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前期高齢者と後期高齢者の年齢はいくつから?「後期高齢者医療制度」とは何か詳しく解説
法律ごとに定義が異なる用語のひとつに「高齢者」があります。政府は高齢者の年齢を引き上げる方針で法律改正を検討しています。今回は、前期高齢者と後期高齢者の定義や、高齢者を75歳に引き上げる意図とその効果を紹介します。
- 前期高齢者と後期高齢者、それぞれの年齢は?
- 65歳は高齢者ではなくなる?
- 高齢者の定義が個々の法律によって異なるのはなぜ?
- 高齢者を75歳以上にする意図は?
- 75歳になると加入する「後期高齢者医療制度」ってなに?
前期高齢者と後期高齢者、それぞれの年齢は?
前期高齢者と後期高齢者という用語は、政府が定めた前期高齢者医療制度および後期高齢者医療制度で定義されています。前期高齢者の年齢は、前期高齢者医療制度に沿うと65歳~74歳です。そして後期高齢者は、後期高齢者医療制度に沿うと満75歳以上を指しています。
道路交通法では前期・後期という区分はなく、70歳以上を高齢者と定義しています。また、公的年金を受け取れる年齢は65歳以上(老齢基礎年金の繰り上げ受給を利用する場合は60歳以上)です。
このように日本では高齢者の年齢を、医療や交通、年金など状況に応じて変えています。
65歳は高齢者ではなくなる?
医療制度では前期高齢者を65歳以上と定義していて、公的年金制度も65歳から受給対象になるものとして制度設計されています。
しかし、今後も高齢者の年齢を65歳以上にすると、少子高齢化社会に突入している日本では医療費負担の問題などがあり、制度の維持が難しい状況です。
そうした中、2017年に日本老年学会と日本老年医学会が、高齢者の年齢を70歳以上へ変更する旨を提言しました。政府も「人生100年時代構想」を打ち出し、65歳から高齢者という定義を変更して、老後も働ける社会への変革に取り組む姿勢を見せています。
高齢者の定義が個々の法律によって異なるのはなぜ?
高齢者の年齢に関する定義が、個々の法律によって異なるのは、各法律の目的や内容に合わせているためです。例えば後期高齢者医療制度は、75歳以上の医療費を調整するためで、道路交通法では認知機能など事故防止の観点から65歳以上を高齢者としています。
それぞれの法律には安全に関する項目や社会保障費など、複数の要因が組み合わさっています。そして日本の場合は、年齢の定義を変えることで個々の法律に生じる問題をクリアしようとしているといえるでしょう。
高齢者を75歳以上にする意図は?
続いては、日本老年学会と日本老年医学会が、高齢者を75歳以上に定義し直すよう提言する意図、そしてメリット・デメリットについて解説します。
・現代は以前に比べて体の機能に関する変化が遅い傾向
日本老年学会と日本老年医学会が、高齢者を75歳以上へ定義し直す提言をした理由は、主に体の機能に関する変化が遅い傾向にあるためです。
つまり、食事や生活環境の変化によって、加齢による心身の機能低下が5年~10年程度遅れる傾向になり、高齢者の定義も変えた方が良いのではないか、という趣旨です。ちなみに10年以上前は、65歳前後になると運動機能が低下し始める傾向でした。
政府は経済・社会を維持するため、高齢者とする年齢を引き上げる方向性になっています。
・働き続けたい人には働きやすい環境と感じられる可能性
高齢者を75歳以上と定義するメリットは、年を重ねても働きたいという人に適した社会制度へ変化する点です。
現在の公的年金制度や介護保険、医療制度は65歳を基準として制度設計されています。そのため、会社員は原則65歳で定年退職する仕組みです。しかし、高齢者を75歳以上に変更した場合は、定年も引き上げて働きやすい環境へ変わることでしょう。
・公的年金の受給年齢が遅れる
高齢者を75歳に引き上げる主なデメリットは、公的年金の受給年齢が遅れてしまう点です。
公的年金受給資格を得られるまで、本人や家族が生活に必要な資金を捻出しなければいけません。また、貯金が少ないと、特に厳しい生活状況になることも懸念されます。受給年齢が65歳から75歳に引き上げられれば、単純に10年分の生活費の負担増です。
・医療費などに関する適用年齢が先延ばしになる
高齢者の年齢が65歳から75歳に引き上げられた場合、医療費や社会保険料に関して、以下のようなデメリットも考えられます。
●定年が75歳に変わり、65歳定年と比較して収入が増えるため介護保険料負担増加
●後期高齢者医療制度による医療費2割負担の適用年齢が引き上げ
●公共交通機関の無料乗車に関する適用年齢が引き上げ
高齢者の年齢を引き上げた場合、お金に関する負担が増える可能性が予測できます。
75歳になると加入する「後期高齢者医療制度」ってなに?
後期高齢者医療制度は、1983年に制定された老人保健制度を見直し、新たに設計した医療制度の1つです。また、75歳になると自動的に加入し、毎月保険料を納める仕組みです。加齢による病気やケガのリスクの高まりに対して、費用面で支援する制度といえるでしょう。
保険料は後期高齢者医療制度の運営主体によって変わりますが、年間50万円を上限としています。医療費負担については原則1割負担で、高所得者でも3割負担です。
ここまで見てきたように、医療や社会保障関係で高齢者とされる年齢は、今後引き上げられる可能性があります。高齢者の年齢引き上げは、公的年金受給年齢繰り下げや医療費負担増にも繋がるので、この機会に保険の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
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※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
なるほど、場合によって高齢者の年齢基準が変わるのは覚えづらいしややこしいけど、ちゃんとした理由があるのね。