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過去から未来までの日本のインフレ率を解説!今後の日本はインフレになるの?
景気を語るうえで、物価の問題は外せません。モノの値段が上がり、お金の価値が下がることをインフレーションと呼び、景気拡大局面にはインフレが起きやすいと言われています。物価は景気をあらわす鏡です。戦後から現在までの日本のインフレ率と、今後の見通しをまとめました。
もくじ
・戦後から現在にかけての日本の消費者物価指数はどれくらい?
・日本のインフレ率は急速に進んでいる?
・今後の日本のインフレ率の予測
戦後から現在にかけての日本の消費者物価指数はどれくらい?
日ごろの生活で、今がインフレかどうかを意識する機会やあまりないかもしれません。しかし、インフレによって私たちの生活は大きく影響を受けます。たとえば「昔はハンバーガーが1個50円だったのに、今では100円以上する」なんてぼやきを聞いたことはありませんか。これもインフレが引き起こした現象です。
インフレとは逆に、物価が下がりお金の価値が上がる現象もあります。このインフレーションの対義語にあたるものが、デフレーションです。デフレになると、今後価値が上がる見込みのない株や不動産の魅力がなくなり、それよりも現金の需要が高まります。
戦後から見ると、日本の消費者物価指数は大きく上昇しました。1966年からの消費者物価指数を見たところ、1990年代前半までは一貫して右肩上がりと言っていいでしょう。インフレ率は、今年と前年度の消費者物価指数から計算します。1985年までの間、インフレ率も数%ずつ上昇し続けました。
また1989年~1992年のいわゆるバブル景気のときにも、インフレ率は2~3%ずつ上昇し続けていたことが示されています。インフレ率を調べるには、今年の消費者物価指数から昨年の物価指数を引き、100を乗じることで計算可能です。つまり、この時代では数%ずつ毎年物価が上がり続けたと言えるでしょう。
日本のインフレ率は急速に進んでいる?
消費者物価指数では、基準の年を100とします。たとえば2015年を基準としたとき、1966年は約25.7。これだけを聞くと、急速に物価が上昇しているように感じるかもしれません。しかし近年の日本のインフレ率は、2014年を除いてほぼ横ばいとなっています。
2014年の1年前、2013年はアベノミクスが発動された年です。1990年代半ばから続くデフレ打開策として発表されたのがこの政策でした。アベノミクスの第一の矢「金融緩和政策」として掲げられていたインフレ目標は2%。残念ながら近年のインフレ率は大きくは上昇していません。
日本のインフレ率があまり上がらないのには理由があります。基本的にインフレ率が高い国とは、経済成長が著しい新興国です。これはモノとカネの関係にも原因があり、インフレは需要と供給のバランスが崩れて起こる現象と言い換えられるでしょう。
新興国は急速に発展するため、不足しているものを補うべく、ビルや物流整備など多くのモノが必要になります。モノに対しての需要が旺盛になることで、インフレが急激に進展。モノが不足し、値上げをしてもどんどん売れるため物価が上昇します。
一方で先進国はある程度満たされた状態です。物価が上がれば消費意欲は下がり、このためインフレ率も上がりにくくなります。
今後の日本のインフレ率の予測
インフレが急激に進むと、その反動も高まります。ただし成熟した国家である日本において、いきなりインフレが進むとも考えにくいでしょう。2%前後のインフレ率が経済的に見て安心できる範囲です。物価が緩やかに上昇する状態は需要が活性化し、経済も活発化しているということをあらわします。
しかし、物価が上昇することが必ずしも景気の活況を示すわけではありません。2000年代後半、日本でも一時的にインフレが進んだことがありました。これは世界的な原材料高が原因。景気も低迷するなか、多くの業種の企業がコストアップで収益が低下して、それを商品価格に転嫁しました。このようなコストプッシュ型の物価上昇は個人の消費を抑えて、企業の売上を下げてしまいます。
このようなインフレで問題となるのが、物価が上がっても賃金が上昇しないことです。モノの値段が上がっても給料が同じであれば、当然生活は苦しくなってしまいます。もともと賃金の動くペースは遅く、物価が上がってもすぐに賃金が上がることはありません。
欧州では物価が上がると、労働交渉がおこなわれ、インフレ率に合わせて賃金上昇がおこなわれます。そのような慣行が日本でもあれば、インフレや物価上昇に怯える心配もないでしょう。日本の景気が良くなるためには、インフレが定着して労働需給の改善とともに、賃金も物価に追いつくような形が望まれます。
2017年の日本のインフレ率は0.5%。IMFは4月17日に発表した「World Economic Outlook」内で、2018、2019年はそれぞれ1.1%に上昇すると予想しました。また安倍首相も2017年から経済界に対して、3%の賃上げを要求し続けています。過度の楽観主義は危険ですが、消費税増税を前にして賃上げ要求は高まるでしょう。
給料が上がるかわからない、会社がどうなるかわからないなど将来への不安があると、人は消費を控えて貯金に励むため、インフレは進みません。インフレ基調が定着したと宣言するためには、賃上げを達成し、将来への不安が改善されることが不可欠です。またインフレ基調になることで将来への見通しが変わると、株式や不動産などの資産価格も上昇します。投資に対する姿勢も、これに合わせて変わってくるでしょう。
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