器用貧乏とは、「器用でなんでもこなすことができるがゆえに、どれも中途半端になって大成しないこと」という意味の言葉です。基本的には、褒め言葉ではなく、ネガティブな意味で使われます。

器用貧乏な人は飲み込みが早く、どのような分野のことでも、そつなくこなせるでしょう。しかし、少し取り組んだだけでもある程度できてしまうため、努力をする意欲が湧かず、ひとつのことを究められないという側面も。このことから、自分には強みがないと感じて悩む人が多いようです。

器用貧乏は一般的には短所として使われる言葉ですが、特徴を上手に捉えれば長所として生かすこともできます。器用貧乏といわれる人の特徴を見ていきましょう。

1. 要領が良くたいていのことはできる
2. 柔軟な対応ができる
3. 執着心がなく飽きっぽい
4. 頼まれたら断れない

器用貧乏な人は要領が良く、初めて取り組むことでも難なくこなすことができるでしょう。あらゆるジャンルの知識やスキルを有しており、どんなことに取り組んでも平均点以上の結果を残すことが可能でしょう。その一方で、突出して秀でている能力がないと感じ、得意なことを問われても悩んでしまいがち。しかし、専門的な分野では負けるとしても、幅広い能力があるためオールラウンダーとして活躍する人もいます。

仕事では、想定外の出来事が起こることも珍しくありません。器用貧乏な人は柔軟な対応ができるため、トラブルに対しても的確に対処することが可能でしょう。また、物事に対してだけでなく人に対しても柔軟で、周りの意見も素直に受け入れます。コミュニケーション上手でどんな人ともそれなりに打ち解けられるため、職場では良い人間関係を築くことができるでしょう。

器用貧乏な人は、基本的にどんなことでもこなせる一方で、執着心がなく飽きっぽいという特徴があります。多くのことに興味があり目移りしてしまうため、ひとつの物事を突き詰めることが苦手でしょう。さまざまな経験を積むことは大切ですが、スキルアップのためには継続して取り組むことが必要不可欠。このことから、器用貧乏な人は仕事で大成しにくいともいわれています。

器用貧乏な人は、器用であることから周りに頼られる傾向があります。人に頼られることを嫌だと感じず、頼まれたら断れない人がほとんどでしょう。職場では人から相談されたりアドバイスを求められたりするなど、他人から頼られることが多い一方で、自身は人に頼るのが苦手な一面も。どんなことでもある程度はできるため、人に頼む手間を考えたうえで、自分でやった方が早いと思ってしまいがちです。

器用貧乏な人は器用であるがゆえに、どれも中途半端になってしまいがちで、仕事では大成できないといわれています。しかし、器用であることを強みとすれば、能力を発揮して活躍できる仕事もあるのです。器用貧乏な人に向いている仕事を3つご紹介します。

1. 事務職
2. ディレクター
3. 経営コンサルタント

器用貧乏な人は、たいていのことはなんでもできる傾向にあるため、幅広い業務をこなす事務職に向いています。事務職というと、書類作成や電話対応、来客対応などさまざまな業務がある仕事です。時には、上司や他部署のサポート業務も行わなければなりません。器用貧乏な人は要領がよく、柔軟性も高いため、幅広い業務でもスムーズに処理することができるでしょう。専門性はそれほど高くないため、器用貧乏な人に向いている仕事だといえます。

器用貧乏な人に向いている職業として、ディレクター職も挙げられます。ディレクター職の主な仕事は、全体の指揮をとりプロジェクトの進行管理をすること。映像作成からアート、イベント企画、Webなどさまざまな業界でディレクター職が存在しています。ディレクターはプロジェクトの進捗を管理する力や、問題に対応する解決力、コミュニケーション能力などが求められる職種です。器用貧乏な人は、一般的に見て柔軟性が高く視野も広いため、ディレクター職に向いているといえるでしょう。

器用貧乏は、経営コンサルタントにも向いているといえます。経営コンサルタントは、クライアントの課題を明らかにし、経営のアドバイスをする仕事です。全体の目標を達成するために、どのように解決すれば良いかを考える力が求められます。器用貧乏な人は複数の分野の知識やスキルを持っており、柔軟な考えもできるため、解決に導くのが上手だといえるでしょう。また、人に頼られがちで悩みを聞く力がある器用貧乏は、クライアントの悩みも上手に引き出すことができる傾向にあります。

器用貧乏はネガティブな言葉と思われがちですが、特徴の捉え方によっては長所にもなり得ます。自分の特徴を理解して、幅広いことに取り組めるという長所を生かせば、先ほど紹介したような仕事で成功することができるでしょう。