雨の降り方を表す言葉には、小雨や霧雨など様々あります。「ゲリラ豪雨」は正式な気象用語ではありませんが、集中豪雨の一種を指す言葉として、近年メディアなどで使われるようになりました。「ゲリラ」は奇襲を意味しますが、「ゲリラ豪雨」は局地的な大雨のなかでも、正確に予想するのが難しいものといった意味合いを持っています。

気象庁の用語としては「集中豪雨」や「局地的大雨」が、ゲリラ豪雨に近いものとなっています。「集中豪雨」は、積乱雲が同じ場所で次々に発生して雨を降らせる状態です。100mmから数百mmの雨を降らせ、土砂災害や家屋への震災などを引き起こします。

もうひとつの「局地的大雨」が、よりゲリラ豪雨に近いかもしれません。単独の積乱雲が発達することによって起きる大雨で、急に強く降り、短時間に狭い範囲で数十mmの雨量をもたらします。大雨や洪水といった注意報・警報が発表されないうちに、急な強い雨で河川や水路が増水し、重大な事故を引き起こす可能性があります。

ゲリラ豪雨のような急な大雨をもたらすのは、積乱雲です。積乱雲を作るのは、地上付近にある暖かく湿った空気。水蒸気を含んだ空気は、上昇して凝結し、積乱雲に成長していきます。水蒸気が凝結してできた雲粒は、やがて雨粒の大きさになります。そうすると雨粒は地上に降り注ぎ、ときとしてゲリラ豪雨となるのです。上空に寒気が入り込むと、地上付近にある暖かく湿った空気が上昇する不安定な状態になり、ゲリラ豪雨につながります。

最近増えたといわれるゲリラ豪雨。要因としては、地球温暖化など様々なものが挙げられています。なかでも注目されるのがヒートアイランド現象。アスファルトやコンクリートに覆われた都市では、地表に熱がこもりやすい状況になっています。暖かく湿った空気は、ゲリラ豪雨をもたらす積乱雲を作る要素。高層ビルが立ち並ぶ地形も、ゲリラ豪雨を引き起こしやすくしているといった研究もあります。さらに都市部では水が地面にしみ込みにくいことも、ゲリラ豪雨が災害につながりやすい原因になっています。

2008年は「ゲリラ豪雨」という言葉に注目が集まった年でした。この年に起こったいくつかの局地的大雨について、雨量データを確認してみましょう。2008年7月18日に起こった多摩川付近での局地的大雨では、14時00分からの1時間で38.0mmの雨量が観測されました。

同じ年の7月28日には、京都府京丹後市峰山（みねやま）で13時30分までの1時間に81.0mmの猛烈な雨が記録されています。さらに同じ年の8月29日、愛知県岡崎市岡崎で観測された、1時間146.5mmの雨。ゲリラ豪雨では短時間に大量の雨が降り、各地で記録的な数字を残しています。

FAQ

1. ゲリラ豪雨とは？
   集中豪雨の一種を指す言葉です。
2. ゲリラ豪雨の意味に近い予報用語は？
   「集中豪雨」や「局地的大雨」と考えられます。
3. ゲリラ豪雨はどうやって発生する？
   積乱雲によって地上付近にある暖かく湿った空気が上昇する不安定な状態になり、ゲリラ豪雨につながります。
4. ゲリラ豪雨の原因は何？
   地球温暖化やヒートアイランド現象と言われています。
5. ヒートアイランド現象とは？
   アスファルトやコンクリートの多い都市部で、地表に熱がこもる現象。
6. ゲリラ豪雨の起きやすい時期は？
   8月上旬と言われています。