないことです。

 

相手との円滑なコミュニケーションを図るためにも、傾聴力はとても大切です。

傾聴に必要なロジャーズの3原則

傾聴力の提唱者であるカール・ロジャーズは、以下の3つを傾聴の構成要素に挙げています。

1.共感的理解

共感的理解とは、話し手の立場や気持ちに共感しながら理解しようとする姿勢を指します。意見が自分と違っても、話し手の考えを理解しようとする点が大切です。ただし、話し手に感情移入しすぎると、自分の感情に悪影響を与えることもあるため注意しましょう。

2.無条件の肯定的関心

無条件の肯定的関心とは、相手を好き嫌いによる判断や評価で否定せず、話を肯定的に聴くことです。否定される恐れがなくなると、話し手は安心して話せるようになり、話を深く広く展開しやすくなります。

3.自己一致

自己一致とは、話し手に対しても自分に対しても偽らない態度でいることです。話にわかりにくいところがあれば質問し、話し手の真意を確認します。わからない部分をそのままにしない意識が重要です。

傾聴する方法は3種類

傾聴する方法には、以下の3種類があります。

1.受動的傾聴

受動的傾聴とは、相手の話すペースに合わせて相づちを打ち、集中して話を聴く方法です。深刻な悩みや重要な問題を抱えている場合、話し手が沈黙することがあります。その際は急かさずに相手のペースを守り、話し始めるまで待ちましょう。

2.反映的傾聴

反映的傾聴とは、相づちを話した内容に反映させて聴く方法です。相づちのみでは「聴いているフリ」のようになり、話し手は不安を感じます。話の内容や心情への理解を示すため、明快に話の要点をつかみ、相手が使った言葉を繰り返してみましょう。

3.積極的傾聴

積極的傾聴とは、上記の2つに加えて、話し手の思考を促す質問をしながら聴く方法です。質問は、回答を考えるときに良い気付きや行動につながるように心がける必要があります。

傾聴力が重要視される理由

傾聴力が重要視される理由

近年、傾聴力は仕事に必要なスキルとしても重要視されています。ここでは、注目されるようになった理由や背景を紹介します。

仕事で傾聴力が必要になる場面が多いため

傾聴力は、仕事の取引先や顧客などとのコミュニケーションのために欠かせないスキルです。ビジネスでは、以下のような場面で傾聴力が役立ちます。

1.部下の話や意見を聴く場面

上司に意見することに、高いハードルを感じる部下は珍しくありません。上司が普段から傾聴力を活かし信頼関係を築けていれば、部下が率直に話しやすい環境を作れます。ひいては、事業全体のパフォーマンス向上が期待できるでしょう。

2.取引先に営業する場面

営業では商品の魅力を伝える力も重要ですが、取引先の望むものや悩みなどを知るためには、傾聴力も必要です。取引先の話をしっかり聴いて、自社の製品やサービスで何ができるかを提案できれば、契約につなげられるでしょう。

3.ユーザーのクレームや意見を聴く場面

ユーザーのクレームや意見を聴く場面では、特に傾聴力が必要です。ユーザーのクレームや意見に理解を示し、真摯に向き合って対応することは、結果的に顧客満足度の向上につながります

人間関係に悩む人が多いから

昨今では、退職理由に人間関係の悩みを挙げる人が多いといわれています。2021年6月に行われた日本労働調査組合の調査によると、職場の人間関係を理由に退職・転職を検討したことがある人は58.5%と、半数以上の割合を占めています。

人の話を丁寧に聴き、意見や立場の違いを理解できる傾聴力は、職場や社会でいろいろな人と関わるために必要な力です。

 

お互いの意見を尊重できない職場では、人間関係に悩みます。傾聴力を身に付け、人間関係の悩みを少しでも減らせれば、働きやすい職場作りや生きやすい社会作りに貢献できるでしょう。




傾聴力を高めるメリット

傾聴力を高めるメリット

傾聴力を高めると、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは3つのメリットを紹介します。

相手を理解できるようになる

傾聴力を磨くと、以下のような相手の気持ちを汲み取ることができます。

 

  • 相手の感情、考え
  • 話の背景にあるもの
  • 話が意図するもの
  • 何を考えて発した言葉か

相手が発した言葉以外の要素からも、相手の感情を読み取ることが可能です。相手の心に寄り添って耳を傾けるため、表面的な理解ではなく、より深く相手を理解しやすくなるでしょう。

相手との信頼関係を築けるようになる

傾聴力のある人は、「話を真剣に聴いてくれる」「否定せずに受け入れてくれる」と思われるため、周囲の人をリラックスさせて会話ができます。加えて、自分の考えを押し付けることもありません。

 

傾聴力を高めると本音で会話ができる仲になれるため、仕事仲間・学校の友人・家族との信頼関係構築につながるでしょう

自分を客観的に理解できるようになる

傾聴は、話し手の立場を考えながら話を聴きます。相手の立場が理解できると自分の考え方、価値観との違いに気付きます。相手との違いに気付けば、自分が意識していない考え方や偏見などがわかり、自己理解を深められるでしょう。

傾聴力が高い人の特徴

傾聴力が高い人の特徴

傾聴力が高い人の特徴を3点紹介します。傾聴力を高めたい場合、次に紹介する特徴のある人を身近で探して、お手本にしてみるのも良いでしょう。

話を途中で遮らない

傾聴力の基本は、相手の話を最後までよく聴くことです。途中で話題を変えたり、関係のない質問をしたりして話の腰を折ると、話し手はストレスを感じます。傾聴力の高い人は、話し手にストレスを与えず、相手の話を理解しようと努める特徴があります

相づちにバリエーションがある

傾聴力の高い人は、相づちのバリエーションが豊富です。ただ相づちを打てば良いと思っている人の相づちは単調になりがちですが、傾聴力の高い人は相手の気持ちに共感しながら聴くため、気持ち良く話せるような相づちを打ちながら会話ができます

話しかけやすい雰囲気がある

いつもピリピリしている人や怒ってばかりの人などは、誰もが話しかけにくいと感じるでしょう。反対に傾聴力の高い人は、普段から相手の考えや価値観を肯定しながら話を聴き、リラックスした雰囲気を作るのが上手です。そのため話しかけやすい雰囲気があります。

傾聴力を高める方法

傾聴力を高める方法

傾聴力を高める方法を、具体的なテクニックも含めて5つ紹介します。テクニックを意識すると傾聴力が向上しますが、相手の話を真剣に聴くという心持ちが前提です。

1.態度・姿勢・仕草に注意する

話しやすい雰囲気を作るためには、態度や姿勢を意識することが大切です。話を聴くときは、リラックスできるよう柔らかい表情を心がけ、相手の顔や目を見るようにしましょう。

 

また以下は、会話の中で避けるべき動作と仕草です。相手を拒絶していると受け取られる場合があるため注意しましょう。

 

  • 腕組みをする
  • 時計やスマホを気にする
  • 何かをしながら話を聴く
  • ふんぞり返って椅子に座る

2.ミラーリングをする

ミラーリングとは、話し手と同じ動きをすることで相手への同調が伝わり、親密感や安心感を与える心理的効果です。人間は自分に似ているものに親近感を抱く心理法則を利用し、意図的に距離を縮めたいときに使えます。

 

同じ動きとは、例えば姿勢・表情・仕草・声のトーン・口癖などです。ミラーリングはわざとらしくなると、相手に不信感を与え逆効果になる可能性もあるので、自然な動作を心がけましょう。

3.バックトラッキングをする

バックトラッキングとは、相手の発言を繰り返すことで、理解や共感を示せる心理的効果です。いわゆるオウム返しですが、発言を丸ごと繰り返すのではなく、一部を抜粋して返すのが良いでしょう。

 

バックトラッキングもミラーリング同様、タイミングや頻度を間違うと逆効果です。やりすぎないように気を付けながら、挑戦してみてください。

4.パラフレーズをする

パラフレーズとは、タイミングに応じて話の内容を要約し、自分の言葉に置き換えて伝えることです。話し手に理解や共感を伝えられ、安心して話してもらえる効果があります。

 

また話し手も相手が言い換えた表現によって、自分の話した内容を客観的に考えられます。そこから新たな気付きが生まれ、一段と深い感情や考えを引き出せるかもしれません。

5.相手と自分の会話の割合

相手が話す量と自分が話す量の理想的な割合は、相手が7割で自分が3割ともいわれています。慣れないうちは、3割話しただけでは物足りなさを感じるかもしれません。上記で取り上げた傾聴テクニックを取り入れることで、徐々に達成に近づくでしょう。

傾聴力の活かし方

傾聴力の活かし方

傾聴力は仕事だけではなく、友人や家族との良好な関係を構築するためにも使えます。相手の話を真剣に聴くスキルが向上すれば、本音を引き出しやすくなり、多くのメリットを得られるでしょう。

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※この記事は2023年6月時点の情報をもとに作成しております。

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このテーマに関する気になるポイント!

  • 傾聴力とは?

    相手の話を真剣に聴く力のことです。相手の話を熱心に聴くと、相手の言いたいことや気持ちを理解できるようになり、円滑な人間関係の形成に役立つとされています。

  • 傾聴力の高い人の特徴は?

    相手が話しやすいよう相づちのバリエーションが豊富で、話を途中で遮りません。常にリラックスした雰囲気を作っているため、話しかけやすい印象があります。

  • 傾聴力を高めるにはどうすれば良い?

    会話の中で相づちを打つ、同じ動きをするといったことを試してみましょう。最も大切なのは、聴く意思があるとわかる態度と姿勢です。

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やすし
この記事を書いた人
2級ファイナンシャル・プランニング技能士 理学療法士
やすし

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

金融・医療分野をおもに執筆するwebライター。3人の子どもを持つ父親で、子育て世代を中心に役立つ情報を提供しています。教育資金・老後資金作りのためNISAを活用した資産運用を実行中です。お金の悩みを解決できる記事を心がけています。

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