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会社の倒産・個人の自己破産とは|対象や手続き、相談先などを解説
コロナ禍により企業業績が悪化しているというニュースを耳にします。大きな会社が倒産したというニュースは社会に衝撃をあたえます。どんな状況になったら倒産するのかについて解説します。また、個人の自己破産についても解説いたします。困ったら1人で悩まずに、早めに身近な人や、弁護士等に相談しましょう。
企業倒産状況について
新型コロナウィルスの蔓延により、企業業績が悪化しているというニュースを耳にしますが、実際はどうだったのでしょうか。2020年の全国企業倒産は7,773件、その中で新型コロナの影響による倒産は792件でした。負債総額は全体で約1兆2,200億でした。倒産件数としては50年間で4番目の低さでした。コロナ禍の各種支援策により、2020年7月以降は、6ヵ月連続で前年同月を下回りました。
負債総額が10億円以上の大型倒産は198件と、2019年の185件から増えました。負債総額が1億円未満の倒産は5,925件と、2019年の6,288件から減りました。
業種別でみると、新型コロナウィルスの影響を受け、インバウンド需要の消失、外出自粛などで影響を受けた飲食業や宿泊業を含むサービス業が2,596件と前年より1.0%増えています。飲食料品小売業などの小売業は1,054件と前年より14.3%減っています。1991年以降の30年間で最少倒産数でした。
地区別でみると、中国地方が358件と前年より2.5%増えました。生活関連サービス業、娯楽業を含むサービス業が118件と件数を押し上げました。北陸地方が前年と同件数で、それ以外の地域は、すべて前年を下回っています。
新型コロナウィルスにより全国的に緊急事態宣言が発令され、移動制限など企業業績に影響を与えましたが、各種支援策により企業の倒産件数は思ったよりも抑えられていま
参照元:株式会社東京商工リサーチHP
倒産について
倒産と一言でいっても色んな種類の言葉を聞きます。「会社更生」、「民事再生」、「破産」、「特別清算」、「取引停止処分」、「内整理(任意整理)」。どう違うのかを解説します。
倒産には、法的倒産と私的倒産があります。法的倒産は、裁判所による関与、監督のもとに手続きが進められます。法的倒産には、再建型と清算型があります。
2010年1月に、日本航空㈱が会社更生法適用を申請し、経営再建を図り、2012年9月19日に東京証券取引所に再上場しました。再建型の「会社更生」は、再建の見込みのある株式会社について破産を避け、事業を継続して再建を図る手続きとなります。会社のすべての利害関係人を手続きに取り込み、抜本的な再建計画の策定をいたします。そのため、費用負担も大きく、法的拘束力があるため、規模の大きな企業向きの手続きとされています。
2020年5月15日に、アパレル企業の㈱レナウンのグループ会社が東京地方裁判所に民事再生法の適用を申し立て、民事再生手続きに入りました。負債総額は約139億円で、東京証券取引所第1部から上場廃止となりました。2020年10月30日に民事再生手続きの廃止決定をうけ、11月27日に破産手続の開始決定を受けました。
民事再生手続と、会社更生手続との違いを確認いたします。民事再生手続は、個人も会社も対象となりますが、会社更生手続は、株式会社しか適用できません。会社更生法は手続きが複雑で厳格なため株式会社でも大企業向けです。そのため、中小企業の場合は、民事再生手続を利用することになります。民事再生は、経営者の交替、株主構成の変動は必須とされていません。その他、担保権の取扱いなども違いがあります。
清算型の破産と特別清算は、会社の財産を換価して債権者に分配します。ここからは、破産と特別清算の違いを確認いたしましょう。
まず、破産は破産法、特別清算は会社法に基づいています。破産は個人、会社ともに利用することができますが、特別清算を申し立てられるのは、清算中の株式会社のみとなります。会社を清算する手続きの任務を負うのは、破産は破産管財人、特別清算の場合は清算人となります。破産管財人は、通常は裁判所の管轄下にいる弁護士が選任されます。清算人は、会社の代表者や顧問弁護士などを選ぶことができます。手続きは、破産の場合、破産管財人が債権調査と同時に資産の換価を行い、裁判所の許可を得て債権者に配当します。特別清算は清算人が債権調査および資産の換価を行い、債権者との話し合いにより支払います。
●法律
破産:破産法
特別清算:会社法
●対象
破産:個人、法人
特別清算:生産中の株式会社
●手続き任務を負う人
破産:破産管財人(裁判所管轄下の弁護士が選任される)
特別清算:清算人(会社の代表者や顧問弁護士などを選ぶ)
●手続き
破産:破産管財人が債権調査と同時に資産の換価を行い、裁判所の許可を得て債権者に配当
特別清算:清算人が債権調査および資産の換価を行い、債権者との話し合いにより支払い
私的倒産は、取引停止処分と内整理(任意整理)があります。
取引停止処分とは、手形や小切手を指定期日に決済できないこと(不渡り)を、同一手形交換所管内で6カ月以内に2回起こした場合の制裁処分です。取引停止処分を受けると、手形交換所の加盟金融機関から2年間にわたり当座取引や貸出取引ができなくなります。電子債権の取引も6ヵ月以内に2回の決済不能を起こした場合、電子債権記録機関から取引停止処分を受けます。
内整理とは、資産より負債の金額が大きくなる債務超過状態に陥った債務者が、債務を弁済できない場合、債権者の同意を得て、会社更生法等の法的手続きによらずに、債権・債務を清算する方法です。
自己破産について
自己破産とは、借金が返済できなくなった際に裁判所へ申立てをし、借金の返済義務をなくす(免責する)ことです。任意整理、個人再生、自己破産があります。自己破産では、借金は原則全額免除され、高価な財産は処分されます。裁判所の事件統計によると、個人の破産事件の新受事件数は、平成元年9,433件、平成10年105,468件、平成20年129,883件、平成30年が73,268件となっています。平成15年は242,849件で、平成において件数が一番多い年でした。法外な金利により元本を上回った返済を行っていたため、返済ができなくなり自己破産件数が多かったと考えられます。
参照元:裁判所HP
金融庁から借りすぎ・多重債務の注意喚起が発信されています。
多重債務等に陥らないために、以下の注意が必要です。
①本当に借入が必要か
②無理なく確実な返済が可能か
③契約内容を理解できたか
返済に困った場合には、1人で悩まずに早めに身近な人や、弁護士会、司法書士会、国民生活センター、クレジットカウンセリング協会等に相談しましょう。
参照元:金融庁HP
まとめ
倒産には、「会社更生」、「民事再生」、「破産」、「特別清算」、「取引停止処分」、「内整理(任意整理)」があります。法的倒産は、裁判所による関与、監督のもとに手続きが進められます。法的倒産には、再建型と清算型があります。それぞれの違いを確認いたしましょう。
個人の場合、多重債務等に陥らないために、①本当に借入が必要か、②無理なく確実な返済が可能か、③契約内容を理解できたか、の注意が必要です。返済に困った場合には、1人で悩まずに早めに身近な人や、弁護士会、司法書士会、国民生活センター、クレジットカウンセリング協会等に相談しましょう。
このテーマに関する気になるポイント!
- 会社更生とは?
再建の見込みのある株式会社について破産を避け、事業を継続して再建を図る手続きのこと。 - 民事再生とは?
個人も会社も対象となります。中小企業の場合は民事再生手続を利用します。 - 破産とは?
破産管財人が債権調査と同時に資産の換価を行い、裁判所の許可を得て債権者に配当する手続きのこと。 - 多重債務等に陥らないために注意することは?
・本当に借入が必要か
・無理なく確実な返済が可能か
・契約内容を理解できたかの3つについて注意すること。
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