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【2024年版】特定扶養親族とは?対象者の条件と扶養控除の金額、節税効果についてわかりやすく解説
条件を満たす親族と生計を一にしている場合、その年齢と人数に応じた所得控除が受けられます。特定扶養親族とは、所得控除の対象親族のうち12月31日時点で19歳以上23歳未満(令和6年分は平成14年1月2日~平成18年1月1日生まれ)の人を指します。控除により一体いくら節税できるのか、詳しくまとめました。
- 扶養親族とは
- 控除対象扶養親族の対象と種類
- 扶養控除の区分と控除額
- 特定扶養親族がいると、いくら節税できる?
- 特定扶養親族は一般の控除対象扶養親族と比べてどのぐらいお得?
- 特定扶養親族の申請方法
- 特定扶養親族を申請する際の注意点
- 特定扶養親族が扶養の範囲を超えたらどうなる?
- 配偶者は扶養控除の対象にならない?
- 特定扶養親族の申請はお忘れなく
扶養親族とは
特定扶養親族の説明をする前に、まず扶養親族の定義、扶養控除の仕組みについてみていきましょう。12月31日時点で所得税法上の扶養親族がいる場合、その年齢と人数に応じて扶養控除が受けられます。扶養親族の条件は以下の4つです。
(2)納税者と生計を一にしていること。
(3)年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。 No.1180 扶養控除|国税庁
(1)配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や、市町村長から養護を委託された老人であること
血族とは、自身と血縁関係にある人のことです。また、姻族とは婚姻によってできた配偶者側の血族のことです。親の兄弟の子供である「いとこ」は4親等、祖父母の兄弟の孫である「はとこ」は6親等で、扶養親族の対象はかなり広い範囲まで網羅されていることがわかります。
一方、姻族は結婚によって生じる関係で、3親等内の姻族とは配偶者の曾祖父母や配偶者のおじ・おばまでを指します。
なお、配偶者は扶養親族に含まれません。これについては後述します。
(2)納税者と生計を一にしていること
納税者と同じ家計で暮らしていることを指し、同居していなくてもOKです。例えば大学に通っている子供に仕送りをしている場合や、リタイアした両親に生活費を送っている場合なども、生計を一にしている状態に含まれます。
ただし、扶養親族1人につき、扶養控除できるのは1人だけです。例えば兄弟2人が、一人暮らしの母親に生活費を仕送りしていても、母親を扶養親族にできるのは兄弟いずれか1人だけです。どちらが手続きするか、話し合う必要があるでしょう。
(3)年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
扶養親族の所得が給与所得のみであれば、103万円以下であることが条件です。これはいわゆる「103万円の壁」と呼ばれるもので、それ以上の収入がある人は対象外です。
(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて1度も給与の支払を受けていないこと、白色申告者の事業専従者でないこと
これはちょっとややこしいですが、サラリーマンであればほぼ関係ないとみて良いでしょう。親が個人商店を営み、子供を雇って給与を支払っているようなケースを指します。
控除対象扶養親族の対象と種類
控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいいます。つまり、16歳未満の子供は含まれません。その代わりとして、中学卒業までの子供には児童手当があります。
特定扶養親族とは
控除対象扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人をいいます。これは12月31日時点の年齢なので、年末調整の書類を出す時点で18歳でも、年末までに19歳になるなら対象です。扶養親族の条件を満たしていれば、19歳、20歳、21歳、22歳の4回、特定扶養親族になります。
老人扶養親族とは
控除対象扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。
同居老親等とは
同居老親等とは、老人扶養親族のうち、納税者又はその配偶者の直系の尊属(父母・祖父母など)で、納税者またはその配偶者と普段同居している人をいいます。
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扶養控除の区分と控除額
所得税と住民税では控除額が異なります。まとめると、以下のようになります。
年齢 | 対象者区分 | 所得税控除額 | 住民税控除額 |
16~18歳 | 一般の控除対象扶養親族 | 38万円 | 33万円 |
19~22歳 | 特定扶養親族 | 63万円 | 45万円 |
23~69歳 | 一般の控除対象扶養親族 | 38万円 | 33万円 |
70歳以上 | 老人扶養親族(同居) | 58万円 | 45万円 |
70歳以上 | 老人扶養親族(その他) | 48万円 | 38万円 |
特定扶養親族がいると、いくら節税できる?
特定扶養親族の所得税控除額は63万円、住民税控除額は45万円ですが、この金額がそのままもらえるわけではありません。この金額にかかる税金が減るので、実際に得をする金額は控除額×税率になります。
所得税の税率ごとに、実際の節税額をシミュレーションしたのが以下の図です。住民税は一律10%で計算しています。
特定扶養親族の節税額シミュレーション
所得金額 | 所得 税率 |
所得税の節税額 (63万円×所得税率) |
住民税の節税額 (45万円×住民税率) |
節税額合計 |
195万円以下 | 5% | 3万1,500円 | 4万5,000円 | 7万6,500円 |
195万円超 330万円以下 |
10% | 6万3,000円 | 10万8,000円 | |
330万円超 695万円以下 |
20% | 12万6,000円 | 17万1,000円 | |
695万円超 900万円以下 |
23% | 14万4,900円 | 18万9,900円 | |
900万円超 1,800万円以下 |
33% | 20万7,900円 | 25万2,900円 | |
1,800万円超 4,000万円以下 |
40% | 25万2,000円 | 29万7,000円 | |
4,000万円超 | 45% | 28万3,500円 | 32万8,500円 |
特定扶養親族は一般の控除対象扶養親族と比べてどのぐらいお得?
特定扶養親族の所得税控除額は63万円、住民税控除額は45万円なのに対し、一般の控除対象扶養親族の所得税控除額は38万円、住民税控除額は33万円です。これが節税額にどのような影響を及ぼすか比較したのが以下の表です。
特定扶養親族と一般の控除対象扶養親族の節税額の差額
所得金額 | 所得 税率 |
特定扶養親族の 節税額 |
一般の控除対象 扶養親族の節税額 |
差額 |
195万円以下 | 5% | 7万6,500円 | 5万2,000円 | 2万4,500円 |
195万円超 330万円以下 |
10% | 10万8,000円 | 7万1,000円 | 3万7,000円 |
330万円超 695万円以下 |
20% | 17万1,000円 | 10万9,000円 | 6万2,000円 |
695万円超 900万円以下 |
23% | 18万9,900円 | 12万400円 | 6万9,500円 |
900万円超 1,800万円以下 |
33% | 25万2,900円 | 15万8,400円 | 9万4,500円 |
1,800万円超 4,000万円以下 |
40% | 29万7,000円 | 18万5,000円 | 11万2,000円 |
4,000万円超 | 45% | 32万8,500円 | 20万4,000円 | 12万4,500円 |
仮に所得税率が10%の父親が子供を扶養に入れているケースなら、子供が19歳~22歳の間、一般の控除対象扶養親族と比べて、3万7,000円×4=14万8,000円軽減されることになります。
特定扶養親族の申請方法
会社員の場合、扶養親族については年末調整時の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要事項を記入して提出することで控除が受けられます。特定扶養親族をチェックする欄があるので忘れずにチェックしましょう。
特定扶養親族としての申請を忘れた場合には、確定申告をすればOKです。前述したとおり、所得税率10%の人なら3万7,000円の節税になるので、面倒でも申請したほうがお得です。源泉徴収票の「控除対象扶養親族の数」の欄に特定扶養親族の人数が書いてある箇所があるので、それを見れば正しく申請できているかどうかがわかります。
特定扶養親族を申請する際の注意点
特定扶養親族についての注意点がいくつかあります。
同居していなくてもOK
大学生で一人暮らしをしているケースでも、前述したように生計を一にしていれば対象です。
扶養控除が受けられるのは1一人だけ
例えば両親が離婚して、1人の子供に対し2人から養育費を支払っている場合でも、父か母のいずれかしか扶養控除が受けられません。
特定扶養親族に職業は関係ない
特定扶養親族の条件は年齢なので、学生でも浪人生でもフリーターでも、扶養親族としての条件を満たせば特定扶養親族になります。
早生まれは損?
大学1年生であっても、1月~3月生まれで年末時点の年齢が18歳の子供は特定扶養親族に当てはまりません。この子供が4年で卒業して就職すると、22歳で扶養親族から外れることになり、特定扶養親族としての控除が3年間しか受けられません。どうにもならないことではありますが、4月~12月生まれと比べて、親の受けられる控除が減ります。
特定扶養親族が扶養の範囲を超えたらどうなる?
大学生のアルバイトであっても、1年間の給与収入が103万円を超えると扶養親族ではなくなります。親の所得税率が10%なら10万8,000円、20%なら17万1,000円の負担増になるため、給与収入がぎりぎりで超えそうな場合、103万円以内に収めたほうが節税になります。
一方、大学生は27万円の勤労学生控除が受けられるため、年収103万円を超えても130万円(住民税は126万円)までは非課税です。非課税の範囲を超えると、大学生自身も税金を納めなければなりません。
さらに、年収130万円を超えると社会保険の扶養を外れます。また、「1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上」などの条件を満たせば、学生のアルバイトでも勤務先の社会保険に入ります。この場合の社会保険料は給与から天引きされますが、年齢が20歳以上で条件を満たさない場合は、自分で別途国民年金保険に入って保険料を納める必要があります。
ここまではアルバイトの給与収入を想定してきました。なぜ103万円が壁になるかというと、給与には55万円の給与所得控除があり、103万円-55万円=48万円が扶養親族のボーダーラインになるからです。
なお、動画投稿やアフィリエイト、Webライターなどで得られた収入は給与所得控除が受けられないため、収入-経費が48万円を超えると扶養親族から外れます。
配偶者は扶養控除の対象にならない?
しばしば配偶者について「扶養に入る、入らない」という言い方をするため、配偶者は扶養親族ではないのかと混同されがちです。配偶者は扶養親族ではなく、配偶者控除と配偶者特別控除という別の控除制度があります。
配偶者控除
配偶者の所得が年間48万円以下の場合に適用されます。
配偶者特別控除
配偶者の所得が年間48万超133万円以下の場合に適用されます。
いずれも控除を受ける納税者本人の合計所得が1,000万円以下であることが条件です。納税者本人の所得と、配偶者の所得に応じて、控除額が変わります。民法の規定による配偶者が対象で、内縁関係の場合は適用されません。
特定扶養親族の申請はお忘れなく
特定扶養親族は、主に子供が大学生の間に親の所得税と住民税が軽減される制度です。この時期は何かとお金がかかるので、忘れずに申請して節税額を増やしておきたいですね。
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※この記事は2024年9月時点の情報をもとに作成しております。
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特定扶養親族とは?
12月31日時点で19歳から23歳未満(令和6年分は平成14年1月2日~平成18年1月1日生まれ)の扶養親族のこと。所得税では63万円、住民税では45万円の所得控除が受けられます。
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扶養親族とは?
以下の4つの条件を満たす人のことです。
・6親等内の血族および3親等内の姻族あるいは里子など
・納税者と生計を一にしている
・年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて1度も給与の支払を受けていないこと、白色申告者の事業専従者でないこと
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※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
立場によって扶養親族の対象から外れる給与収入が違うのね!