65歳になったらすべきこと・変わることは?年金、保険、給付金などの手続きを見落とさないようチェック

リリース日:2021/02/03 更新日:2024/11/01

65歳は日本の公的年金の支給開始年齢です。しかし、年金は請求しないと受け取ることができません。このように日本の制度は知らないともらえない制度が多くあります。65歳時点で注意すべき手続きや、お金の不安の対策をご紹介します。

65歳になったらすべきこと・変わることは?年金、保険、給付金などの手続きを見落とさないようチェック
  1. 65歳で変わること
  2. 65歳ですべきこと
  3. 65歳以降のライフプランはどうしたらいい?

65歳で変わること

・介護保険の納付方法
介護保険の保険料は、65歳未満の場合、給与所得者であれば健康保険料と一緒に天引きされ、自営業であれば、国民健康保険料と一緒に納付しますが、65歳以降は納付方法が変わります。

 

65歳以降の介護保険料の納付方法は、年金からの天引きが基本です(特別徴収)。しかし、年金受給額が年間18万円に満たない方の場合は納付書や口座振替などで支払うことになります(普通徴収)。

・「後期高齢者医療の被保険者の若年認定」が可能に
75歳になると、これまで加入していた健康保険や国民健康保険から外れ、各都道府県が運営する後期高齢者医療広域連合に加入することになります。75歳の誕生日から加入となり、手続きの必要はありません。

また、国が定める障害等級に該当しているなど、一定の障害が地域の広域連合によって認定されれば、65歳~74歳の方でも後期高齢者医療制度に加入することになります。

 

しかし、生活保護を受けている人や、日本国籍がない人の一部など適用とならないケース(適用除外)もあるので、自身が該当する都道府県の後期高齢者広域連合の内容を確認しておきましょう。

 

・「失業手当」が「高年齢求職者給付金」に
雇用保険に加入していた被保険者が、定年や倒産などで失業した場合に生活に困ることなく仕事が探せるよう、支給されるのが失業手当です。

 

しかし、65歳以降で雇用保険に加入していた被保険者が失業したときは、失業手当の代わりに「高年齢求職者給付金」という一時金が支給されます。年金受給していると受け取ることができない失業手当と異なり、高年齢求職者給付金は年金を受給していても受け取れます。

 

高年齢求職者給付金の受給要件は、下記のとおりです。

(1)65歳以上で雇用保険の被保険者であること
(2)退職日直前の1年間のうち、雇用保険に6カ月以上加入していたこと
(3)現在、失業中で働く意思があり、求職活動ができること

 

手続きはハローワークで行い、要件を満たせば何度でも受給できます。ただし、離職した日の翌日から1年過ぎると高年齢求職者給付金は受け取れない点に注意が必要です。

・雇用保険は保険料率が変わらない
これまでは雇用されていても65歳以上であれば雇用保険料は免除されていましたが、2020年4月からは、雇用保険被保険者はすべて雇用保険料を負担することになりました。負担する雇用保険料率は、事業内容によって異なり、年齢による保険料率の差はありません。

65歳ですべきこと

・老齢基礎年金の受け取り手続き
日本の老齢基礎年金の支給は原則65歳からです。これまで、ずっと国民年金保険料を納めてきた人はようやく、受け取りのステージに入ります。

 

65歳から老齢基礎年金を受け取るためには、20歳から60歳の間に保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上あることが要件になります。

 

20歳から60歳までの40年間、国民年金保険料を納めれば老齢基礎年金は満額受け取ることが可能ですが、40年間に満たなかった場合は60歳以降も任意加入をすることが可能です。

 

受給資格は65歳の誕生日前日に発生します。受給開始月はその翌月です。受給権が発生する場合は、受給開始年齢の3カ月前に年金請求書が送られてきます。送られてきた年金請求書に必要事項を記入し、誕生日の前日以降に必要書類と一緒に年金事務所に提出する必要があります。

 

老齢基礎年金は、裁定請求といって年金の請求書を返送して請求しない限り、受け取ることはできません。65歳になったら自動的に老齢基礎年金を受け取れるわけではないことに注意が必要です。

 

請求を忘れていると、5年を過ぎた分の年金は時効となり、受け取れなくなってしまいます。老齢基礎年金を受け取るために、請求書と必要書類の返送は忘れずに済ませましょう。

 

・生命保険、医療保険の見直し

 

65歳以降は一般的に公的年金の収入に頼って生活していくことになります。しかし、受け取れる公的年金よりも生活費の方が上回り、貯蓄を取り崩していく生活を送る世帯も少なくありません。そのため、生命保険の見直しも含めた生活費の見直しが大変重要になってきます。

 

また、厚生労働省の資料によると、一生涯の医療費の半分は70歳以降にかかるとのことです。貯蓄を取り崩して生活しているような場合は、想定外の医療費の支出が家計に思わぬダメージを与えないように、民間の医療保険でカバーすることも考えておく必要があるでしょう。

 

・iDeCoや個人年金保険の受け取り手続き
個人で運用をしながら自助努力で年金を準備する方法として、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)や個人年金保険などがあります。

 

iDeCoに関しては、原則60歳まで積み立て、60歳から70歳までの間に給付金を受け取る年金制度です。60歳時点で給付金を受け取る必要がないときは、運用だけ継続することができます。掛金は増やせませんが、60歳から70歳まで10年間あれば、運用商品によってはさらに資産が増えていきます。運用継続という選択肢があることも知っておきましょう。ただし、運用が失敗するリスクもある点は考慮しておく必要があります。

 

個人年金保険に関しても、積立期間が終わって年金を受け取るまでの据え置き期間を延長できる商品が存在します。こちらもすぐに受け取る必要がない場合は、据え置き期間の延長を1つ選択肢として知っておくとよいでしょう。

65歳以降のライフプランはどうしたらいい?

65歳以降のライフプランはどうしたらいい?

65歳以降は生活費の大半を公的年金の収入で賄っていく世帯が多くなります。平均寿命も少しずつ上昇し、「人生100年時代」という言葉が生まれたように、100歳まで生きることも珍しくなくなりつつあります。働けるうちは無理のない範囲で働いて収入を得て、貯蓄の取り崩しをなるべく抑えることが非常に重要です。

 

実際に65歳時点で受け取れる年金額と、貯蓄額、生活費を照らし合わせて、年金と貯蓄だけで人生をまっとうできるのか、働く必要があるか、働くとしたら何歳まで、いくらくらいの収入が必要なのかというライフプランを立てておくと良いでしょう。

 

今回ご紹介した年金手続きや介護保険の納付方法など、65歳をきっかけに必要となる手続きもたくさんあります。手続きを知らなかったり、手続きし忘れたりすることが大きな損失になる可能性もあります。

 

65歳という節目の年齢に向けて、お金だけではなく、周辺知識もしっかりと蓄えておきましょう。老後の自助努力の備えにはiDeCoをおすすめします。楽天証券なら証券口座とiDeCoを1つのIDで一括管理でき、資産管理が簡単になります。

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金子賢司
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
金子賢司

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

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