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公正証書遺言とは|公正証書による遺言書の作成方法、注意点、費用について
公正証書遺言とは、プロの手により公式な書類として作成される遺言書のこと。費用がかかってもまちがいのない遺言書を残したい方や、遺言の内容について法律の専門家に見てもらいたい方におすすめです。
公正証書遺言とは?
公正証書遺言とは、公証役場で公証人及び証人2名以上の立ち合いのもと、遺言をする方がその内容を確認し署名することで、公正証書として遺言書を作成する方法です。
【用語解説】
公証人とは
公証人とは、公証人法に基づき、判事や検事等の法律実務を豊富に経験した者の中から法務大臣が任命することで、実質的な公務員として公証業務に当たる役職です。
公正証書とは
公正証書とは、個人等からの依頼により、公証人が作成する文書のことをいいます。
公証人は実質的公務員とされているため、公証人の作成する書類は【公文書】です。つまり、公正証書遺言とは遺言書を公文書化する手続です。公文書化するメリットはこのあとご案内します。
公正証書遺言のメリット・デメリット
(1)メリット
①遺言書を法律家と確認しながら作成することができる
希望する遺言書の内容について、法律的な問題の有無や注意点を公証人と確認しながら作り上げていきます。
法律実務経験が豊かな公証人のチェックが入るため、安全・確実な遺言書が出来上がります。
②裁判所の検認が不要
自筆証書遺言は、改ざん防止等の為、開封前に裁判所に検認手続を経なければなりませんが、公正証書遺言は公文書であるため、検認が不要です。
➂公文書のメリットがある
公正証書遺言は前述の通り公文書です。
公文書は公務員がその権限に基づいて作成した文書ですから、その文書が遺言者の意思に基づいて作成されたものであるとの強い推定が働きます。
文書の内容の真偽に争いがある場合、公文書であれば真正であるとの強い推定が働きますので、これを争う相手方が虚偽であるとの疑いを証明する必要があります。
公文書が私文書に比べて証明力が高いというのは、このような効果を指しています。
④遺言書の紛失のリスクが無い
公正証書遺言の原本は公証役場が保管します。
相続人等は公証役場からその写し(謄本)を発行してもらい、各種手続きに利用することができます。
自筆証書遺言の場合は、保管場所は作成者が自由に決められるため、紛失や破棄、隠匿のリスクがあります。
※令和3年より法務局による自筆証書遺言書保管制度が開始しました。
⑤全文自筆する必要が無い
公正証書遺言は、公証人が作成するため全文自筆する必要はありません。
署名についても本人の代わりに公証人が代筆することができます。
(2)デメリット
デメリットとしては公証役場へ出向く必要があることと費用がかかることでしょうか。
公証人の費用は次のとおりです。
上記の基準を前提に、具体的に手数料を算出するには、下記の点に留意が必要です。
①財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し、これを上記基準表に当てはめて、その価額に対応する手数料額を求め、これらの手数料額を合算して当該遺言書全体の手数料を算出します。
②全体の財産が1億円以下のときは、上記①によって算出された手数料額に、11,000円が加算されます。
➂遺言書は、通常、原本、正本、謄本を各1部作成し、原本は法律に基づき役場で保管し、正本と謄本は遺言者に交付します。
原本についてはその枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書の証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算されます。
正本と謄本の交付にも1枚につき250円の割合の手数料が必要となります。
④遺言者が病気又は高齢等のために体力が弱り公証役場に赴くことができず、公証人が、病院、ご自宅、老人ホーム等に赴いて公正証書を作成する場合には、上記①の手数料が50%加算されるほか、公証人の日当と、現地までの交通費がかかります。
公正証書遺言の作成方法・注意点
(1)利用する公証役場を探す
公証役場は日本中に約300あり、遺言書の作成においては、利用者が自由に選択できます。
参照元:日本公証人連合会 公証役場一覧
(2)遺言書の内容をまとめる
公証役場へ連絡する前に、ご自身で作成したい遺言書の内容をまとめましょう。
メモ書きでも大丈夫ですので、遺言の内容を次のようにまとめておくと公証役場との打ち 合わせがスムーズに進みます。
①どの財産を…不動産・金融資産・特別な資産(時計や宝石等)
②だれに…夫・妻・子・恩人等
➂どのように渡すか…全部・一部等
④その他付言事項
【用語解説】
付言事項とは
法的な効力はありませんが、残したいメッセージがある場合は、【付言】として遺言書に記載することが可能です。
お世話になった方への感謝の気持ちや、残された遺族へ伝えたいこと、お願い等です。
財産の分配方法の理由等でも構いません。
(3)資料をそろえる
公証人は遺言書を作成するにあたり、各種資料を確認する必要があります。
①不動産…登記事項証明書(登記簿謄本)・固定資産税納税通知書
② 金融資産…口座情報・銘柄・商品名等の分かるもの
➂特別な資産…名称や型番、保証書等
④自分の印鑑登録証明書
⑤財産を渡す相手の住所・氏名・生年月日等の分かるもの
⑥証人2名の住所・氏名・生年月日・職業
※公証役場に証人を用意してもらうことも可能ですが別途費用が加算されます。
(4)公証役場へ連絡する
公正証書遺言を作成したい旨を伝え、上記(2)(3)の資料を公証役場へ提供します。
公証人は資料を確認し、確認すべき点があればメールや電話で問い合わせがあります。
(5)公証役場から提示される遺言書(案)を確認する
最終的な確認を行い、問題無ければ内容が確定します。
(6)遺言書作成の日を予約する
実際に公証役場へ出向く日を予約します。
出向くことが難しい場合は、公証人に出張してもらうことも可能です。
(7)遺言書作成日当日
予め案内された必要書類等を持参の上、予約時刻に公証役場へ行きます。
遺言書の内容を公証人が全文読み上げ、内容を確認した上で遺言書に署名捺印します。
遺言書の正本等を受領し、支払いを済ませて終了です。
※原本は公証役場で保管、原本に代わるものとして正本が発行されます。
正本は原本と同じ効力のあるものとして利用可能です。
まとめ
公正証書遺言のデメリットは費用がかかることです。
ただ、単純に作成費用=デメリットとするのではなく、経験豊富な法律の専門家に遺言書の作成をサポートしてもらえるサービスと考えると、費用対効果としてのメリットはあるのではないでしょうか。
ご自身が築いてきた大切な資産を大切な人にしっかりと受け取ってもらえるよう、間違いのない遺言書を作成することが大事だと考えます。
FAQ
- 公正証書遺言とは
公証役場で公証人が遺言書を公文書として作成すること - メリット
・専門家のチェックが受けられる
・検認が不要
・遺言書の内容について争いが起きる可能性が低い
・原本の紛失リスクが無い - デメリット
・費用がかかる
・公証役場へ出向く必要がある - 手続の流れ
・事前に遺言書の内容を取りまとめてから公証役場へ問い合わせる
・公証人と相談の上、遺言書を確定させる
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