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財形貯蓄は引き出したり解約したりするとどうなる?控除の有無は?
財形貯蓄は給料天引きで行われる資産形成方法のひとつです。財形貯蓄の概要をご説明するとともに、同じように給与天引きで行われることもある確定拠出年金と比較して、両者のメリット・デメリットを明らかにします。
財形の種類とは
財形貯蓄というのは、給料から会社が天引きをして金融機関に預けるタイプの財産形成のことです。財形貯蓄制度がある会社の社員が利用することができます。財形貯蓄には、目的ごとに3つの種類があります。それぞれの特徴を簡単にご紹介すると次のとおりです。
・年金財形
将来、年金として受け取ることを目的として行う財形貯蓄です。元本550万円までに対する利子が非課税になるというメリットがありますが、年金以外の目的で解約や引き出しをした場合は、過去5年間分の利息に対して課税されます。(それ以前の利息は非課税になります)
・住宅財形
将来、住宅の購入やリフォームのために利用することを目的として行う財形貯蓄です。年金財形と同様に、元本550万円までについて利子が非課税になりますが、目的外での引き出しや解約の場合、過去5年分の利息に課税されます。
・一般財形
目的を定めない財形です。利息への非課税といった優遇制度は特にありません。
なお、年金財形と住宅財形の両方を利用している場合は、「両方の合計で550万円まで」が利息の非課税優遇を受けられる限度額となります。
また、財形貯蓄を利用している人は、住宅を購入する際、「財形持家転貸融資」という融資を受けられる場合があります。利用条件は、1年以上財形貯蓄の積み立てを行っていること(種類は問われません)、財形貯蓄残高が申し込み時点で50万円以上あること、会社から一定額以上の補助(住宅手当など)があることの3点です。
引き出すとどうなる?
財形貯蓄は本来、長期的な資産形成を目的にしたものですが、途中で引き出しや解約ができないというわけではありません。一部だけを引き出すことも可能です。
ただし、年金財形や住宅財形を本来の目的以外で引き出した場合や解約した場合、利息に対して課税されてしまいます。しかし、そもそも、今は銀行の利息が極端に低いため、課税か非課税かによって受け取れる金額の差もごくわずかでしょう。
たとえば、300万円を金利0.001%で預けた場合、1年間で受け取れる利息はたった30円です。利息にかかる税金は20.315%ですから、6円の税金が控除されることになります。正直、これが非課税になるかならないかは、それほど大きな問題ではないでしょう。(財形は毎月積み立てるものですから、実際の利息計算とは異なります。)
また、財形は一度引き出しをしたあとも、継続して積み立てを続けることができます。一般的な預金ほど手軽に引き出すことはできませんが、引き出しができないわけでも、元本割れなどの深刻なデメリットがあるわけでもないため、比較的気軽に利用できるでしょう。(一部の保険商品などは、元本割れが起こる可能性もあります。財形貯蓄でどのような商品を選択できるのかは、それぞれの企業によって異なりますが、元本保証の商品が主流です。)
確定拠出年金(企業型確定拠出年金・iDeCo)と比べるとどっちがお得?
今、個人の資産形成として注目されているのが「確定拠出年金」です。特に、企業型確定拠出年金は、企業を通して行う老後の資産形成ですから、年金財形と似た性質を持っているといえます。
【税制優遇】
財形貯蓄と確定拠出年金のどちらがより「お得」かというと、税制優遇の幅が広いのは、断然確定拠出年金です。
財形貯蓄は、利息の非課税制度しか優遇がないのに対し、確定拠出年金は、企業型であっても個人型(iDeCo)であっても、掛金全額が所得控除の対象になり、積み立てれば積み立てるほど所得税や住民税を軽減させる効果があります。
ただし、受け取るときは注意が必要です。財形貯蓄は積み立てた金額を受け取るときに課税されることはありませんが、確定拠出年金の場合は「所得」として課税されることになるのです。つまり、「積み立てるときは非課税」「受け取るときに課税」という制度が取られているということですね。
とはいえ、受取時の課税についても、「一時金として受け取る場合は退職所得控除」「年金として受け取る場合は年金所得控除」を利用することができます。もともと退職金がない会社に勤めている場合などは、一時金として受け取ることで大きな節税効果を得られるでしょう。
【手数料】
財形貯蓄は、利用するために手数料がかかることはありません。また、企業型確定拠出年金は、原則として企業が手数料を負担します。
しかし、企業型確定拠出年金ではなくiDeCoを利用する場合は注意が必要です。iDeCoでは、口座開設時だけでなく、月々の管理料もかかってしまうため、運用がうまくいかなければ、資産を増やすどころか減らす羽目になってしまいます。
【その他】
資金用途の自由度という意味では、断然財形貯蓄が優れています。確定拠出年金は、一度始めてしまうと、原則として一定の年齢以上になるまで、引き出すことも解約することもできません。積み立てを中止することはできますが、口座の維持手数料は継続して支払うことになります。簡単に解約するのを防ぐ効果は期待できますが、当座の生活防衛費として、すぐに動かせる現金を別に確保しておく必要があります。
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