2020年問題とは?不動産、雇用、教育…知っておくべき事実

リリース日:2019/10/25 更新日:2024/10/28

2020年問題を知っているでしょうか。団塊ジュニア世代が50代になること、空き家の増加、小学校でのプログラミング必修化といった課題に直面します。ライフプランの見直し方法や、対応する制度を見てみましょう。

2020年問題とは?不動産、雇用、教育…知っておくべき事実
  1. 2020年問題とはどんな問題?
  2. 不動産、雇用、教育、どんな影響をうけるの?
  3. これからに備えるための自分磨きとは
  4. 参考サイト

2020年問題とはどんな問題?

2020年問題とはどんな問題?

日本が抱える問題としてよく取り上げられるのが、人口の問題です。少子高齢化や人口減少については見聞きすることも多いでしょう。人口に関しては世代間のばらつきがあり、とくに人数の多い世代として注目されるのが「団塊ジュニア世代」です。1971年から1974年の間に生まれた世代で、約210万人存在します。団塊ジュニア世代はバブル期に企業に採用された世代。2020年になると40代後半から50代前半に到達し、給与の面で雇用に影響を与えると言われています。

 

また日本は人口の減少が予測されていますが、世帯数についてもその数が減っていくかもしれません。国立社会保障・人口問題研究所の2018(平成 30)年推計「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」によると、世帯総数は2023年をピークに減少を開始するとの予想があります。世帯数が減ることで問題になってくるのが、空き家です。不動産市場に少なからず影響を与えるでしょう。このように、2020年からは人口の問題が身近なところで具体化してきそうです。

 

教育に関しては、2020年の教育改革で大きく変わります。大学入試試験について、2020年度から今までの大学入試センター試験に代わって「大学入学共通テスト」が始まるのです。そして新小学校学習指導要領により、2020年から小学校でのプログラミング教育の必修化がスタートします。2020年を迎えるにあたっては、こうした問題を意識しておくことが必要でしょう。

不動産、雇用、教育、どんな影響をうけるの?

不動産、雇用、教育、どんな影響をうけるの?

2020年問題についてより詳しく見てみましょう。まずは、2020年に団塊ジュニア世代が50歳前後に達するという問題。50歳前後という年代は、じつは企業において平均給与がもっとも高くなる年代です。国税庁が公表する「年齢階層別の平均給与」を見ると、50~54歳の階層でピークになっているのがわかります。企業のなかで団塊ジュニア世代の数が多い場合、人件費の負担が重くなる可能性も指摘されました。企業は何らかの対応が求められ、働く人にとっては収入が減る要因になるかもしれません。

 

不動産については、空き家の問題が注目されそうです。じつは空き家の数は、以前から増加しています。総務省統計局の平成30年住宅・土地統計調査によれば、平成5年には448万戸だった空き家が、平成30年には846万戸まで増えました。世帯数が減り始めることで、空き家増加のペースはさらに加速するかもしれません。

 

国土交通省によると、空き家の取得原因でもっとも多いのが相続です。管理が行き届かない空き家が増えることに、多くの問題が指摘されています。倒壊や火災などの、防災・防犯面での問題。ゴミの不法投棄などの、衛生面での問題。そして何より、不動産が有効活用できないという課題があります。空き家となる不動産を相続する可能性がある場合、対応を考えておくべきでしょう。

 

2020年の重要な教育関連スケジュールが、小学校での「新学習指導要領」全面実施と、「大学入学共通テスト」実施です。新学習指導要領で注目したいのは、プログラミング教育の必修化。また大学入学共通テストにおいては、国語・数学で記述式問題が導入され、英語では聞く・読む・話す・書くが評価されるようになります。

 

問題として指摘されているのは、教師など現場での対応がうまくいくかということです。教師だけでなく、これから小学生になる子どもや、大学受験を迎える子を持つ親などにとっても注目すべき課題と言えます。

これからに備えるための自分磨きとは

これからに備えるための自分磨きとは

自分やパートナーが団塊ジュニア世代という場合は、どのような備えが必要でしょうか?給与が思うように上がらないケースも想定しておきましょう。予定よりも不足する金額を、副業などで補うことも考えられます。すでに長期的なマネープランがある場合は、収入が伸びないケースのシミュレーションもしておきたいもの。予定より長く仕事をしたり、老後の生活費を見直したり、プランの変更が必要かもしれません。

 

空き家問題については、いくつかの制度を知っていると役に立つはずです。たとえば税制では「空き家の発生を抑制するための特例措置」があります。これは住宅を相続した場合、相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、一定の条件を満たす空き家を売却すれば、譲渡利益から3,000万円を限度に控除できるというもの。市場での流通を促進する制度です。

 

また国では、既存住宅の流通を促す制度も用意しています。既存住宅を安心して購入するため、専門家による建物検査(インスペクション)がセットになった既存住宅売買瑕疵(かし)保険などです。住宅ローン減税も、条件を満たせば既存住宅の購入に利用できます。空き家が増えることで、安く良い物件を手に入れられる可能性もあるでしょう。既存住宅の購入が増えることで、空き家を減らすことができます。

 

これから小学生になる子を持つ場合は、やはり親もプログラミングの知識を持っておく必要があるかもしれません。学校で習うプログラミングについて質問されたとき、答えられるようにしておくと安心です。仕事においてもIT化の流れが進めば、プログラミングの学習が役立つ可能性はあります。本格的に学習することで、将来的に長く働くための特技にもなるでしょう。自分への投資と言えそうです。

 

 

このように2020年には、団塊ジュニア世代を中心とした雇用の問題、空き家増加の問題、新しい教育制度のスタートなど対応すべき課題がいくつかあります。ライフプランの見直し、既存住宅に関する制度の確認、プログラミングなど新しい知識の習得といったことに積極的に取り組み、乗り越えていきましょう。

 

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参考サイト

・国立社会保障・人口問題研究所|2018(平成30)年推計 日本の世帯数の将来推計(全国推計) 2019.10.24
http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2018/hprj2018_PR.pdf

 

・国税庁|年齢階層別の平均給与 2019.10.24
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan1997/menu/05.htm

 

・総務省統計局|平成30年住宅・土地統計調査 2019.10.24
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pdf

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黒川ヤスヒト
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(AFP)
黒川ヤスヒト

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。

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