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ニートを正しく知る。ニートの定義、フリーターや引きこもりとの違いとは
「就学・就労していない、また職業訓練も受けていない」というのがニートの定義ですが、フリーターやひきこもりとの違いはご存じでしょうか。ニートの人数や、心理的な状況、脱ニートの一歩を踏み出すコツなどを解説しています。
ニートの定義とは
ニートは、1999年にイギリスで使われ始めた言葉。労働政策に関する報告書で使用されたのが最初です。ニートを英語で書くとNEET、「Not in Education, Employment or Training」を略したものです。日本語にすると「就学・就労していない、また職業訓練も受けていない」といった意味になります。日本では、2003年に厚生労働省関連の研究機関がこの言葉を紹介して知られるようになりました。翌2004年にはニートに関する書籍も出版され、メディアでも使われるようになっています。
ニートという言葉は、もともと労働政策を考えるうえで登場したのが始まりでした。「就学・就労していない、また職業訓練も受けていない」人が、どういった経済・社会の構造から生まれるのか、どう支援すべきかといった問題提起です。しかしメディアやネットで広がるなかで、「怠け者」「無気力」「親に寄生している」というようなネガティブなイメージで語られることも多くなってきました。人を罵倒するときに使われる言葉になっていることも懸念されます。
ニートの数はどのくらいなのか
日本のニート人口については、総務省統計局が実施している「労働力調査」(基本集計)から知ることができます。ニートに近いのが、「若年無業者」という概念。この定義は、「年齢15歳~34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者」とされています。
『平成30年版 厚生労働白書』では、若年無業者数(15歳~34歳)の推移を紹介していて、2017年には54万人となっていました。内訳は、15歳〜19歳が7万人、20歳〜24歳が14万人、25歳〜29歳が15万人、30歳〜34歳が17万人という状況です。1993年から2017年の推移に注目すると、若年無業者の数がもっとも少なかったのは、1993年と1996年で40万人。多かったのは、2002年、2005年、2008年の64万人となっています。
フリーター、引きこもりとの違い
ニートと混同しやすい言葉に、「フリーター」や「引きこもり」があります。「就学・就労していない、また職業訓練も受けていない」というニートの定義とどのように違うのか確認してみましょう。
「労働力調査」からニートの人数を抽出する際には、「年齢15歳~34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者」という定義を使いました。アルバイトをしているフリーターはこれに含まれません。内閣府の『平成22年版子ども・若者白書』ではフリーターを次のように定義しています。
15~34歳で、男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者のうち、(1)雇用者のうち勤め先における呼称が「パート」又は「アルバイト」である者、(2)完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者、(3)非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で、家事・通学等していない者、という定義です。
フリーターには、パート・アルバイトの形で仕事をしている人が入っています。これはニートとの大きな違いと言えるでしょう。現在働いているかどうかにかかわらず、パート・アルバイトという仕事の形に着目した概念であることが分かります。
『平成22年版子ども・若者白書』には、「引きこもり」の数を把握するための調査結果が掲載されています。そこで使われている定義を紹介しましょう。
「ふだんは家にいるが、近所のコンビニなどには出かける」「自室からは出るが、家からは出ない」「自室からほとんど出ない」の3つが狭義の引きこもりの定義として使われています。また広義の引きこもりとして「ふだんは家にいるが、自分の趣味に関する用事の時だけ外出する」も使っています。自室から出ることがあるか、外出をすることはあるかといったことに着目していて、「ニート」の定義とはまた違った観点に立った見方と言えるでしょう。
会話のなかでニートやフリーター、引きこもりといった言葉を使うときには、上手に使い分けることが必要な場面もあるかもしれません。
ニートが陥りがちな思考
ニートの状態にあることは、その人にとって精神的な負担になっているようです。厚生労働省が平成19年に公表した「ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究」では、ニート状態にある若者にアンケートしています。
これによると「仕事をしていないとうしろめたい」と感じている人は、82.8%と高い数字となっていました。「仕事をしていくうえで人間関係に不安を感じる」も80.9%と多いのですが、その一方で「社会や人から感謝される仕事がしたい」82.5%や、「どこでも通用する専門技能を身につけたい」80.4%という数字もあり、内面で葛藤する様子がうかがえます。
ニートを脱する第一歩
人手不足が社会問題化している現代の日本では、ニートもやる気次第で貴重な労働戦力です。できることからやってみるのが良いでしょう。フルタイムで働くのが大変ということであれば、短時間や単発のアルバイトもあります。極力家から出たくないという場合は、在宅ワークを探すことも可能です。人間関係に不安があるのであれば、ひとりで作業することの多い工場勤務なども良いかもしれません。これまでに経験していたり、現在関心を持っていたりする分野で、職業訓練を探すこともできそうです。
「収入を得る」ということでは、インターネット上の様々なサービスも活用できるでしょう。最近ではシェアリングエコノミーの一環として、人々がそれぞれ持っているスキルを提供して対価を得る、スキルシェアリングという形態があります。もしハンドメイドが得意ということであれば、フリマアプリの「ラクマ」を利用してみるというのはどうでしょうか。作品を出品してみることが、新しい生活の第一歩となるかもしれません。
FAQ
- ニートとは
「就学・就労していない、また職業訓練も受けていない」という意味 - ニートの言葉はいつから使われている?
1999年にイギリスで使われ始め、日本では2003年に厚生労働省関連の研究機関が使い、翌2004年にはニートに関する書籍も出版され、メディアでも頻繁に使われるようになりました。 - 日本のニートの数は?
2017年時点で54万人。
内訳は、15歳〜19歳が7万人、20歳〜24歳が14万人、25歳〜29歳が15万人、30歳〜34歳が17万人。 - ニートと引きこもりの違いは
引きこもりは自室から出ることがあるか、外出をすることはあるかといったことに着目。
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