シェアリングエコノミーとは、家や車、駐車場というような個人が保有する遊休資産の貸し出しを仲介するサービスを指しています。貸主となる個人は、今使っていない資産を誰かに使ってもらうことができ、かつ収入を得ることができます。

借りる側としても、買うまででもない車や道具などを少しの時間利用できるメリットがあります。遊休資産としての例で有形のものを挙げましたが、家事手伝い、ベビーシッターというように個人が持つスキルなど無形のものも、サービスの一つとして提供することが可能です。

かつて近所付き合いが密だった時代には、お隣同士での無償での貸し借りが多くありました。「ギブ＆テイク」のコンセプトを持たせながらも、有償で貸し出すという今の日本のお付き合い事情に則したサービス内容となっていることも注目すべきところです。

日本では、民泊（住宅宿泊事業）に関する法律が成立し、個人でも届け出を行うだけで、宿泊客を有償で受け入れることができるようになりました。

また、不在時間帯の自宅駐車場の貸し出しや部屋の貸し出しなど、「使わない時間を収入に変える」という考え方の下でシェアリングが行われるようになってきています。こうした貸主と借主をマッチングさせるサービスとして「Airbnb」や「軒先PARKING」などが挙げられます。

「メルカリ」、「フリル」といった不用品を売買できるフリマアプリや個人や業者レベルで裁縫・縫製を依頼できる「nutte」など、サービスに特化したシェアリングエコノミーサービスも存在しています。

また、クラウドソーシングサービスと呼ばれる、記事作成やデータ入力などの個人のスキルを活かした受発注のマッチングサイトもシェアリングエコノミーサービスの一つです。

今や、シェアリングエコノミーサービスの日本における経済効果は10兆円台という試算が出されています。遊休資産を収入に変える、出掛けたついでに配達を請け負うというような、短時間のミッションに大きな経済効果を生み出す可能性が秘められています。

民泊サービスのAirbnbや、配車サービスのUBERのメリットは、貸主は空いた資産や時間で活動できること、借主は格安料金でサービスを受けられるといったメリットがあります。UBERは、現在は首都圏から都市部でのサービス展開となっていますが、今後全国的なサービスへ展開されていくことでしょう。また、多くのユーザーを獲得し、1ユーザーが提供する側と提供を受ける側といった使い分けも増えてくると予想されます。

現在国や自治体レベルで、シェアリングエコノミーサービスを支援しています。マスコミでもこのサービスを「ウィンウィンな取引」として取り上げることが増えており、ユーザーの拡大を後押ししています。

課題点としては個人と個人の取引であるため、安心・安全に対する配慮が足らないことや法整備が完全ではないことが挙げられ、民泊では宿泊者による騒音、ゴミ出しのルールが守られないと言った問題点が既に浮上しています。

日本ではマッチングサイトが多数出ていますが、ユーザー同士でのトラブルが発生した場合、ユーザー間での解決に委ねられている部分も残されています。マッチングサイトの運営側では次々に浮上する問題点をとらえることが急務だと考えます。新たに「シェアリングエコノミー」取引の基本ルールを定める他、借主・貸主双方のモラルをつくり上げる必要もあるでしょう。

シェアリングエコノミーサービスは、上手に利用することで貸す側・借りる側双方にウィンウィンな関係を築くことができます。今後全国的にサービスが広がると予想されますが、同時に課題点も指摘されています。これから私たちの生活のムダをなくし効率的に過ごせるよう、このサービスがしっかり定着していくことを望みます。