暗号通貨
日本の借金は“1,103兆円”!?内訳や一人当たりの借金額
「日本の借金は1,103兆円にものぼり、国民ひとりあたりにすると平均年収を大幅に上回ってしまう」という話を耳にすることがよくありますが、これは事実なのでしょうか?日本の借金事情について説明します。
日本の借金1,103兆円は嘘?
2019年5月10日、財務省は2019年3月末日時点での国の借金が1,103兆3,543億円だったという発表をしました。これは、前年に比べて15兆5,414億円も多い金額です。借金を減らすどころか、増やしてしまっているということです。
これは財務省の正式な発表ですから、「嘘」ということはありません。しかし、「何をもって借金とするのか」という点については、考えておく必要があるでしょう。
たとえば、国の借金は1,103兆3,543億円という発表がありましたが、2017年度の「連結貸借対照表」を見ると、2018年3月31日の負債総額は1,492兆円を超えています。つまり、政府関連事業を司る独立行政法人の負債額を含めると、さらに借金の総額は大きくなるということです。
借金の内訳と貯金
日本には「借金」だけでなく「貯金」もあります。2019年3月28日に財務省より公開された「国の財務書類(一般会計・特別会計)」の貸借対照表を見てみましょう。
<負債の部>が、国が抱えている債務ということになります。未払い金等を除いた一部を抜粋します。
「公債」の大部分は国債です。また、次に大きい「公的年金預かり金」は、将来の年金給付のために預かっている金額ですが、これが負債扱いになっているのは、年金の制度上そのように扱うと定められているためです。
ここで負債の合計欄をチェックしてみると、1,238,875,311(百万円)となっています。一方、資産の部の合計は670,513,522(百万円)なので、その差は568,361,788(百万円)です。
このように、日本には負債もあるけれど資産もあるので、負債は資産を上回っているものの、負債だけを見た場合と負債と資産の差を見た場合とでは、大きく様相が異なります。
日本政府は、「資産に計上されているものは簡単に現金化できないものであったり、用途が決まっているものであったりして、赤字の解消には使えない」と主張しています。しかし、現金化できるものがまったくないという見方には異論もあるようです。
借金額だけを見て問題視してはならない
日本の人口は約1億2,600万人です。1,103兆3,543億円を人口で割ると約875万円ですから、0歳児や100歳の老人も含め、1人あたり875万円の借金を負っている、ということもできるでしょう。
このように、人口1人あたりの借金額を割り出して不安をあおるというのは、よく行われていることです。しかし、実際には、日本の借金の大半は海外に対してしているものではなく、国民に対してしているものです。「国債」がその代表格ですね。個人向け国債だけでなく、個人の金銭を預かる金融機関も国債に投資して国にお金を貸しているため、その金額は莫大です。
しかし、ここで改めて「国民にお金を借りている」という状況について考えてみましょう。
ある家庭に「借金が500万円ある」となれば、それは大きな問題です。しかし、これが問題になるのは、「銀行や消費者金融から借りている」場合であり、「500万円の借金があるが、子どもが親に借りている」という場合は、確かに問題ではあるかもしれませんが、即座に家計が破綻するという問題にはなりづらいのではないでしょうか。
「借金が500万円あるが、これは子どもが親に借りている借金であり、子どもには貯金が400万円ある」という状況であれば、なおさら問題は軽くなります。日本の借金の現状を考えるときも、このように、借金額だけでなく、「誰が誰にしている借金なのか」「資産の額はどうなのか」ということにも着目する必要があります。
もちろん、誰にしていたとしても借金は借金ですし、ただちに一切の不安要素がなくなるということではありません。しかし、借金によって国自体がつぶれてしまうリスクがどれくらいあるのかということを考えるのであれば、借金額以外の部分にも目を向けなければいけません。実際に、日本自体が危ないのであれば、国債も危険視されることになるでしょう。現状、そのようなことはありませんよね。
現在の日本における借金の現状とは
日本の借金額は、確かに少ない金額ではありません。これは事実として受け止めるべきことでしょう。しかし、「1人800万円以上なんて、とてもじゃないけど返せない!」と悲観しすぎる必要もありません。なぜなら、負債があるのと同時に資産も持っていて、なおかつその負債のほとんどが国内での借金だからです。
国内の借金は、極論を言えばお金を印刷すれば返せるものです。(もちろん、それには別の問題が発生しますが)。国外に対して借金をしているケースと同じように考えて、「日本はもう終わりだ」と悲観する必要は当面ないといえるでしょう。
参考サイト
・財務省|平成29年度 国の財務書類(一般会計・特別会計) 2019.9.5
https://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2017/national/fy2017gassan.pdf
・財務省|現行の公的年金に係る負債計上の取扱い等について 2019.9.5
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseidg181201/zaiseidg181201_1.pdf
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