国民年金|受け取れる金額は?毎月の支払いや将来的な支給額予測について解説

リリース日:2022/08/16 更新日:2022/08/17

少子高齢化が加速する中、自分の老後の生活に漠然とした不安を抱える人が増えています。そんな老後の生活を資金面で大きく支えるのが公的年金です。支給開始年齢になったときに、自分が受け取れる年金の金額を知っておきたいという方も多いでしょう。ここでは、公的年金の基礎である「国民年金」の基本的な仕組みや将来的に受け取れる金額について解説します。

  1. 国民年金とは
  2. 厚生年金との違いについて
  3. 毎月の平均的な支給額について
  4. 将来的な支給額について
  5. 国民年金を支払わないとどうなるのか
  6. 国民年金を満額受け取る方法
  7. 国民年金の控除について
  8. まとめ

国民年金とは

国民年金とは

国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金制度です。無職の人も含め、職業に関わらず加入する「国民皆保険」の仕組みであり、社会全体で年金を受け取る人の生活を支える制度になっています。

 

国民年金の加入者は、以下の3種類に分けられます。

 

国民年金加入者の種類

 

国民年金加入者の種類

 

なお、第3号保険者の保険料は、配偶者である第2号保険者が加入している年金制度が負担するため、自分で納める必要はありません。就職・退職や結婚など生活状況が変わると種別変更の必要が出てくるため、自分の種別については知っておくようにしましょう。

 

・国民年金加入者が受け取れる年金の種類
「年金」と聞くと「老後に受け取れるお金」とイメージする方が多いと思いますが、国民年金には「老齢」だけでなく「障害」「死亡」のリスクに備える役割もあります

 

国民年金の加入者が受け取れる年金の種類について以下の表にまとめました。

 

国民年金加入者が受け取れる年金の種類

 

国民年金加入者が受け取れる年金の種類

 

このように国民年金は老後だけでなく、もしものときの備えにもなります。よって、国民年金保険料を納めることは大切なのです。

 

・国民年金保険料はいくら?
国民年金の保険料は年齢や職業に関わらず、加入者全員が一律の金額です。物価や賃金の伸びなどにあわせて調整され、年度ごとに保険料の金額が決定されます。

 

令和4年度の保険料は月額1万6,590円、年額にすると19万9,080円です。ちなみに令和3年度は月額1万6,610円、令和2年度は月額1万6,540円でした。

 

年金をまとめて前払いする前納制度を利用すると、割引が受けられるのでお得です。例えば、令和4年度の場合1年前納すると4,170円の割引、6カ月前納で1,130円の割引が受けられます。

厚生年金との違いについて

厚生年金との違いについて

日本の年金制度は2階建ての構造になっています。前述の「国民年金」が1階部分、会社員や公務員が加入する「厚生年金」が2階部分です

 

厚生年金は国民年金に上乗せで保険料の納付と年金の受け取りをする仕組みになっているので、国民年金に入らずに厚生年金に入っていることはあり得ません。

 

<1階部分>
国民年金:20歳~60歳の全国民が加入

 

<2階部分>
厚生年金:会社員や公務員が国民年金にプラスして加入

 

・厚生年金保険料はいくら?
厚生年金の保険料は、毎月の給与やボーナスに一定の保険料率をかけて計算されるもので、各人金額が異なります。ただし厚生年金の保険料は半分を勤務先が負担し、残りの半分を従業員が負担する「労使折半」という仕組みになっており、実際に支払うのは半分の金額です。

 

また、厚生年金の保険料は給与から天引きされます。給与明細の「厚生年金」という部分に記載されている金額が、支払った年金保険料です。「厚生年金」とありますが、この中には国民年金の保険料も含まれています。

毎月の平均的な支給額について

毎月の平均的な支給額について

国民年金の加入者が、65歳から受け取れる年金のことを「老齢基礎年金」といいます。ここでは、実際に年金の受給者がいくら受け取っているかのデータを見ていきましょう。

 

厚生労働省が発表している「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金受給者の平均受給額は、令和2年度末時点で月額約5万6,000円。また、厚生年金受給者の平均受給額は、月額約14万6,000円になっています。

 

年度別に見ると、以下の表のとおりです。

 

国民年金と厚生年金の受給者平均年金月額

 

国民年金と厚生年金の受給者平均年金月額

 

令和2年度では、40年間保険料を納め続けた場合に受け取れる年金の満額は6万5,141円です。先ほどのデータを見ると、実際に受け取っている金額の平均は満額よりも1万円ほど少ないことがわかります。

将来的な支給額について

将来的な支給額について

ここからは、自分が将来どれくらい年金を受け取れる可能性があるのかについて考えていきましょう。老齢基礎年金の支給額についても、保険料と同様に物価や賃金の伸びなどにあわせて改定がされています。

 

令和4年度の国民年金(老齢基礎年金)の支給額は、満額で月額6万4,816円です。前年の、令和3年度は月額6万5,075円でした。

 

実際に受け取れる年金額は、加入実績によって大きく変わります。自分が将来いくら年金を受け取れるかを知るには「ねんきん定期便」を活用するのがおすすめです。ねんきん定期便とは毎年日本年金機構から届くはがきで、これまでの保険料納付状況や加入実績に応じた将来の受給額を通知するものです。

 

50歳未満の場合は、これまでの加入実績を元にした年金額が記載されています。今後、保険料を支払い続ければ、将来の年金の額も増えていきます。

 

50歳以上の場合、記載されているのは、現在の年金加入制度に60歳まで継続して加入したと仮定して、65歳から受け取れる年金見込額です。

 

ねんきん定期便は毎年誕生月に届きます。ねんきん定期便が届いたら、自分の年金について見直す機会にしてみてはいかがでしょうか。

国民年金を支払わないとどうなるのか

国民年金を支払わないとどうなるのか

国民年金(老齢基礎年金)の受給要件は「保険料の納付済み期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上あること」です。

 

国民年金を支払わず、この要件を満たしていないときは、老齢基礎年金を受給できません。また、障害年金や遺族年金の受給要件には、保険料納付済み期間に関する要件が別に定められています。

 

老後に年金を受け取れないばかりか、もしものときに障害年金や遺族年金などを受け取れなくなる恐れがあるため、保険料の納付は必ず行いましょう。

 

もし経済的な理由などで保険料を納めることが難しいときは「免除」や「納付猶予」などの制度を利用しましょう。免除や納付猶予などの手続きを行った場合はその期間に応じて年金額は少なくなりますが、受給資格期間には算入されるため、年金がもらえなくなる事態は防げます。

 

また、学生の場合は申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が利用できます。

 

どの制度も、利用するには手続きが必要です。制度の利用条件や手続き方法については日本年金機構のサイトをご確認ください。

国民年金を満額受け取る方法

国民年金を満額受け取る方法

国民年金を満額受け取るためには、20歳から60歳までの40年間保険料を支払い続けなければなりません。保険料を納めていなかった期間や、免除・納付猶予などの期間がある場合は、その期間に応じて受け取れる年金額が少なくなってしまいます。未納期間があって、あとから国民年金の受給額を増やしたい方は、以下の制度を利用しましょう。

 

・保険料の追納
保険料の免除・納付猶予、学生納付特例などの制度を利用した期間については、後から納付(追納)をすることにより、年金受給額を増やせます。追納ができるのは、過去10年間に限られるため、早めに手続きを行いましょう。

 

・任意加入
60歳以上で保険料の未納期間があり、年金受給資格が得られていない場合や年金額が満額に満たない場合には、60歳~65歳までの間に国民年金に任意加入することで年金受給額を増やせます。ただし、厚生年金保険に加入している方や繰り上げ受給をしている方は任意加入ができないため注意してください。

国民年金の控除について

国民年金の控除について

国民年金の保険料は、社会保険料控除の対象になります。社会保険料控除が適用されることで所得金額が減り、所得税や住民税などの税金を減らすことが可能です。自分で支払った国民年金保険料のほか、家族の保険料を支払った場合、追納した場合にも控除が受けられます。

 

国民年金で控除を受けるためには「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が必要です。「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」は、日本年金機構から郵送されます。手続きの方法は以下のとおりです。

 

・会社員など給与所得者の場合
給与から天引きされる厚生年金については、申告する必要はありません。家族の国民年金保険料を納めた場合や追納を行った場合は、年末調整で「給与所得者の保険料控除申告書」を記入し「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を添付することで社会保険料控除の申請ができます。

 

・自営業など給与所得者以外の場合
給与所得者以外の人が社会保険料控除を受けるには、確定申告が必要です。「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」をもとに確定申告書に記載します。家族の国民年金保険料を納めた場合にも、あわせて控除が受けられます。

まとめ

国民年金は、老後の生活を助けてくれる大切なお金です。自分が将来年金をいくらもらえるのか、ぜひ確認してみてください。年金が満額に満たない場合は、追納や任意加入などの手続きを行うことで年金額を増やすことができます。

 

また、日本の年金制度は公的年金だけだと2階建てですが、それに上乗せする企業や個人の私的年金を含めると3階建てとなります。その3階部分に当たるもののひとつが、企業型確定拠出年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)です。iDeCoは月5,000円から積立ができ原則60歳以降に受け取れる私的年金で、節税効果も得られます。

楽天証券なら、初めての方でも運営手数料0円でiDeCoが始められます。楽天銀行をお持ちの方であれば楽天証券と口座連携することで、楽天銀行に対し優遇金利が適用されてさらにお得なので、ぜひこの機会にチェックしてみてください。

このテーマに関する気になるポイント!

  • 国民年金とは?

    国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金制度です。

  • 国民年金保険料の金額は?

    令和4年度の保険料は月額1万6,590円です。ただし、保険料は毎年改定されています。

  • 国民年金は満額でいくら受け取れる?

    令和4年度の場合は、満額で月額6万4,816円です。年金額も毎年改定されます。

  • 国民年金の受給額を増やすには?

    保険料の未納期間がある場合は、追納や任意加入などの制度を利用して将来の受給額を増やすことができます。

まきあん
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士)
まきあん

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

元栄養士で現在フリーのWEBライターとして活動している、まきあんです。基本的なお金の知識を身に付けたいと思い、独学でFP2級を取得しました。お金に関する知識や生活に役立つ情報を分かりやすく発信していきます。

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