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人工知能が雇用を奪う?!AIは経済をどう変えるのか
新聞やテレビでよく取り上げられるAI(人工知能)の話題。現在は人間が行っている仕事を人工知能が代わりに行うことで、雇用が奪われる可能性が指摘されています。2045年には全人口の1割しか働いていないという説も。そうなった場合、人間はどうやって収入を維持していけばよいのでしょうか。AI時代における経済の変化についてまとめました。
もくじ
・2045年には、雇用の大半が人工知能になる可能性がある?
・人工知能が経済格差と貧困を激化する
・経済格差対策のベーシックインカム
・これからの人間に求められるスキル
・人工知能によって生産性はどう変わるのか
2045年には、雇用の大半が人工知能になる可能性がある?
2016年に発行された井上智洋氏の著書、『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』には、AIと経済の未来について書かれています。中でも多くの人に衝撃を与えたのが、「2045年くらいには、全人口の1割ほどしか労働していない社会になっているかもしれません」の部分。あくまで可能性の話ではありますが、9割の人が失業するとなると大変なことです。以前は「人工知能が発達すれば労働時間が減らせる」とポジティブにとらえられてきましたが、近年では「仕事をまるごと奪われる」とネガティブな考えに転換しつつあります。
井上氏によれば、人間の仕事として残るのはCreativity(創造性)、Management(経営・管理)、Hospitality(もてなし)の三分野としています。これらは人間の脳をコピーしたとしても、そっくり真似できない能力と考えられるからです。逆に言えば、これ以外の仕事はAIに取って代わられてしまうかもしれません。
人工知能が経済格差と貧困を激化する
AIの台頭が経済格差と貧困を深刻にする可能性についても指摘されています。かつて第一次産業革命が起こった際、機械に仕事を奪われることを懸念した職人たちがラッダイト運動(機械打ちこわし運動)を行いました。しかし一時的に機械に職を奪われても、人間には別の働き口があり、新たなスキルを身につけることで別の職に就くことができました。
もう少し詳しい話をすると、AIには特化型AIと汎用型AIの2種類があります。特化型AIは自動運転や画像認識、将棋、囲碁、チェスなど、一つの領域に特化したAIのこと。特化型AIのひとつであるアルファ碁が人間に勝ったことは大きなニュースになりました。一方、汎用型AIは特定の作業だけでなく、すべての能力において人間と同様の機能を持つとされるもの。プログラミングされていない機能も、自身の別の能力を組み合わせて対応する能力があります。
特化型AIは第一次産業革命における機械と似ていますが、汎用型AIは人間が生み出せる技術をすべて人工知能が奪ってしまう可能性があります。この時期がいつになるかは専門家によって見方が異なりますが、いずれ人工知能に職を奪われ、失業者が増える時代が来るかもしれません。
経済格差対策のベーシックインカム
経済格差を解消するための一つの方法として考えられているのがベーシックインカム(BI)です。BIとは、一定のお金を国民に配るもの。所得に関係なく、国民全員にお金を配るのが特徴です。井上氏はAIが高度に発展したとしても、その運営は民間企業が行う必要があると考えています。AIを使って儲けた民間企業が税金を納め、そのお金を再分配するのがBIの考え方。生活保護や失業手当は支給対象者を認定し、支給額を計算するコストがかかるので、BIのように一定額を与えてしまうほうが無駄がないというのです。
ただしBIとしてみんなが贅沢をできるほどの金額は配れませんし、そうする必要もないというのが井上氏の説。まずは少額を配ってみて、国民がBIを実際に体感するところから始めてみたらいいと考えています。
BIは生活のためだけでなく、AIのためにも必要です。たとえAIが新たな商品を生み出したとしても、それを買う人がいなければ意味がないからです。BIはAIが生み出した経済を循環させる仕組みを担います。
これからの人間に求められるスキル
井上氏によれば、これからはスペシャリストよりもゼネラリストのほうが有利だといいます。スペシャリストは特化型AIのようなAIに置き換えやすいのに対し、さまざまな技術を持ち合わせたゼネラリストのほうがAIにない能力を発揮できるからです。かつては「手に職をつける」ことが高く評価されてきましたが、AIの台頭によってその考え方が180度変わると言っても過言ではありません。
また、AIにも弱点はあります。中でも苦手としているのが問題を発見すること。過去に同じ事例があればAIが即座に指摘してくれますが、前例のない問題を見出すのは人間特有の仕事になるかもしれません。
人工知能によって生産性はどう変わるのか
日本では少子高齢化が問題になっており、働き手不足が深刻になっています。しかしこれがAIを開発するモチベーションになりうるという説もあります。日本がかつて産業用ロボットの開発でめざましい成果を上げたのも、人手不足で必要に迫られていたことが理由の一つ。AIの開発は日本にとって必要な課題でもあります。
AIを生産性向上の味方と見るか、職を奪う敵と見るかは立場によって考えが異なるところでしょう。しかし、AI時代はすぐそこまで来ています。人間にはAIと共存していく方法を探していくことが求められるのではないでしょうか。
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