男性の育休とは|取得期間や助成金、取得率など法改正を含めたポイントまとめ

リリース日:2022/07/27 更新日:2024/11/14

仕事と家庭の両立、ワークライフバランスを重視したいという方も多いでしょう。仕事で収入を得ることを重視する一方、家庭や趣味の時間も大切にする。このバランスを強く意識するタイミングのひとつが、出産・子育てというライフイベントではないでしょうか。そんな時に活用したいのが「育児休業」という制度。出産・子育てに関しては、育児休業だけでなくお金を含め、さまざまな支援策が用意されています。ここでは男性のケースにフォーカスして、法改正を含めた、育児休業のポイントをまとめていきます。

  1. 男性の育休とは
  2. 産休・育休の基礎知識
  3. 男性の育休について法改正で変わること
  4. 男性の育休取得期間と条件
  5. 男性の育休の助成金・給付金
  6. 男性の育休のポイントまとめ

男性の育休とは

男性の育休とは

育児休業は、子供を育てる労働者が、法律にもとづいて取得できる休業です。育児・介護休業法に定められていて、仕事と子育ての両立を支援する制度となっています。基本的に子供が1歳に達するまでの休業で、法律上は男女ともに取得可能です。しかし、これまで主に取得していたのは女性で、男性による取得は少ない状況となっています。

 

・男女の取得率
育休の取得状況について、データを確認しておきましょう。厚生労働省が2021年7月に公表した「令和2年度雇用均等基本調査」の結果では、女性の管理職割合や育児休業取得率など、男女の均等な取り扱いや、仕事と家庭の両立についての実態を見ることができます。

「育児休業取得率の推移」についてのグラフを見ると、男女の状況が大きく異なることが分かります。平成8年に49.1%だった女性の取得率は、令和2年度は81.6%でした。

 

一方、男性による育休取得はどうなっているでしょうか。平成8年の状況を見ると、取得率は0.12%。女性と比べ、極端に小さな数字であることが分かります。数字は徐々に上昇し、令和元年には7.48%、令和2年度は12.65%となりました。

 

まだ数は少ないとはいえ、前年度からは2倍弱、平成8年と比べると100倍以上となっています。「イクメン」という言葉も登場し、男性の子育てへの参加が推奨されるようになりました。この先、女性と同等の数字まで取得が進むのか、興味深いところです。

 

・男性が育休を取得することのメリット
男性が育休を取得することには、夫婦両方にとってメリットがあります。考えられるメリットのひとつが、男性が子供と過ごす時間が増え、成長を見守ることができるというメリットです。女性にとっては、男性がそばにいることで精神的な安定を得られたり、家事・育児を男性と分担できることで職場復帰がスムーズになったりと役立っているようです。また男性が家事育児の大変さを知ることで、夫婦の相互理解が進むというメリットもあります。

産休・育休の基礎知識

産休・育休の基礎知識

子供を出産する、子育てをするといった場面では2つの公的な休業制度があります。区別して上手に利用できるようにしておきましょう。

 

まず育休と似た言葉に、「産休」があります。産休は労働基準法に定めがある「産前休業・産後休業」のことを指しています。対象となっているのは女性労働者。ここには、アルバイトや派遣といった形で働いている女性も含まれます。取得できる期間は、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間です。

 

育休と呼ばれているのは、育児・介護休業法が定める「育児休業」のこと。対象となっているのは、一定の要件を満たした「男女労働者」です。産休は女性だけですが、育休は男女ともに取得が可能。育休と産休を混同して、育休も女性だけのものと思い込んでいる方もいらっしゃるかもしれません。期間は、原則子供が1歳に達するまで。保育所に入れない場合などには、延長も可能となっています。

 

そのほか、各企業が独自に定める「育児休暇」が取得できる場合もあります。名称は企業によって異なる可能性がありますので、就業規則などで確認してみましょう。産前休業・産後休業に育児休業、さらに育児休暇まで、さまざまな休業制度を理解しておけば、子育てに関する時間とお金の問題を、より効率的に解決できるようになるでしょう。

男性の育休について法改正で変わること

男性の育休について法改正で変わること

育児休業について定めている「育児・介護休業法」が、令和3年6月に改正されました。令和4年4月1日から段階的に施行されていきます。今回の改正で、企業に対しても、従業員が育休を取りやすい環境づくりを義務付け、男性の育休がより取りやすくなります。法改正により、女性はもちろん、多くの男性が、育児休業を取得するような動きが出てくるかもしれません。

 

・「産後パパ育休」
令和4年10月1日から施行されるのが、「産後パパ育休」という制度。出生児育児休業と呼ぶこともあり、子供が生まれてから、8週間以内に取得できます。これまでは「パパ休暇」がありました。これは、子が生まれて8週間以内に育児休業を取得すると、その後もう1回取得が可能という制度でした。

 

新しい「産後パパ育休」は、育休とは別に取得できるもので、子が生まれて8週間以内に2回取得できます。さらに「産後パパ育休」を2回取得した後も、通常の育児休業を取得できるようになるのです。

 

以前の「パパ休暇」では、子供が生まれてから1歳になるまでの間に、2回に分けて育休を取ることができました。新しい「産後パパ育休」は、まず生まれて8週間以内の2回に加えて、さらに育児休業を取れるようになるのです。出生時や退院時に加えてもう1度取得するなど、より柔軟な使い方ができます。

・育休を分割して2回取得可能に
こちらも令和4年10月1日から施行されるものですが、男女ともに、育児休業を分割して2回取得できるようになります。これまでは原則として分割での取得は不可でした。男性の場合、これまでは子供が生まれてから1歳になるまでの間に、「パパ休暇」とあわせて育児休業は2回に分けて取ることができました。今回の法改正により、同じ期間に、まず「産後パパ育休」を2回に分けて取得し、さらに育児休業を2回に分割して取得可能になったのです。あわせて4回の休業に分けることができます。

 

男女ともに、2回に分割して取得可能となった育児休業。柔軟な使い方ができるようになり、より男性の取得が進むと考えられています。例えば、出産した女性が、子供が1歳になるまでずっと育児休業を取得していたとします。これまで分割不可だった育休。男性はどのタイミングでどれだけの長さを取得するか、難しいところでした。例えば、仕事の関係で長い休業が取りにくいという場合もあるでしょう。

 

2回に分割できるようになれば、子供が生まれてからの早い時期と、その後、女性が職場復帰するタイミングとで2回に分けて取得することも可能です。

 

さらにこれを応用した使い方も考えられます。男性だけでなく、女性も長期の休業が取りにくい場合もあるでしょう。そうした時は、男性も女性も2回に分けて取得し、さらにタイミングをずらすことで、交代しながら育児休業を取ることも可能となるのです。「2、3カ月交代するから、その間仕事に復帰したら?」といったことが、夫婦間で互いにできるようになります。

 

・1歳以降の延長も柔軟に
保育所に入所できないなどの理由があると、育児休業は最長で子供が2歳になるまで延長できます。1歳以降の育児休業の延長では、これまでは男女ともに、育休を開始する時期が、1歳時・1歳半時に限定されていました。今回の法改正により、育休を開始する時期が柔軟になります。開始する時期を、男性と女性でずらすことで、どちらかの育休期間を短くしたり、交代で育休を取ったりとさまざまなパターンで利用できるようになるのです。

 

子供が生まれた後の働き方、育児休業の取り方を考えながら、夫婦で最適なスケジュールを作成できるようになるでしょう。男性にとっても、育休を取れる機会が増えると思われます。

男性の育休取得期間と条件

男性の育休取得期間と条件

・育休取得の条件
育児休業の取得について、期間や条件などを確認しておきましょう。法律を見るとまず取得の条件となっているのが「原則として1歳に満たない子を養育する男女労働者」となっています。子供が1歳になるまでの期間、男女ともに取得できるのが分かります。さらに「子が1歳6カ月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと」も条件となっています。

 

これまでは「同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること」も条件となっていましたが、法改正により撤廃されました。この撤廃については、令和4年4月1日から実施されています。

 

・さまざまな育休取得のパターンと条件
まずは「産後パパ育休」。子供が出生してから8週間以内の期間に、4週間まで取ることができます。2回に分けて取れるのですが、これは最初からまとめて申し出ることが必要です。後から追加というわけにはいきません。また取得については、原則休業の2週間前までに申し出なければならないとなっています。

 

育児休業については、原則として1カ月前までに申し出ることが必要です。令和4年10月1日より2回に分けて取得することが可能になりますが、これについては、取得する際に、それぞれ申し出ることとされています。

 

そうしてもうひとつ、男性の育児休業で知っておきたいのは「パパ・ママ育休プラス」という制度です。男性・女性ともに育児休業を取得する際は、子が1歳2カ月に達するまでの期間に、最長1年間まで休業することが可能になるというもの。通常、育休は子供が1歳になるまでですが、2カ月延長されることになります。休業の期間は、男性・女性それぞれ1年を超えることはできないのですが、開始時期をずらすなどすることで、2カ月長くできます。

 

男性・女性ともに育児休業を取得するのが条件となっているため、男性の育児休業取得を促進する効果があるといえるでしょう。

男性の育休の助成金・給付金

男性の育休の助成金・給付金

子育ての時間を作るために取得する育児休業。その期間は、公的なお金のサポートを受けることもでき、男性・女性ともに対象となっています。夫婦で育児休業を取得する場合、収入の面で家計への影響が心配になる人もいるでしょう。代表的なサポートを2つ紹介します。お金の計画も準備できれば、女性だけでなく男性も、安心して育児休業を取得できるでしょう。

 

・育児休業給付金
育児休業で賃金が下がるような場合、一定の要件を満たしていれば、雇用保険から「育児休業給付金」の支給が受けられます。金額は「休業開始時賃金月額×67%(支給日数が181日以降は50%)」。育児休業は場合によって、期間を延長することもできます。パパ・ママ育休プラスで延長した分や、保育所に入れないなどで2歳まで延長した分も、支給の対象となっています。また支給されたお金は非課税で、所得税・住民税がかかりません。

 

・社会保険料(健康保険・厚生年金保険、国民年金)の免除
育児休業を取得している期間は社会保険料について、事業主負担とともに、被保険者本人負担分が免除されます。休業中は、健康保険と厚生年金保険(国民年金)の保険料を支払わずに済むということです。保険料を支払っていなくても、期間中は健康保険からの給付を通常通り受けられます。年金についても支払っていない期間分が、将来の年金受取額に反映されるようになっています。

 

このように非課税の育児休業給付があり、社会保険料の支払いが免除されることで、育児休業中のお金の心配を減らすことができるでしょう。育休取得の計画を立てる際には、知っておきたい制度です。

男性の育休のポイントまとめ

男性の育休のポイントまとめ

法改正により、育児休業の取り方が自由度を増し、分割して取得したり、休業を始めるタイミングを選んだりできるようになりました。育休の取得を考えている方は、お金の面でのサポートもあるので、それも計算に入れながら計画を立てるとよいでしょう。

出産や子育てに関しては、お金を含め、さまざまな支援策を利用できます。子供が生まれたら、教育資金を始めとしたお金の準備も必要になるでしょう。子供関連のお金の管理を考えている方には、「楽天銀行」で子供名義の口座を開設することもおすすめです。0歳児でも親権者の代理手続きで、口座が作れます。また子育てが始まると、外出してのお買い物も大変になることがあるかと思います。楽天市場などでのネットショッピングでまとめ買いをする際に、楽天カードを用意しておくと支払いがスムーズになるだけでなく、お得にお買い物を楽しむことができます。この機会に楽天カードの申し込みを検討してみてはいかがでしょうか。

このテーマに関する気になるポイント!

  • 男性の育休とは?

    男性による育児休業の取得です。低い取得率の改善が課題となっています。

  • 育休・産休の違いは?

    産休は労働基準法にもとづき女性が取得する休業。育休は育児・介護休業法が定めるもので、男女ともに取得可能な休業です。

  • 男性の育休の法改正で変わることは?

    育休を分割して取得できるようになり、男性にとっても取得しやすくなりました。

  • 今回の法改正に伴う「産後パパ育休」「パパ・ママ育休プラス」の男性取得期間と条件は?

    「産後パパ育休」は、子供が出生してから8週間以内の期間に4週間まで取得可能。「パパ・ママ育休プラス」は、男性・女性ともに育児休業を取得することで、育休を2カ月延長できます。

  • 男性の育休の助成金・給付金はある?

    雇用保険から、非課税の「育児休業給付金」が受け取れるほか、社会保険料の支払いが免除されます。

  • 男性の育休のポイントは?

    育休は分割取得が可能になるので、男性も取得しやすくなるでしょう。また、女性だけでなく男性も取得することで、期間の延長メリットを受けられます。賃金や社会保険料でのサポートも考慮し、お金の計画も立てておきましょう。

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黒川ヤスヒト
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(AFP)
黒川ヤスヒト

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。

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