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日常生活自立度とは|寝たきり度とも呼ばれる評価尺度のランクや基準
介護保険サービスを利用するために申請しなければならない要介護認定。そして要介護認定を受けるには、どのくらい自立した生活を送れているかを知る「日常生活自立度」の調査が必要となります。つまり、日常生活自立度は、適正な介護保険サービスを受けるための判断基準となる非常に重要な判定です。
しかし、どのようなランクに分けられるのか、またどのような状態が該当するのかなど、疑問に思う人も多いのではないでしょうか。ここでは、日常生活自立度の判定基準や活用例を解説します。これから介護サービスを受けようと考えている人、もしくは家族が介護サービスを受けることを望んでいる人が、知っておきたい内容をまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
- 日常生活自立度とは
- 判定の基準とは
- 障害高齢者の日常生活自立度判定基準ランクの詳細
- 認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクの詳細
- 日常生活自立度がわかるとどうなる?
- 日常生活自立度の判定における注意点
- いざという時に備えることが大切
日常生活自立度とは
日常生活自立度とは、厚生労働省が提示した高齢者がどのくらい自立した生活を送れているかを評価する尺度です。日常生活の自立度を調べる評価表は大きく分けて以下の2種類とされています。
●障害高齢者の日常生活自立度:全4ランク評価
●認知症高齢者の日常生活自立度:全9ランク評価
上記の評価は主に、医師や看護師、介護士が対象者にどのような介護対応をすべきかを客観的かつ短時間で判断するために用いられます。調査員が定期的に自宅に訪問して面談を行い、対象者本人やその家族に聞き取りをして基準に沿ったランク分けを行うのです。
介護を必要とするポイントは人それぞれです。介護すべき場面とするべきではない場面を間違えてしまうと、対象者の自信を喪失させてしまったり自尊心を傷つけてしまったりする可能性もあります。対象者がどのくらい自立できているかを把握しておくことで、対象者の気持ちを汲んで心地よいサービスを提供できるといったメリットがあるのです。
判定の基準とは
日常生活自立度は「寝たきり度」とも呼ばれます。この評価は、〜することができる・できないといったその人の「能力」を判定するものではありません。日々過ごす中で、この行動ができる時間はどのくらいか、といった「状態」や「移動」に着目した判定となります。
基本的には、最も自立している「生活自立」、自分でできることもあるが外出にはサポートを要する「準寝たきり」、最も症状の重い「寝たきり」の3つにグループ分けされますが「寝たきり」グループにおいては、症状の重さによってさらに2つのランクに分けられています。
高齢者の日常生活自立度の判定基準は、以下のとおりです。
障害高齢者の日常生活自立度判定基準
※判定に当たっては、補装具や自助具等の器具を使用した状態であっても差し支えない。
上記の判断基準をより詳しく、わかりやすく解説していきます。
障害高齢者の日常生活自立度判定基準ランクの詳細
ここからは、障害高齢者の日常生活自立度の判定基準について詳しく解説します。判定基準がわかっていれば、ランクごとに該当する状態や行動が理解できるため、調査時に正確な情報をスムーズに伝えやすくなるでしょう。
・ランクJ|日常生活のほとんどを自分で行える状態
ランクJに該当するのは、何らかの障害等を持ってはいるものの、生活に必要なほとんどの行動を自分で行える人です。
判断基準の「J-1」は、バスや電車といった交通機関等を利用して、積極的に遠方へ外出できる人が該当します。一方で「J-2」は、遠方への外出は難しいものの、自宅周辺への外出が可能な状態を指します。たとえば自宅周辺にあるスーパーやドラッグストア、町内会への参加が可能な場合はJ-2に該当します。J-1、J-2 ともに、他人のサポートなく1人で行動できることが前提です。
なお、ここでいう「障害等」とは、老齢で身体機能が衰えたことによる影響や、疾病や傷害によって生じた問題あるいは後遺症のことです。
・ランクA|室内で必要な行動は概ね自立している状態
ランクAは準寝たきりに分類されるグループで、医療現場では「寝たきり予備軍」ともいわれます。食事・排泄・着替えなど、室内で過ごすために必要な行動は概ね自分でできる状態が該当します。
判断基準の「A-1」は、室内における日常生活はもちろんのこと、日中はリビングでテレビを見たり読書をしたりと、ベッドから離れて過ごしている時間が長く、介護者がいれば外出することも問題ない状態です。
一方で「A-2」は、日中時間帯は寝たり起きたりの状態であるものの、ベッドから離れて過ごす時間の方が長く、また、介護者がいても外出する気持ちが起こらず、家の中で過ごすことがほとんどの状態です。寝たり起きたりの状態が時間帯や曜日によって波がある場合は、特記事項として詳細に伝えましょう。
・ランクB|移動に車いすを要する状態
ランクBは寝たきりのグループに分類され、どこかへ移動する際には車いすを使用する状態です。ベッドや椅子などに腰掛けることは可能なものの、ほぼ1日を通してベッド上で過ごし、食事や排泄などの必要な行動も、部分的な介助を必要とする人です。
判断基準の「B-1」は、介助がなくとも自分で車いすに移乗でき、食事・排泄・着替えなどはベッドから離れて行える状態です。一方で「B-2」は、介護者の手助けのもと車いすに移乗し、食事や排泄なども介護者によるサポートが必要な場合に該当します。
・ランクC|全面的に介助が必要な状態
ランクCも、ランクBと同様に寝たきりに分類されますが、より症状が重く生活全般を通して介助を必要とするグループです。基本的には1日中ベッドの上で過ごし、介助なしには基本的な生活を送ることができない状態です。
ランクCは、自分で寝返りがうてるかどうかによってさらにグループ分けされます。判断基準の「C-1」は、自分で寝返りをうつことができ、サポートなしでも体位を変えられる状態。一方で「C-2」は、介護者によるサポートがなければ寝返りがうてない状態です。ランクCは、最も症状の重いグループといえます。
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクの詳細
認知症と診断された高齢者は、厚生労働省が定める「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」によって、症状の程度や行動に応じたランク分けがされます。
認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準は、認知症と診断された高齢者の症状・行動を見て、どのくらい自立した生活を送れているかを判定するものです。合計で9段階のランクに分けられ、数字が大きくなるごとに症状は重く、徹底したサポートが必要な状態と判断されます。基準は以下のとおりです。
認知症高齢者の日常生活自立度
日常生活自立度がわかるとどうなる?
日常生活自立度は、主に以下のようなものとして活用されます。
●介護サービスを受けるために必要な「要介護認定」の調査指標
●認定後のケアプラン(介護計画書)作成の基本情報
適切な介護サービスの提供には、日常生活自立度の判定が必要です。日常生活自立度の活用について、詳しく解説していきます。
・介護保険の要介護認定を受ける際の調査に活用
日常生活自立度は、介護保険の要介護認定を受ける際の参考資料として活用されます。要介護認定を受けるまでの流れをまとめると、下記のようになります。
1. お住いの市区町村の窓口で要介護認定の申請を行う
2. 訪問調査にて日常生活自立度を聞き取り調査する
3. 訪問調査結果や「主治医意見書」をもとに審査判定(審査期間は約1カ月)
4. 認定を受ける
日常生活自立度は、審査判定の判断材料として調査されます。要介護認定は「訪問調査」と「主治医意見書」を軸にして判定します。判定方法は一律で、コンピュータに調査内容を入力して判定する一次判定と、介護認定審査会による二次判定によって「要介護」もしくは「要支援」のどちらかに認定されるのです。
要介護認定の結果によって、保険料の自己負担額や受けられる介護サービスが異なります。適切なサービスを受けるためにも、調査員の質問には正しく回答することが重要です。
・ケアプランなどの基本情報として活用
要介護認定を受けると、今後の介護生活に備えてケアマネージャーがケアプラン(介護サービス計画書)を作成します。
日常生活自立度は、その人に適切な介護サービスを決めるために重要な基本情報となります。日常生活自立度がわかることで、自立していることはなるべく自分の力で行えるように、そして必要な場面で適切な介助を行えるようにと、バランスのよい介護サービスが提供できるのです。
なお、ケアプランは要介護認定の種別によって作成依頼者が以下のように異なります。
●要介護1以上:県知事によって定められた居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)
●要支援1・要支援2:地域包括支援センター
ケアプランでは、日常生活自立度などの基本情報と合わせて、本人や家族の希望、心身の健康状態を考慮して今後の介護計画が立てられます。日常生活自立度があることで、対象者の症状や現状の介護状況などに合わせて、適切な介護サービスが提供されるのです。
日常生活自立度の判定における注意点
日常生活自立度は要介護認定の指標となる重要な調査ですが、注意点も存在します。それは、調査によって結果にバラつきが発生してしまうことです。調査員は正しく対象者を理解するために本人や家族に聞き取りを行いますが、以下のような要因によって、実際の症状と調査結果に差がある判定になってしまう場合があります。
●知らない人に対する緊張感から、普段よりもしっかりした受け答えができてしまう
●要介護状態にあることを認めたくない気持ちから見栄を張った受け答えをしてしまう
●家族への質問に対しても、長年別居していたことから対象者のことが詳しくわからない
実際の症状と調査結果に差が出てしまうと、場合によっては介護サービス利用者にとって不利な判定がされてしまう可能性があります。
適切な介護サービスを受けられるようにするためには、調査員に正確な情報を伝えなければなりません。そして、正確な情報を伝えるには、家族がしっかりと判定基準や内容を理解し、対象者の受け答えのサポートをしていく必要があります。
いざという時に備えることが大切
日常生活自立度とは、障害や認知症を診断された高齢者が日常生活をどの程度自立して送れているかを調べる重要な指標です。調査員が対象者本人や家族に聞き取りを行ってランク付けし、要介護認定の判定基準やケアプラン(介護サービス計画書)作成といった、今後の介護生活の基本情報として活用されます。
介護がいつ必要になるかは予測できないことも多いものです。「私たち家族はまだみんな元気だから大丈夫」と思っていても、事故や病気などで寝たきり状態になってしまったり若年性認知症が発症してしまったり、いつ何が起こるかは誰にもわかりません。
このテーマに関する気になるポイント!
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日常生活自立度とは?
高齢者が日常生活をどのくらい自立して過ごせるかを知るために厚生労働省が定めた評価尺度です。障害高齢者と認知症高齢者で評価基準が異なります。
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日常生活自立度は何に使うの?
介護保険サービスを利用するには、「要介護認定」が必要です。日常生活自立度はその判断材料として活用されます。また、要介護認定後の介護サービス計画書の作成にも基本情報として活用されます。
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日常生活自立度の判定における注意点は?
「知らない人に対しては普段よりもしっかりした受け答えができてしまう」などの理由から、実際の症状と調査結果に差がある判定となる可能性があることです。適切な判定を受けるには、しっかり判定基準を理解して調査員に正確な情報を伝えていく必要があります。
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日常生活自立度って、細かくランク付けされているのね。事故や災害もそうだけど、いつ何が起きても対処できるように、私たちも知っておいた方が良いわね!