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個人ができる税金対策とは?節税術から確定申告や所得控除まで一挙紹介
個人でも税金対策を行なうことで、節税の恩恵を受けることができます。この記事では、サラリーマンと個人事業主とに分けて、それぞれの税金の仕組みと計算方法、効果的な節税対策をご紹介します。
会社員が支払う税金
会社員の場合、会社から支払われる給与や賞与などの収入に対し、所得税と住民税が課税されます。ただし、通常は納税手続きを勤務先が代行し、給与から天引きして税金を支払っているため、納税しているという実感がないという人も多いのではないでしょうか。
・収入と所得の違い
収入とは、会社から支払われる給与や賞与のうち、税金や社会保険料を差し引く前の金額のことをいいます。よく「年収〇万円」といわれるのは、この金額の年間合計額のことです。会社員の税金は、この収入から給与所得控除を引いた給与所得に対して課税されます。
・所得税・住民税の計算方法
所得税や住民税は、給与所得から各種所得控除を差し引いた課税所得を元に計算されます。それぞれの計算方法は以下のとおりです。
●所得税額=課税所得×所得税率-税額控除
●住民税額=課税所得×住民税率(県民税・市民税)+均等割分
・会社員は個人で確定申告をする必要がない
納めるべき税金の額は、納税者本人が計算し納税するのが原則です。ただし会社員の場合は、会社が税金額を計算し、給与から天引きして納税を代行する仕組みが導入されています。これを源泉徴収制度といいます。会社員は源泉徴収制度によって納税しているため、原則として確定申告は必要ありません。
しかし、この源泉徴収制度は、会社が毎月の給与額を元に概算で計算して納税しているため、所得控除が反映されていません。所得控除が反映されない分、税金は余分に支払っている状態となっています。これを1年に1回、年末に再計算し、納め過ぎた税金の還付を受けます。これが年末調整の仕組みです。
会社員にできる税金対策10選
会社員ができる節税とは、所得控除や税額控除を活用することです。これにより年末調整または確定申告で税金の還付を受けます。
会社員ができる、控除を活用した税金対策を10種類ご紹介します。
1. ふるさと納税
ふるさと納税とは、自分が応援したい自治体に寄付することです。寄付金額のうち2,000円を超える金額は寄付金控除として、課税所得から差し引くことができるため、所得税や住民税の節税になります。税金対策になるだけでなく、寄付をした先の自治体から様々な地域の特産品がもらえるため、多くの人気を集めています。
2. 住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した場合、またはリフォームを行った場合に、年末のローン残高の1%にあたる金額を所得税額から直接控除(税額控除)できる制度です。各年の控除限度額は40万円で、10年間にわたって控除が受けられます。所得税で控除しきれなかった分は、住民税から控除が受けられます。
3. 生命保険料控除
生命保険料控除とは、生命保険や医療保険・個人年金保険に加入している場合、支払っている保険料のうち一定の金額を所得から控除できる制度です。控除できる上限金額は下表のとおりです。年末調整にて生命保険料控除証明書を提出することで、支払った金額に応じた控除が受けられます。
生命保険料控除の金額
4. 地震保険料控除
地震保険料控除とは、住居用の建物や家財に対して火災保険に加入している場合、地震保険に支払っている保険料が所得控除になる制度です。保険料の全額(最高5万円)が控除されます。
5.医療費控除
医療費控除とは、本人や生計を一にしている配偶者やその他の親族が支払った医療費が年間で10万円以上(年収200万円未満の場合は所得の5%)になった場合、超えた分の金額を所得から控除できる制度です。
医療費控除の対象になる医療費は、以下のようなものが挙げられます。
医療費控除の対象となるもの・ならないもの
6. セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進および疾病予防の取り組みとして対象となる医薬品を購入した場合、購入費の1万2,000円を超える金額を所得から控除できる制度です。対象となる医薬品は限られており、パッケージ表示・レシート・厚生労働省のホームページで確認できます。
なお、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できないため、注意が必要です。
7.小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済掛金控除とは、確定拠出年金の掛金などを支払った場合に、その全額が所得控除できる制度です。将来に向けて資産形成を行いながら、節税効果を得ることができます。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合は、加入者の被保険者区分に応じて、下記のとおり掛金の限度額が決められています。
各年金の加入資格など
8. 扶養控除
扶養控除とは、本人と生計を同一にする16歳以上の扶養親族がいる場合に、扶養親族の年齢に応じて一定額の所得控除が受けられる制度です。控除額は親族の年齢によって、以下のように定められています。
扶養控除で控除される金額
参照元:国税庁 No.1180扶養控除
9.寡婦控除・寡夫控除
寡婦控除(寡夫控除)とは、配偶者と死別または離別後に婚姻していない場合、条件に応じて一定額の所得控除が受けられる制度です。控除額は27万円で、扶養する子どもがいる(ひとり親)場合は35万円になります。
10. 特別支出控除
特別支出控除とは、給与所得者の仕事に必要な経費が一定額(給与所得控除額の2分の1)を超えた場合、超えた金額について所得控除が受けられる制度です。以下のような経費が該当します。
●通勤費:出社・退社に必要な交通費
●転居費:転勤の際に必要な引っ越し費用
●研修費:仕事上必要な研修を受けた場合の費用
●資格取得費:仕事上必要な資格取得のために要した費用
●帰宅旅費:単身赴任などの場合に、自宅と赴任先の往復に要した交通費
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個人事業主が支払う税金
個人事業主やフリーランスの場合、毎年必ず確定申告を行い、自身で納税額を計算し、税金を納めなければいけません。確定申告により、会社員と同じく各種控除を受けることができます。
・個人事業主の税金の計算方法
個人事業主が負担する税金の計算は、以下のとおりです。
●売上(総収入)-必要経費=課税所得
(課税所得-所得控除)×税率=税金額
個人事業主の場合は、売上(総収入)から事業活動にかかった必要経費を差し引いて、課税所得金額を計算します。この必要経費を差し引くという考え方は、会社員の給与所得控除と同じです。
元となる課税所得が少なければ少ないほど、納税額は少なくなります。いかに課税所得を減らすかが、個人事業主の節税のポイントです。
個人事業主にできる税金対策4選
個人事業主やフリーランスにできる税金対策は、税金計算の元となる課税所得を減らすことです。課税所得を少なくする税金対策を4種類ご紹介します。
1. 経費の見直し
課税所得は、売上から必要経費を差し引いたものです。つまり、必要経費が多ければ多いほど課税所得は少なくなり、税金を抑えることができます。事業活動で使用した経費は適正に、漏れなく計上すれば、節税効果は高くなります。
だからといって、何でも経費に入れればよいというわけではありません。あくまでも事業活動に必要な支出であり、その妥当性が必要になります。具体的には、税務署から問われた際に、事業に必要な経費であると、明確な理由を客観的に説明できなければいけません。
2. 青色申告
青色申告を行うことで、所得控除や経費計上に関する特例が受けられ、課税所得を減らし税金を抑えることができます。
個人事業主の確定申告には、白色申告と青色申告の2つの方法がありますが、青色申告をするには、事前に税務署に届け出をして承認されることが必要です。届け出には手間がかかりますが、税金対策としては有効な手段なので、ぜひ活用しましょう。
青色申告による主なメリットは、以下の3つです。
・特別控除が受けられる
条件に応じて最大65万円の特別控除が受けられます
・少額減価償却資産の特例が受けられる
個人事業主が固定資産を減価償却する際に、10万円以上30万円未満の資産であれば、一括で経費計上が可能になります
・青色事業専従者給与を経費に計上できる
事業を手伝ってくれている家族や親族に支払う給与(青色事業専従者給与)を全額経費に計上できます
3. 小規模企業共済掛金控除を活用する
個人事業主が退職金積み立てなどの資産形成を行う場合、小規模企業共済や確定拠出年金を活用すれば、支払った掛金の全額が所得控除になります。個人事業主の場合の上限は、月額7万円(年間84万円)。これを所得から控除できます。
4. 事業を法人化する
規模が拡大し収益が上がってくれば、事業を法人化することも節税効果につながります。法人に課される法人税の税率は、年間の所得が800万円以下は15%、800万円以上は23.2%です。一方で所得税は所得が上がれば上がるほど税率が高くなり、最大で55%にもなります。
事業収益が上がり、個人の所得税よりも法人税の方が税負担を軽減できるようであれば、法人化を検討する価値があります。
個人事業主が税金対策をする際の注意点
個人事業主やフリーランスが税金対策をする際は、以下のような点に注意が必要です。
(1)節税と脱税の違いに注意する
納税は義務であり、適正に税金を納めることが前提です。そのうえで、制度適用の漏れを見直し本来負担すべき税額にするのが「節税」であり、違法な税金逃れは「脱税」となります。
例えば、業務上必要のない費用を経費として計上することは、脱税とみなされる可能性があります。脱税には延滞税や加算税、刑事罰などの罰則が科される場合があるため、絶対にやめましょう。
(2)お金(経費)を使う節税は要注意
税金対策にはお金を使う節税と、使わない節税とがあります。お金を使う節税とは、例えば経費を増やして課税所得を減らすといった方法ですが、節税を意識し過ぎた過剰な経費計上は、事業の評価を下げ、金融機関からの借入に悪影響となります。
各種制度を上手く活用し、できるだけお金を使わず節税することが大切です。
制度を理解し正しい税金対策を!
節税とは、税金の計算を見直して本来自分が負担すべき税額にする行為であり、払い過ぎている税金の還付を受けるための行為です。正しく行うことで大幅な税負担軽減につながる可能性もあるため、各種制度をしっかりと理解し対策をしましょう。
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このテーマに関する気になるポイント!
- 会社員の節税とは?
様々な控除の制度を活用して、毎月の給与から天引きされて納税している税金の中から、払い過ぎていた分の還付を受けることです。 - 会社員も確定申告は必要?
会社員は原則として確定申告は不要です。しかし、初年度の住宅ローン控除や医療費控除など、所得控除を適用するために確定申告が必要になる場合もあります。 - 個人事業主の税金対策にはどんなものがある?
経費を見直す、青色申告を行う、小規模企業共済掛金控除の活用、事業の法人化などがあげられます。
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