退職前・退職後に必要な手続きは?年金や保険料、年末調整について詳しく解説

リリース日:2020/12/03 更新日:2024/10/29

会社を退職するときには、様々な手続きが発生します。特に税金や社会保障に関する手続きは馴染みがないため、難しく感じてしまう方も多いのでは。この記事では退職の前後に発生する手続きや、検討しておくべきことについて解説します。

退職前・退職後に必要な手続きは?年金や保険料、年末調整について詳しく解説
  1. まずは退職の意思を会社に伝える
  2. 退職日までに行う手続きと住民税について
  3. 返却物や受け取る書類など
  4. 退職後に必要な社会保険の手続きは?
  5. 所得税の年末調整や確定申告はどうするのか?

まずは退職の意思を会社に伝える

まずは退職の意思があることを会社に伝えなくてはいけません。遅くとも退職しようと思っている時期の1~2カ月前に、直属の上司に話をしましょう。

 

中には就業規定で「退職は○カ月前までに申し出ること」と定めている会社もありますので、自分の会社の規定を確認しましょう。

 

法律上は退職の申し入れから2週間での退職が認められていますが、従業員が退職するとなると会社側も人員の補充や業務の引き継ぎなど、それなりの準備に追われることになります。円満に退職するためにも、双方の事情に配慮しながら調整していきましょう。

 

退職届は、ある程度退職までの流れやスケジュールが決まった段階で提出する場合が多いようです。

退職日までに行う手続きと住民税について

退職日までに行う手続きと住民税について

退職届が受理されてから実際に退職するまでの期間は、通常業務に従事すると同時に後任者への仕事の引き継ぎを進めることになります。

 

退職日までに考えておく必要があるのが住民税の納付についてです。住民税は前年の1月から12月までの所得をもとに計算し、6月から翌年5月の期間で分割して徴収されることになっています。

 

退職してもしばらくは勤めていたときの収入をもとにして税金が課されるので、収入が減ってしまった場合は負担が大きくなってしまう可能性があることに注意しましょう。

 

納付する方法は、給与からの天引き(特別徴収)と、自分で納付書を使っての支払い(普通徴収)があります。

 

転職先が決まっていてすぐに働き始める場合は、次の会社で天引きを継続できますが、しばらく働かない期間がある場合は納付方法について検討が必要です。

 

・1月から5月に退職する場合
この時期に払っているのは、前年の6月に決定していた納付額の残りです。この時期に退職すると、5月までに天引きされるはずだった金額を最後の給与で一括徴収されることになります。一括で支払うのが難しい場合は、普通徴収に切り替えることもできます。

 

・6月から12月に退職する場合
この時期に払っているのは、当年6月から翌年5月までに支払っていく予定の納付額です。この時期に退職すると、退職月の分は天引きされ、それ以降は自分で納付することになります。もしくは、最後の給与からこの先支払う予定の金額を一括支払いする方法も選べます。

 

どのような納付方法にするか、会社側から選択肢を提示してくる場合もありますので、自分の家計状況を考慮しつつ、会社とよく相談しながら決めていきましょう。

返却物や受け取る書類など

返却物や受け取る書類など

最終出社日には、制服や備品、社員証、健康保険被保険者証などを返却します。返し忘れているものがあると退職した後でもう一度会社に出向く手間が発生するので気を付けましょう。

 

逆に、退職にあたって会社から受け取るのは以下のものです。

・雇用保険被保険者証
・年金手帳
・源泉徴収票
・離職票(失業給付をもらう場合必要)
・退職証明書(転職先から求められた場合や家族の扶養に入るときなどに必要)

 

この中で離職票は退職日当日に受け取ることはできない書類なので、後日郵送で受け取ります。

退職後に必要な社会保険の手続きは?

退職後に必要な社会保険の手続きは?

退職をした後は社会保険の手続きが必要です。退職後にすぐに次の就職先で働き始める場合は次の会社で手続きを行ってくれますが、しばらく期間が空く場合はすべて自分で行う必要があります。

 

退職後に取り急ぎ手続きが必要なのは「失業保険」・「健康保険」・「年金」です。

 

・失業保険
失業保険とは雇用保険の給付の一環で、退職した人は一定期間給付を受け取り、当面の生活資金を得ることができます。

 

申請は、今住んでいる地域の管轄のハローワークで行います。退職時に会社から受け取った離職票と雇用保険被保険者証が必要です。

 

失業保険を受け取るには、以下2点が条件です。

●現在失業中であること
●退職日以前の直近2年間に雇用保険加入期間が通算12カ月以上あること

 

自己都合による退職の場合、申請から実際に給付を受け取るまでしばらく期間が空きます。この期間のことを給付制限期間と呼びます。以前までは3カ月間でしたが、2020年10月1日以降2カ月に短縮されました。

 

・健康保険
退職後の健康保険の選択肢は大きく分けて3つあります。

 

(1)退職前の保険に任意継続加入する
退職する会社の健康保険は、希望すれば退職後も最長2年間継続して利用することができます。保険料は全額自己負担です。前職での被保険者期間が2カ月以上あることと、退職後20日以内に申請することが条件になります。

 

(2)国民健康保険に加入する
国民健康保険は、市区町村に住所があるすべての人が対象で、主に自営業など会社勤めをしていない人が利用しています。退職してから14日以内に役所で手続きをしてください。保険料は市区町村によって異なります。

 

(3)家族の扶養に入る
家族が会社勤めをしていれば、家族の健康保険の扶養に入る選択肢もあります。ただし条件を満たさなければ加入できませんので、家族の勤め先の健康保険組合に確認をとりましょう。

 

・年金
国民年金の区分は3つあり、会社員は第2号被保険者に分類されますが、退職後は第1号被保険者または第3号被保険者に変更する必要があります。

 

通常は第1号被保険者への切り替えになりますが、条件を満たして家族の扶養に入れる場合は第3号被保険者になることも選べます。その場合、以後の年金保険料納付は不要です。

 

第1号被保険者への切り替え手続きは役所で、第3号被保険者への切り替え手続きは家族の勤務先を通して行います。

所得税の年末調整や確定申告はどうするのか?

年度の途中で退職した後、年内に別の会社へ再就職している場合は、前の会社から受け取った源泉徴収票を新しい職場に提出することで年末調整をしてもらうことができます。

 

退職した後、そのまま再就職せず、12月31日時点で無職の場合は確定申告が必要です。退職金や、給与所得以外の所得もすべて申告の対象になりますので抜け漏れがないようにしましょう。

 

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miso
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士)
miso

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

演奏家、ライター、FPとして活動する複業フリーランス。 お金の管理や記録が好きで、独学で簿記3級、FP2級を取得しました。 特に確定申告や税金分野への関心が高いです。お金にまつわる様々な制度や仕組みについてわかりやすく解説します。

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