東日本大震災から10年。被災地の今と、これからの復興支援の在り方
東日本大震災から10年となる2021年。交通網などインフラの復興はほぼ完了しましたが、現在も避難生活を続ける被災者がいます。ここではこれから必要となる被災者への支援や、教訓を伝えるためにできることなどを紹介しています。
避難生活者数
東日本大震災では、多くの人々が避難生活を強いられることになりました。10年を経過した今、避難生活をする人の数はどれくらいいるのでしょうか。2020年12月25日に復興庁が、全国の避難者数を公表しています。それによると12月8日時点での全国の避難者数は約4万2,000人。全国47の都道府県、938市区町村に所在しているとしています。
発災直後は47万人が避難生活を経験しましたが、2016年3月には17万1,000人、2019年3月には5万1,000人と少しずつ減り、これからも減っていくものと思われます。
避難している人々が、どのような場所で生活しているいのかも気になるところ。復興庁によれば、1万8,800人が「応急仮設住宅等及びそれ以外の賃貸住宅等」、2万3,416人が「親族・知人宅等」、199人が「病院等」で生活しています。震災から10年がたち、なかなか元の生活に戻れないことには、大変な苦労があると考えられます。
参照元:復興庁 全国の避難者数
復興の現状
震災では広い範囲で、生活に必要なインフラが失われました。10年たった今、住宅や水道、交通網などの復旧・復興状況はどうなっているでしょうか。2020年9月末時点での数字が公表されています。まずは住まいの再建。災害公営住宅3万戸、民間住宅等用宅地1万8,000戸の完了率は99%に達しています。おおむね完了しているといえる数字です。
水道施設に関しては、復旧方法が確定している地区と、まだ定まっていない地区とがあります。復旧方法が確定している地区では、184ある復旧事業のうち98%となる181の事業が完了しています。一方、復旧方法が確定していない地域の46事業については、41%となる19の事業が完了したことになっているものの、46事業すべて「一部供用開始」という状態です。
交通網の復興も進んでいます。主要な直轄国道の総開通延長1,161kmは100%開通。県・市町村管理区間となっている道路では、被災した6,264路線のうち99%となる6,184路線で本復旧が完了しています。さらに復興道路・復興支援道路は570kmが計画されていますが80%となる457kmの工事が完了しました。
鉄道は2,350.9kmの路線が被災しましたが、現在は100%運行を再開しています。ただしJR大船渡線・気仙沼線は、BRTによる復旧。BRTはバス・ラピッド・トランジット(Bus Rapid Transit)の略で、連節バス・PTPS(公共車両優先システム)・バス専用道・バスレーンなどを組み合わせたバス高速輸送システムのことです。JR大船渡線と気仙沼線のケースでは、一部区間の鉄道路線を廃止した上で、部分的に線路を利用するバス輸送に移行しました。
住宅や水道、交通網などの復旧・復興状況をみると、ほぼ完了しているという状況。新しい生活を始められる環境が整いつつあります。
これからの復興支援の在り方
インフラの復興が進むなか、現在最も必要とされるのがソフト面での被災者への支援です。避難生活が長期化する人もいれば、災害公営住宅へ引っ越した人もいて、被災者の心身のケアや、コミュニティの形成といった支援が重要な課題になっています。
国の「被災者支援総合交付金」は、このようなソフト面の支援活動を支援する交付金です。被災地への生活支援相談員配置や、災害公営住宅のコミュニティ形成支援事業、県外避難者の交流会事業などに、この被災者支援総合交付金が使われています。
また、「心の復興」事業に関わるNPO団体などは、国から直接補助金を受け取れます。これまで、野菜作りやダンス、布ぞうり作りなどを通じてコミュニティ形成を図る催しが支援事業に認定されました。
3.11を忘れないために今自分ができること
東日本大震災の教訓を伝えていくためには、まず自分たちが3.11を忘れないということが大切です。そのための取り組みとして行われているのが「3.11伝承ロード」。被災の実情や教訓を学ぶための遺構や展示施設が登録され、マップや案内標識の整備が進んでいます。訪れることで3.11を繰り返し学ぶことにつながるでしょう。
登録されている遺構のひとつが、仙台市立荒浜小学校の「震災遺構」。震災当時、地域の指定避難所だった小学校で、2階まで津波が押し寄せました。児童や教職員、地域住民など320人が避難し、救われた場所です。1階と2階は、津波で損傷した姿をそのままに保存しています。津波の被害がなかった4階には、震災を伝える展示が設置されています。
また震災の伝承を目的に、子どもたちが中心になって行ったのが「女川いのちの石碑」。募金を集め、津波の到達地点よりも高いところに石碑を建てています。このようなプロジェクトがあれば、寄付やクラウドファンディングといった形で参加できる機会もあるでしょう。
東日本大震災から得られる教訓のひとつは、災害リスクへの備え。住宅や生活の再建には、お金の準備も必要です。ここで役立つのが楽天損保で扱っている火災保険、そして火災保険に付帯する形で加入する地震保険です。楽天損保の「ホームアシスト(家庭総合保険)」は、住んでいる地域の水災リスクによって保険料が変化します。高台など水災リスクの低い場所に住んでいる場合、保険料が安くなるかもしれません。一度、見積もりでチェックしてみると良いでしょう。
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
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