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メタンハイドレートとは。燃える氷?最新エネルギーは日本の救世主か?
次世代エネルギーとして活用が期待されるメタンハイドレート。時折テレビなどでも聞かれますが、あまり聞き慣れない言葉だけに、よくわからない印象を持つかもしれません。日本の周辺海域に存在しており、エネルギー問題の救世主として期待されているメタンハイドレートの基礎知識について、詳しく見てきましょう。
もくじ
・メタンハイドレートとは?
・次世代のエネルギー資源?
・いま日本にどのくらい埋蔵量があるの?
・実際に活用できるようになるのはいつ頃?
・どんな研究・調査が行われているの?
・メタンハイドレートがエネルギー問題を解決?
メタンハイドレートとは?
メタンと水で構成されているメタンハイドレート。1立方メートルのメタンハイドレートを分解すると、160~170立方メートルのメタンガスと、0.8立方メートルの水になります。名前に入っている「ハイドレート」は水和物という意味です。メタン以外のハイドレートも総称して「ガスハイドレート」と呼ばれます。
メタンハイドレートは見た目から「燃える氷」と呼ばれますが、氷のように見えるだけで、氷ではありません。大量のメタンを含んでいるため、火を近づけるとよく燃え、燃えた後には水が残ります。
次世代のエネルギー資源?
メタンは天然ガスの主成分で、石油や石炭と比べて二酸化炭素と窒素酸化物の排出が約30%少ないのが特徴です。硫黄酸化物はほとんど排出しません。メタンハイドレートから取り出したメタンガスは家庭で使用でき、長く使える燃料電池や車の燃料にできるため、次世代のクリーンなエネルギーとして期待されています。
日本はエネルギー自給率が8.3%(2016年)で、ほとんどを海外から輸入しています。メタンハイドレートが注目を集めているのは、日本の近海に分布しているため。これを活用できる技術が開発されれば、日本のエネルギー自給率を増やせると考えられています。ただし、メタンハイドレートが実用化されたとしても、天然ガスに置き換わるとは考えづらいというのが専門家の見解。天然ガスの一部の代用品としてメタンハイドレートが使われる程度という見方です。
さらに、メタンハイドレートもいいことばかりではありません。メタンが大気中に放出されると、二酸化炭素以上に温暖化を加速させる可能性が指摘されています。採掘活動が海底の生態系に影響を及ぼすリスクもあるでしょう。
いま日本にどのくらい埋蔵量があるの?
メタンハイドレートは温度が低く、圧力が高い場所でしか存在できません。北極や南極付近の凍った地層の下や、水深500メートル以上の深海に埋まっています。資源エネルギー庁の調査によると、日本海側に存在するのは「表層型」で、塊状態のメタンハイドレートが海底の表面や真下に広がっています。一方、太平洋側に存在するのは「砂層型」で、海底の下の地層で砂と混じり合ったタイプです。
日本の周辺海域にどれくらいの埋蔵量があるのかは諸説あります。天然ガス使用量の100年分という記述もあれば、数年~10年分しかないという専門家も。まだ調査が進められている段階なので、はっきりした量はわかりません。
実際に活用できるようになるのはいつ頃?
メタンハイドレートは深海に固体として存在しています。石油のように吹き出すことはないため、取り出すための技術が必要です。また、どこに埋まっているのか探す技術も必要で、実用化には数十年かかるとも言われています。
結局ほかのエネルギーを輸入したほうがコストが低いということになれば、メタンハイドレートの実用化は難しいでしょう。効率化によってコストを抑えていく必要があります。
どんな研究・調査が行われているの?
メタンハイドレートをエネルギーとして実用化する開発計画は2001年に始まっています。この計画は「MH21プロジェクト」と名付けられ、メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアムが結成されました。
2013年3月には、愛知県渥美半島から三重県志摩半島の沖、水深1,000メートルの海底下に埋まっているメタンハイドレートを採掘し、メタンガスを取り出すことに成功。6日間で12万立方メートルのメタンガスが取り出されました。2017年にも同じ海域で2回目の試験が行われ、24日間で合計20万立方メートルのメタンガスを取り出しています。
現在、メタンハイドレート開発計画はフェーズ3に入っています。2016年には「第2回メタンハイドレート海洋産出試験事前掘削作業」、2017年には「第2回メタンハイドレート海洋産出試験現場作業」を実施。実用化に向けた作業が進められています。
プロジェクトは2018年までとされており、終了後は最終評価が行われます。経済性や環境への影響を踏まえたうえで、メタンハイドレートの今後の方針が決まることでしょう。
メタンハイドレートがエネルギー問題を解決?
以上、メタンハイドレートの特徴について解説しました。メタンハイドレートが実用化されてもエネルギー問題が一気に解決するわけではありませんが、二酸化炭素・窒素酸化物・硫黄酸化物の排出を抑えつつ、日本のエネルギー自給率を上げてくれるかもしれません。今後の研究・開発に注目してみてください。
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