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運転免許証の返納|高齢者による事故の増加と返納して受けられる優遇について
高齢者による自動車事故が増えている近年、免許証を自主返納する人が増えてきています。この記事では、免許証自主返納制度ができた背景から免許証の返納方法、免許証を返納することで受けられる優遇サービスについて解説しています。
高齢者の自動車事故が増えている
免許証の返納の前にまず知っておきたいのが、高齢者の自動車事故に関すること。ニュースでは高齢者の事故ばかりが取りざたされますが、実際はどうなのでしょうか。
2018年の交通死亡事故の発生件数自体は2008年に比べて減少しています。「緊急停止ブレーキ」をはじめとする、先進安全技術を搭載した車が増えてきたことも要因のひとつです。これを年代別に事故の発生件数を見てみると、20~74歳の免許保有人口10万人あたりの事故発生件数が3~4件であるのに対し、75~79歳では6.2件、80~84歳になると9.2件、85歳以上ではさらに増えて16.3件となっています。75歳以上のドライバーの事故率が高いのは統計的に明らかです。
75歳以上になると事故が増えていく要因としては「判断能力や視力、身体能力の低下」が挙げられます。「ブレーキとアクセルを踏み間違えてしまった」といったような事故が多いことは、その象徴です。
免許証の自主返納はなかなか進んでいなかった
こういった状況の中、1998年4月に道路交通法が改正され、免許証の自主返納制度が始まったのですが、当初、免許証を返納する人は多くありませんでした。その理由は、多くの人にとって「免許証を返納すると身分証明書がなくなる」状況だったからです。
そのため、2002年から免許証を返納した人には公的な本人確認書類として利用可能な「運転経歴証明書」が発行されるようになりました。これによって免許証を返納する高齢者が2012年では年間11万7,613人にまで増えたのです。
しかし、それでも免許証を返納していない高齢者による事故が相次いでいます。その理由をさらに深掘りしていくと「高齢者の生活環境と地域格差」にまで話が広がっていきます。バスや電車といった公共交通機関が発達した都市部などでは、車がなくても高齢者の移動は比較的簡単ですが、地方の山間部などでは「車がないと生活できない」のが現実です。また、加齢で足腰が弱っている高齢者も少なくありません。そうなると、最寄りのバス停や駅まで歩くこと、買い物をして荷物を自宅まで持って帰ることさえ非常に困難なことがあります。
このような状況では、たとえ判断能力が低下してきていると自覚していても、自動車に頼らざるを得ないということもあります。高齢者による自動車事故が起きてしまう背景にはこのような事情があるのです。
そこで近年では、免許証を返納したとしても生活が不自由にならないような制度が創設され、高齢者の移動を助けるサービスが増えてきました。免許証を返納する代わりに顔写真付き身分証明書が発行されることに加えて、自分で車を運転しなくても生活に支障が出にくい制度やサービスを行政が整えるようになった結果、現在では免許証を返納する高齢者の数が増加傾向にあります。
自主返納のやりかた、手続き
次に、免許証の自主返納手続きをする場所と手続きについて解説していきます。
まず返納手続きをする場所は、「免許センター(運転免許試験場)」か「最寄りの警察署」です。地域によっては交番でも受け付けてもらえるところもありますので、インターネットで確認するか、警察署に電話してみるといいでしょう。
注意しておきたいのが手続きできる時間帯で、基本的に平日で警察署の窓口が空いている時間(9時~17時)となっていることです。免許センターや一部の警察署では土日祝日も受け付けているところがありますので、訪問前に確認することをおすすめします。
運転免許証の代わりに身分証明書になる運転経歴証明書の発行も、免許証の返納と同様に免許センター(運転免許試験場)や警察署などで受け付けています。運転経歴証明書の発行は免許証の返納から5年以内であれば申請できますが、何度も手続きに行くのは大変ですから、免許証を返納したその日のうちに手続きしてしまいましょう。
自主返納すると優遇措置があり!?返納によるメリットとは
最後に、免許証を返納することで受けられる優遇措置(メリット)について紹介します。都道府県によって異なってきますが、優遇措置としては電車や市営・県営バスの割引券、タクシーの運賃割引などがメインです。高齢者の運転免許返納をサポートする企業の商品やサービスを割引で購入できる場合もあります。
高齢を理由に免許を返納する方が多いと思いますが、高齢でなくても免許を返納すれば受けられるサービスですので、運転しなくなったという方は検討してみるといいでしょう。
高齢者の自動車事故が増えている中、免許証を返納すると様々な恩恵も受けられますから、周りに運転が不安な高齢者がいたら声掛けをして事故が減っていくように働きかけていくことも大切ですね。
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