「一両日中」には、「両日」という言葉が入っていることから、2日間にわたるというイメージがあるかもしれませんが、具体的にはいつからいつまでを指すのでしょうか。

「一両日」は「1日または2日」を意味するため、「一両日中」は「1日または2日の間」という意味になります。

一両日中は、1日または2日の間という意味ですが、起点の1日目をどこに置くかによって解釈が分かれる場合があります。例えば、今日を1日目とした場合は「明日までに」という解釈になり、今日を含めず明日を1日目、明後日を2日目とする場合は、「明後日までに」という解釈になります。

また、朝一番に「この書類を一両日中に作成して」と言われた場合、「明日まで」と捉える人でも、夕方に同じことを言われたら「明後日まで」と捉えるかもしれません。このように、伝えられた時間帯によっても、締め切りの解釈が変わる可能性があります。

人によって一両日中の解釈が異なるため、特にビジネスシーンにおいては注意が必要です。重要な約束は誤解が生じないよう、具体的に「○日まで」といったように日にちを伝えたほうが良いでしょう。

一両日中という言葉が具体的にいつまでを指すのかは、人によって異なることを踏まえ、解釈の違いによって思わぬトラブルになるのを避ける必要があります。ここでは、一両日中の適切な使い方を解説していきます。

ビジネスシーンで、日時を厳守する必要がある場合は、「一両日中」という表現は避けたほうが安全です。書類提出の締切日や商品の納期日など、正確な日時を伝えたい場合は、「一両日中に」ではなく「○月○日○時までに」と具体的に伝えましょう。

では、一両日中を使うのが適しているのは、どのような場面でしょうか。それは、細かい日時までは確定していないものの、「明日・明後日くらいまでには予定している」といったことを大まかに伝えたい場合です。

求人に応募してきた人に対し、採用試験の結果の通知時期を知らせる場合に、遅くとも数日以内に通知できる予定であるという意味で、一両日中が使われることがあります。

採用担当者がこのような言い方をするのは、最終判断の時期がはっきりしない場合があるためだと考えられるでしょう。採用・不採用の決定には、履歴書や職務経歴書、面接での対応だけでなく、ほかの求職者との比較が必要になることがあります。そのため、時間がかかる場合も考慮して、大まかに予定を伝えていると考えられます。

なお、結果が面接の当日に通知される場合もあり、「一両日中に」は「できるだけ早く」という意味で使われることもあります。

取引先や顧客から商品の注文を受けた場合、商品を手配後配送または持参することになります。配送にかかる時間ははっきりとはわからないため、一両日中を使うのが適しているでしょう。また、直接持参する場合で日時がまだ確定しない場合にも使えます。

ほかにも、次のような使い方があります。

• A社からは一両日中に連絡をいただける予定です。
• 一両日中にB社に訪問します。
• 一両日中に手配しますので少々お待ちいただけますでしょうか。

ビジネスシーン以外でも、日常生活で「一両日中」という言葉が使われることがあります。例えば、次のような文を目にしたことがあるかもしれません。

ケーキや総菜などを購入した場合に、箱や袋にこのような文言が書かれていることがあります。これは「できるだけ早く食べてください」という意味を表しています。

応募者の中から抽選で賞品などが当たるキャンペーンでは、集計や抽選にかかる時間が事前にはわからない場合があります。それでも、数日以内に当選結果がわかる見通しがあれば、一両日中という言葉で案内されることがあります。

一両日中と同じような意味を持つ言葉には、どのようなものがあるのでしょうか。いくつか言い換えの表現があるので、ビジネス上の知識として確認しておきましょう。

一両日の類義語として、「今日・明日中」という言葉があり、文字どおり「今日と明日」または「今日か明日のうち」、あるいは「ごく近い将来」という意味を持ちます。

また、「明日・明後日中」は、「その日から数日後までの間」や「近日中」という意味になり、「今日・明日中」よりも日数がかかる印象があります。

使い方の一例は以下のとおりです。

• 今日・明日中に原案を作成できると思います。
• 明日・明後日中に打ち合わせの時間を設けましょう。

一両日中と同じような言葉に「1～2日以内」という表現もありますが、1日目を今日とするか明日とするかによって、期限が異なります。そのため、一両日中と同様に、厳密に日時を伝えたい場合には避けたほうが良い言葉でしょう。

使い方は、例えば以下のようなものです。

• 購入された商品は1〜2日以内に発送いたします。
• お尋ねの件につきまして、1〜2日以内に回答いたします。

「数日中」という言葉も、不確定な予定を表す場合に使われます。「2、3日の間」という意味があり、「近日中」と表現されることもあります。

ビジネスシーンで「一両日中」を英語で表現したい場合、次のような言い方をします。

• in a day or two
• within the next couple of days
• one or two days
• in a day or so

「a」や「one」「two」「couple（ふたつ、一対）」といった単語が使われているのでイメージしやすいでしょう。

「一両日中」は、不確実な予定を伝える場合には便利な言葉ですが、締切日や納品日など「いつまで」という期限が重要な場面には不向きな言葉です。

ビジネスにおいては信頼関係が大切なため、日時を正確に伝えたい場合は、行き違いのないよう、「○月○日○時まで」と具体的に伝えましょう。

なお、ビジネスシーンでは、「一両日中」のように、ビジネスパーソンとして知っておきたい日本語表現がほかにもあります。特に語彙力に自信がない人は、日本語の使い方やマナーに関する書籍を1冊携帯しておくと便利です。