再就職手当とは?もらえる条件や金額の計算方法、注意点等をわかりやすく解説!
失業者の再就職を後押しする再就職手当がありますが、詳しい内容や支給される条件を知らない人もいるでしょう。「失業しても失業手当を受給できるから大丈夫」と思うかもしれませんが、失業した人の再就職を支援する再就職手当も活用したい制度です。
ここでは、再就職手当をもらうための条件や金額の計算方法、メリットや注意点などをわかりやすく解説します。
再就職手当とは?
再就職手当とは、雇用保険受給資格者で基本手当の受給資格の決定を受けた人が再就職するか事業を始めた場合にもらえます。再就職手当が支払われる条件を満たす人が、ハローワークへ申請する必要があります。早期の再就職を促す制度のため、短期間で条件を満たすほど支給額が多くなることが特徴です。
失業手当との違い
失業手当とは、正しくは雇用保険の基本手当が通称でそう呼ばれているものです。
再就職手当と失業手当の違いは、支給条件と支給タイミングです。失業手当は、雇用保険の被保険者が失業中の生活を心配せずに仕事を探せるよう、1日も早い再就職への支援を目的として支給されます。退職の理由や被保険者の就業期間、退職したときの年齢などに応じて、所定給付日数は90~360日と定められており、再就職すると支給は受けられません。
一方、再就職手当は失業手当をもらっている人が再就職した後に支給されます。再就職する日までに、失業手当の所定給付日数が決められた割合以上残っている必要があります。
再就職手当をもらえる条件
再就職手当をもらうには、下記の条件を満たす必要があります。
- 失業手当の受給手続き後、7日間の待期期間満了後に就職または事業を開始している
- 失業認定を受けたうえで、失業手当が所定給付日数の3分の1以上残っている
- 離職前に就職または事業を開始していない
また離職した会社の事業主と資本・資金・人事・取引面で密接な関係がない事業主に就職した - 離職理由によって失業手当が給付されない期間がある人は、求職申し込みをしてから待期期間満了後1カ月までは、ハローワーク・職業紹介事業者の紹介で就職している
- 1年を超えて勤務することが確実である
- 原則、雇用保険の被保険者になっている
- 過去3年以内に、再就職手当・常用就職支度手当が支給されていない
- 求職申し込みの前から採用が内定していた仕事ではない
この条件をもとに、再就職手当をもらえるケースともらえないケースを詳しく解説します。
再就職手当がもらえるケース
再就職手当がもらえるケースとは、先述した8つの条件をすべて満たす場合が該当します。8つの条件を満たしていれば、パートやアルバイト・派遣社員でも支給の対象です。
再就職手当がもらえないケース
再就職手当がもらえないケースの主な例は、以下のとおりです。
- 7日間の待期期間中に再就職した
- 失業手当の所定給付日数が3分の1以上残っていない
- 離職した会社の子会社に再就職した
- 雇用期間が1年未満に定められている
- 雇用保険の被保険者になっていない
ひとつずつ具体的に解説します。
7日間の待期期間中に再就職した
再就職手当は早めの再就職を促すための手当ですが、失業手当の7日間の待期期間中に再就職すると「失業状態にあった」と見なされないため支給されません。
失業手当の所定給付日数が3分の1以上残っていない
再就職手当は失業手当の所定日数が3分の1以上残っていなければ対象になりません。
例えば、失業手当の所定給付日数が90日と認定された場合、再就職手当の対象になるには支給日数が30日以上残っている必要があります。支給日数が3分の1以上残っていなければ「早い段階での再就職」とは見なされないためです。
離職した会社の子会社に再就職した
離職した会社の子会社など、辞めた会社の事業主と資本や取引などの面で強いつながりのある会社に再就職した場合は、再就職手当の対象外です。子会社でない場合も、人事交流や関連性が高い取引がある会社への再就職はこのケースに該当します。
雇用期間が1年未満に定められている
再就職時にあらかじめ雇用期間が1年未満に定められている場合も、再就職手当はもらえません。短期派遣や紹介予定派遣、季節を限定した仕事などのケースが該当します。なお、雇用期間が1年未満の契約でも、更新によって確実に1年以上働くものと判断されれば再就職手当をもらえます。
雇用保険の被保険者になっていない
雇用保険の被保険者になっていない人は、再就職手当を受けられません。給与明細で雇用保険料が給与から引かれていれば、雇用保険の被保険者です。パートやアルバイトでも、下記の条件に該当すると雇用保険への加入義務があるため、確認しておくと良いでしょう。
- 所定労働時間が週20時間以上
- 31日以上雇用される見込みがある
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再就職手当のメリット
再就職手当のメリットは、以下の3点です。
- 早い再就職により経済的な不安が減る
- 再就職先を退職しても再就職手当の返金は不要
- 再就職手当は非課税
ひとつずつ詳しく解説します。
早い再就職により経済的な不安が減る
再就職手当には、経済的な不安が減るメリットがあります。失業期間中は、仕事がなく収入面の不安が高まります。早く再就職すると、再就職先からの給与に加えて再就職手当をもらえるため、早めに生活の安定を図れるでしょう。
再就職先を退職しても再就職手当の返金は不要
再就職手当は返金不要である点もメリットです。事情があり再就職先を退職しても、再就職手当を返金する必要はありません。また、所定の条件を満たせば失業手当ももらえます。
再就職手当は非課税
再就職手当は非課税のため、年末調整や確定申告などの手間が省けるメリットもあります。ただし、社会保険の被扶養者を判定する年間見込み収入に算定されるため、注意が必要です。再就職手当の受給によって「年間の見込み収入が恒常的に130万円以上」になると、社会保険の被扶養者からはずれます。
再就職手当の注意点
再就職手当の注意点は、以下の2点です。
- 失業手当を満額受け取る場合よりもらえる金額は少ない
- 再就職手当には申請期限がある
ひとつずつ具体的に解説します。
失業手当を満額受け取る場合よりもらえる金額は少ない
再就職手当の注意点は、失業手当を満額受け取る場合よりももらえる金額が少なくなることです。再就職手当が支払われると失業手当はもらえなくなるため、失業手当の満額を受け取れません。特に失業手当の所定給付日数が長い場合、失業手当を満額受け取る場合と比べて、再就職手当でもらえる金額は少なくなります。
再就職手当には申請期限がある
再就職手当の申請期限にも注意が必要です。再就職手当の申請期限は次のように定められています。
申請期限を過ぎた場合でも、2年間の時効が完成するまでの期間は申請可能です。ただし、支給が遅くなったり、支給された他の給付金の返金が必要になったりする可能性があります。再就職して1カ月以内に申請しましょう。
再就職手当の金額・計算方法
再就職手当の金額と計算方法を解説します。再就職手当の金額は、失業手当の残りの支給日数によって異なり、計算は以下のとおりです。
再就職手当の支給条件と支給額
条件 | 支給額 |
支給日数の3分の2以上が残っている場合 | 失業手当の日額×支給残日数×70%の額 |
支給日数の3分の1以上が残っている場合 | 失業手当の日額×支給残日数×60%の額 |
再就職手当の支給額を算出するときに用いる失業手当の日額は、以下のとおり上限が定められています。
再就職手当算出時の失業手当日額の上限
離職時の年齢が60歳未満 | 6,290円 |
離職時の年齢が60歳以上65歳未満 | 5,085円 |
(令和6年7月31日までの額)
以下のAさんのケースで再就職手当を計算してみました。
失業手当の日額 :5,000円
失業手当の所定支給日数:90日
失業手当の支給残日数 :70日
Aさんの支給残日数は70日で、所定支給日数90日の3分の2(60日)以上が残っているため、以下のとおり計算できます。
再就職手当の申請方法
再就職手当の支給申請は、以下の流れで行います。
- ハローワークに再就職を報告する
- 再就職先に「採用証明書」の記入を依頼する
- ハローワークに「採用証明書」「失業認定申告書」「雇用保険受給資格者証」を提出する
- 再就職先に「再就職手当支給申請書」の事業主記入欄の記入を依頼する
- ハローワークに「再就職手当支給申請書」「雇用保険受給資格者証」「関連事業主に関する証明書」を提出する
ハローワークに提出する「採用証明書」は、失業手当の受給が決定したときにハローワークで受け取る冊子「受給資格者のしおり」に入っています。支給番号などの必要事項を記入した後に再就職先へ記入を依頼しましょう。
「失業認定申告書」と「雇用保険受給資格者証」は失業手当の受給手続きのときに開かれる「雇用保険受給説明会」で受け取ります。
「再就職手当支給申請書」の入手方法は、以下の2つです。
- ハローワークでもらう
- 厚生労働省のハローワーク インターネットサービスからダウンロードする
「再就職手当支給申請書」には、住所や氏名など自身で記入すべき欄と再就職先で記入してもらう欄があります。住所や氏名はあらかじめ記入したうえで、再就職先に記入を依頼するとスムーズです。
失業に備えクレジットカードで家計管理をしよう
失業手当や再就職手当は、失業中や再就職直後の金銭的不安を軽減します。一方、振り込まれるまでに時間を要するため、失業に備えてしっかりと貯蓄や家計管理を行うくせをつけることが重要です。
このテーマに関する気になるポイント!
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再就職手当とは?
失業手当を受給する資格のある人が、再就職するか事業を始めた場合にもらえる手当です。
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再就職手当をもらえる条件は?
「7日間の待期期間を満了後に就職または事業を開始している」「失業手当が所定給付日数の3分の1以上残っている」「離職前に就職または事業を開始していない」など、8つの条件があります。
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再就職手当のメリットは?
「早い再就職によって経済的な不安が減る」「再就職先を退職した場合でも返金不要」「非課税」というメリットがあります。
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再就職手当の注意点は?
「失業手当を満額受け取る場合よりもらえる金額は少ない」「申請期限がある」点です。
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再就職手当の受給手続きの流れは?
以下の流れで手続きします。
(1) ハローワークに再就職を報告する
(2) 再就職先に「採用証明書」の記入を依頼する
(3) ハローワークに「採用証明書」「失業認定申告書」「雇用保険受給資格者証」を提出する
(4) 再就職先に「再就職手当支給申請書」の事業主記入欄の記入を依頼する
(5) ハローワークに「再就職手当支給申請書」「雇用保険受給資格者証」「関連事業主に関する証明書」を提出する
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再就職手当をもらうためには、細かい条件が決められているのね。