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自筆証書遺言とは?遺言書の作成方法や注意点、メリット・デメリットを解説
自筆証書遺言とは、遺言をする本人が直筆で作成する遺言書です。思い立った時に作成できる代わりに、作成方法についてルールがあります。せっかく作った遺言書が無効にならないための基本的なきまりをご紹介します。
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは遺言をする人(遺言者)が自筆で作成した遺言書のことをいいます。遺言を作成しようとした時に、すぐに作成できるのが、自筆証書遺言です。手軽に作成できる方法ですが、作成の際にいくつか注意点があります。
(1)遺言者が15歳以上であること。
(2)一部を除いて全文自筆で作成すること。
遺言書の一部としての財産目録は、自筆である必要はありません。ただし、各ページに署名押印が必要です。
(3)作成日を明記すること。
日付が必ず特定できるように明記します。例えば【令和3年10月吉日】は無効となるので気を付けましょう。
(4)署名・押印をすること。
自筆で署名を行い、押印をします。印鑑は実印である必要はなく、認印や拇印でも構いません。ただし、遺言書の真正を保証するためにも実印が望ましいと考えます。また、住所は必要事項ではありませんが、同様に記載する方が望ましいでしょう。
(5)1人1通作成すること。
夫婦連名等の遺言は無効です。
(6)訂正や追記は決められた方法で行うこと。
加筆・削除その他の変更は、その場所を分かるように指示し、変更した旨を記載して署名した上で、変更箇所に押印が必要です。変更方法の不備により遺言が無効となってしまう恐れもあるため、書き損じた場合は最初から作成し直すことをおすすめします。
自筆証書遺言のメリット・デメリット
メリット
(1)紙とペンと印鑑があればいつでもどこでも作成可能。
(2)費用がかからない。
自筆証書遺言書の法務局保管制度を利用する場合は、別途費用がかかります。(申請1件(遺言書1通)につき、3,900円)
(3)書き直しが自由にできる。
デメリット
(1)作成方法を誤ると、遺言書自体が無効となる恐れがある。
(2)自筆証書遺言書を開封する前に、家庭裁判所の検認手続が必要。
検認手続をせずに開封した場合は、【5万円以下の過料】になりますので、注意してください。なお、封印されていない自筆証書遺言書も同じく家庭裁判所で検認手続をする必要があります。ただし、法務局保管制度を利用した場合は、検認手続は不要となります。
(3)紛失、偽造、改ざんの恐れがある。
相続人が故意に破棄したり、本人の印鑑を使用して偽造、改ざんをされたりしてしまう恐れがあります。なお、そのようなことをした相続人は、相続人欠格事由に該当することとなり相続人としての権利を失います。(民法891条)
自筆証書遺言書の作成方法・保管方法
(1)本文の作成
全文自筆で記載します。
相続人に対しては【何某にA不動産を相続させる】
相続人以外に対しては【何某に預貯金全部を遺贈する】
などと記載することが望ましいでしょう。
参照元:法務省 自筆証書遺言書の記載例
次のような記載方法は文言の意味について相続人間で争いが生じる可能性があるため、避けるべきと考えます。
・長男にA不動産を【やる】
・長男にA不動産を【引き継がせる】
・長女に全財産を【まかせる】
(2)財産目録の作成
署名部分以外は自筆でなくても構いませんが、各ページに署名押印が必要です。パソコンで入力した一覧を使用することが可能です。また、証明書の写し等でも代用可能です。
不動産・・・登記事項証明書(登記簿謄本)
預貯金・・・通帳のコピー
自動車・・・車検証のコピー
(3)付言事項の作成
付言事項とは、相続人へ伝えたいことを記載するものです。法的な拘束力は一切ありませんが、自分の言葉で記載することで相続人に届くことが期待されます。
付言事項には次のような記載例があります。
・遺言書の内容を決定した動機、理由
・家族やお世話になった方への感謝の気持ち
・細かい遺品の処分方法
・葬儀の方法
(4)保管方法
自筆証書遺言書の保管方法は法律で定められていません。ただし、相続人が見落としてしまう可能性があるような保管方法はおすすめできません。
・自分で保管する方法
管理しやすく、修正、撤回も容易である反面、紛失、汚損、改ざん、発見されないリスク等が考えられます。
・法務局へ預ける方法
法務局へ預託することで、紛失、汚損、改ざん等の恐れはありません。相続人には、法務局へ遺言書を預けてあると伝えておけば、発見されないリスクも避けられます。
一方、所定の手続をする必要があり、1通3,900円の手数料が必要です。また、遺言の内容の変更等に対しても手数料が必要です。
自筆証書以外の遺言の作成方法
1. 公正証書遺言
公証役場で公証人に作成してもらう遺言書。公文書と同様の効力を持つため、対外的に利用しやすく、内容に不備が生じることも非常に少ないことがメリットです。
デメリットとして、費用がかかる、作成まで時間がかかる、公証役場へ出向く必要があることがあげられます。
※別途費用を加算することで公証人に出張してもらうことも可能です。
2. 秘密証書遺言
遺言書の内容を他人に見られないように封印した遺言書。自分で遺言書を作成し(自筆以外でも可)、そのまま封筒に入れて封印します。封印後の遺言書は公証役場へ持参し、内容を明らかにしないまま証人2名の立会いのもと、自分が作成した遺言書であることを公証人に証明してもらいます。
まとめ
自筆証書遺言は手軽に作成できる反面、リスクやデメリットも多数あります。せっかく作った遺言書が無効になってしまったり、相続人間の争いの種となってしまったりするケースもあります。遺された家族を困らせないように、きちんと不備の無い遺言書を作成することが重要です。
このテーマに関する気になるポイント!
- 自筆証書遺言とは?
全文を自筆で作成する事で効力が生じる遺言書。 - 自筆証書遺言の作成方法は?
財産目録以外を全て自筆で記載し、日付、氏名を記載の上、押印する。 - 自筆証書遺言の訂正方法は?
・法律で定められた方法で訂正する必要がある。
・訂正箇所を特定し押印し、訂正の旨を記載して署名をする。 - 自筆証書遺言のメリットは?
(1)紙とペンと印鑑があればいつでも作成が可能。
(2)いつでも撤回や修正が可能。
(3)費用がかからない。 - 自筆証書遺言のデメリットは?
(1)様式を誤ると無効となるおそれがある。
(2)発見されないおそれがある。
(3)汚損、紛失、偽造、改ざんのおそれがある。
(4)家庭裁判所の検認手続が必要 ※法務局保管制度を利用した場合を除く。 - 付言事項とは?
法的な効力は無いが、遺された家族等へのメッセージを自由に書くことができるもの。
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