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参考文献の正しい書き方とは│WebサイトのURLは必要?ルールを解説
レポートや論文を作成するにあたっては、参考文献を明記することが必要です。インターネット上で閲覧できるWebサイトの情報を参考にした場合も、同じように記載が必要になります。いずれも「参考文献」や「引用文献」としてまとめることになりますが、正しい書き方を知っておくことが大切です。ここでは、参考文献の正しい書き方について、その理由やルールを交えて解説します。
Webサイトにおける参考文献や引用文献の違いとは
参考文献や引用文献は、Webサイトで見た情報であっても明記しなければなりません。ただ、「参考」や「引用」が何を意味するのか、「参照」や「転載」と内容を混同してしまう人もいるのではないでしょうか。そこで、まず参考と引用の違いについて解説します。
「参考」とは?
参考とは、ほかの人が作成した書籍やWebサイトのコンテンツ(文章や事例、データなど)の中で、自分の考えをまとめるのに役立てたもののことです。自身の主張や意見などを文章にまとめた際に参考にしたものを「参考文献」と呼び、参考文献をまとめたものを参考文献リストといいます。
「引用」とは?
引用とは、ほかの人が作成した書籍やWebサイトのコンテンツ(文章や事例、データなど)の一部をそのまま写すことです。自身の書類などに文章やデータを引用した場合は、引用元となる「引用文献」を示さなくてはなりません。
似ている言葉は?
参考や引用以外にも、似たような意味を持つ言葉がいくつかあります。その中から、「参考」に似たものとして「参照」を、「引用」に似たものとして「転載」を紹介します。
「参照」とは、ほかの人が作成した書籍やWebサイトのコンテンツを見る、あるいは確認することです。それを元に考えを深めるというよりは、確認のために照らし合わせる行為というニュアンスがあります。なお、「参考」とほぼ同義語で用いられることがほとんどです。
「転載」とは、ほかの人が作成した書籍やWebサイトのコンテンツを写して、そのまま自分のために利用することです。文章や事例、データなどの一部分を使用する「引用」と違い、後述する法律の限度を超えて写すことをいいます。
Webサイトにおける参考や引用はなぜ必要?
そもそも、なぜ参考にしたり引用した際にそれらを示す必要があるのでしょうか?ここからは、参考にしたり引用したことを示す必要性について解説します。
- 法律で決まっている
- 客観的な根拠を示す
- 参考・引用元を確認しやすくする
(1)法律で決まっている
Webサイトや書籍などの作成者には「著作権」と呼ばれる権利が与えられますが、ほかの人はその作成物を無断で使用できません。これは「著作権法」というルールで決まっています。
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
(出所の明示)
第四十八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
出典:e-Gov法令検索.“著作権法”.https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048,(引用日2023-03-14)
このように、引用をする際は、必ず引用元を明示しなければいけません。また、正当な範囲を超えると引用ではなく、転載と見なされます。転載をするには著作権者の許諾が必要です。
(2)客観的な根拠を示す
参考や引用を活用すれば、自身の主張や意見に対して、客観的な根拠を示せます。例えば、会社の会議資料を作成した際に、自身の推測や予想でまとめたデータだけを記載していても、信ぴょう性はありません。一方、公的な機関が発表したデータを元に作成したものであれば、その信ぴょう性が担保されます。
客観的な根拠を元に自身の主張や意見を示すことで、第三者にも信頼されやすい内容にすることができるのです。
(3)参考・引用元を確認しやすくする
参考・引用元を文献で明記するのは、参考にしたり引用した情報を確認しやすくするためです。例えば、書籍から引用する場合、どの書籍のどのページかを明記しているため、その情報をすぐに確認できます。第三者にとっても、参考にしたり引用した情報元を確認できるため、より主張や意見の信ぴょう性が増すでしょう。
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参考文献や引用文献の書き方のルール
参考文献や引用文献の書き方には、決まったルールが存在しています。ただ、作成する書類によって、スタイルが指定されていることもあります。ここからは、参考文献や引用文献の書き方について、スタイルごとのルールを確認しましょう。
- SISTスタイル
- MLAスタイル
- APAスタイル
(1)SISTスタイル
SISTは科学技術の情報をスムーズに流通させるために「科学技術振興機構」が定めたスタイルです。表現方法や記録するための様式などのルールを決めており、参考や引用に関する文献の書き方も定めています。日本では一般的な書き方として浸透しているため、最低限知っておきたいルールです。
(2)MLAスタイル
MLAは、文学や英語学などのアメリカの人文学系で使用される論文やレポートなどのルールです。国内では一般的に使われているルールではありませんが、海外向けの学術的な書類を作成する際に求められる可能性があります。
(3)APAスタイル
APAは「米国心理学会」が定めているルールのことであり、社会科学や行動科学、ビジネスなどの分野で使用される論文やレポートなどに使用されます。MLAスタイルと同じく日本では一般的なルールではありませんが、海外の研究などで使用することがある点は押さえておきましょう。
参考と参照の書き方
参考文献の書き方にはいくつかのルールが存在していますが、国内では「SISTスタイル」が一般的です。ここでは、SISTスタイルを基にした参考・参照の書き方について、以下の4つの場合で解説します。
- Webサイトの場合
- 書籍(図書)の場合
- 書籍(図書)の一部の場合
- 論文の場合
(1)Webサイトの場合
Webサイトを参考・参照した場合は、以下のとおりに参考文献を記載します。
なお、場合によっては、著者名またはウェブサイト名のいずれかと、更新日付は省略することがあります。
著者名.“Webサイトのページ名”. Webサイト名.更新日付.URL,(参照日)
■例
“2021年 国民生活基礎調査の概況”. 調査の概要|厚生労働省.202X-XX-XX.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa21/index.html,(参照2023-XX-XX)
(2)書籍(図書)の場合
書籍(図書)を参考・参照した場合の記載方法は、以下のようなものです。
著者名.著書名.版表示,出版社,出版年,総ページ数
■例
安藤てつ.世界における××.2版,平泉ガーデン社,2023,328p.
(3)書籍(図書)の一部の場合
書籍(図書)の一部を参考にしたり参照した場合には、以下のとおりに参考文献を記載する必要があります。全体を参考にしたり参照した場合と異なり、参考にしたページを記載しなければいけません。
著者名.著書名.版表示,出版者,出版年,総ページ数,参考にしたページ
■例
安藤てつ.世界における××.2版,平泉ガーデン社,2023,328p.p.56-59
(4)論文の場合
専門雑誌に掲載された論文の場合、記載方法は以下のとおりです。
著者名.論文名.掲載している誌名.出版年,巻数,号数,該当論文の開始ページ-終了ページ
■例
安藤てつ.世界の暮らし方における××.カスミガフォート誌.2023,22巻,4号, p.33-37
引用の書き方
参考・参照と同様に、引用元の記載方法もルールが決まっています。ここからは、引用の書き方について、以下の3つの場合を解説します。
- Webサイトの場合
- 書籍(図書)の場合
- 論文の場合
(1)Webサイトの場合
Webサイトを引用した場合も引用元を示すのは同じです。最近では、SNSなどの発信も引用する場合がありますが、基本的には同様のルールにしたがって記載します。
著者名.“Webサイトのページ名”. Webサイト名.更新日付.URL.(引用日)
■例
厚生労働省.“2021年 国民生活基礎調査の概況”. 調査の概要|厚生労働省.202X-XX-XX.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa21/index.html.(引用2023-XX-XX)
(2)書籍(図書)の場合
書籍(図書)を引用した場合には、以下のとおりに引用文献を記載する必要があります。あるページに記載されている文章や事例、データなどを引用するため、必ず引用したページは記載しましょう。
著者名.著書名.版表示.出版社.出版年.総ページ数.引用したページ
■例
安藤てつ.世界における××.2版.平泉ガーデン社.2023.328p.P108
(3)論文の場合
論文を引用した場合には、以下のとおりに引用文献を記載する必要があります。基本的には参考文献と同じです。
著者名.論文名.掲載している誌名.出版年.巻数.号数.はじめのページ-終わりのページ
■例
安藤てつ.世界の暮らし方における××.カスミガフォート誌.2023.22巻.4号.P228~229
参考文献や引用文献の注意点とは
参考にしたり引用をする際は、ルール以外にもおさえておきたいポイントがあります。ここからは、参考文献や引用文献の注意点について、以下の3つを解説します。
- 引用を多用しすぎない
- 信ぴょう性のない参考・引用はしない
- 引用内容を変えない
(1)引用を多用しすぎない
引用方法がルールにしたがっていたとしても、引用が多くなるときは注意が必要です。例えば、引用された文章がオリジナルの文章よりも多い場合、その文章は正当に引用されたものと見なされません。あくまでもオリジナルの文章の補助的な役割として、引用を使用するようにしましょう。
(2)信ぴょう性のない資料は採用しない
ほかの人の文章を確認もせずに信用するのは危険です。参考・引用元を示していない資料は信頼に値するものとはいえず、それを参考にしたりそこから引用したりするのは避けたほうが良いでしょう。参考や引用をする際には、必ず元の文章や事例、データなどに根拠が示されているか確認することが重要です。発行元について明記されているか、発行元が信頼できる情報源かという点にも留意しましょう。
(3)引用内容を変えない
引用のルールは法律で定められており、引用元の文章などを変えてはいけません。引用内容を変更してしまうと、もはや引用ではなくなってしまい、さらには著作権侵害にあたる可能性もあります。そのため、引用のルールに従って、引用元の内容は変えないようにしましょう。
参考文献のルールを知らないと、法律上の問題になってしまう可能性があります。そのため、ここで解説したようなルールや書き方を正しく理解し、会議やプレゼンなどの書類を作成しましょう。
※この記事は2023年5月時点の情報をもとに作成しております。
このテーマに関する気になるポイント!
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参考文献とは?
参考文献は、自身の主張や意見などを文章にまとめた際に参考にしたもののことです。
-
引用文献とは?
引用文献は、自身の書類などに引用した文章や事例、データなどの引用したときの引用元のことです。
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参考文献や引用文献の書き方の注意点は?
書籍や論文、Webサイトなどの参考や引用元によって書き方が異なるため、それぞれの書き方を確認して文献を書く必要があります。
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※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
法律でも定められているルールだから、知らなかった!ってことにならないよう、しっかり覚えておきたいわね