暗号通貨
都会に住むほど住民税が高いと感じるのは本当か?住民税の正しい知識
住民税の税率や金額が自治体によって異なるため、住んでいる地域によって住民税の負担も変わります。「都会のほうが住民税の負担が大きい」というイメージは本当なのか、地域による税率の違いや計算方法について解説します。
住民税とは
住民税は、都道府県や市町村など地方公共団体が徴収する税金です。徴収されたお金は行政が行うさまざまな事業やサービスの財源となり、私たちの暮らしのために役立てられます。
2種類の住民税
一般的に「住民税」、とまとめて呼ばれていますが、厳密に言うと住民税は「道民府県税」と「市町村民税」に分けられます。東京都のみ「都民税」と「特別区民税」という名称ですが、本質的にはあまり違いはありません。
実際には市町村に一括して支払いが行われますが、その内のいくらかは都道府県の取り分である、と考えると分かりやすいでしょう。
住民税の計算方法
住民税がいくらになるのかは、所得と地域ごとの税率をもとに目安を計算することができます。
・所得割部分と均等割部分
道府県民税と市町村民税は、それぞれ「所得割」の部分と「均等割」の部分で構成されています。
所得割の部分は、前年の1月から12月までの所得をもとにして決まります。所得とは年収から経費や各種控除などを差し引いたものです。これに一定の税率をかけて税額を導き出します。均等割の部分は、所得の大小に関係なく一律の金額です。
基本的には多くの自治体で、以下の「標準税率」と呼ばれる基準が使われています。
所得割:道府県民税が4%、市町村税が6%の合計10%(この税率を前年所得にかけます)
均等割:道府県民税が1,500円、市町村税が3,500円の合計5,000円
・住民税の計算例
住民税の計算を、具体的な例でシミュレーションしてみましょう。今回は独身の会社員で、前年の年収が400万円、標準税率を採用している地域在住であったとします。
住民税の金額は、以下の式で求められます。
(①課税所得 × ②所得割の税率 – ③調整控除) + ④均等割の金額
※かっこでくくった部分が、所得割の金額に当たります
①の課税所得は、「前年の収入 – 各種所得控除」から計算が可能です。各種所得控除については、2020年度から条件や金額が大きく改正されます。今回は改正後を想定したシミュレーションを行います。
年収2,500万円以下の人が対象となる「基礎控除」と、給与を貰っている人が対象の「給与所得控除」が適用されます。住民税の基礎控除の金額は、2020年度以降、年収2,400万円以下の場合は一律43万円です。給与所得控除で差し引ける金額は年収によって違いますが、400万円の場合は「収入の20% + 44万円」を差し引くことができますので、控除金額は( 400万× 20% )+44万= 124万円です。
②の所得割は、標準税率の10%。③の調整控除の計算は複雑なので詳細は割愛しますが、多くの人は2,500円ほどです。④均等割部分も、標準税率の5,000円とします。
したがって、この場合の住民税の年間総額は、
①124万円 × ②10% – ③2,500円 + ④5,000円 = 22万5,500円
です。
住民税率の違い
さて、ここで使用した標準税率はあくまでも「標準」であり、実際には自治体ごとに税率や金額が異なります。計算方法は変わりません。いくつか例を挙げて見てみましょう。
・神奈川県(令和元年度)の税率
所得割:道府県民税が4.025%、市町村税が6%の合計10.025%
(ただし横浜市のみ道府県民税が2.025%、市町村税が8%の合計10.025%)
均等割:道府県民税が1,800円、市町村税が3,500円の合計5,300円
(ただし横浜市のみ道府県民税が1,800円、市町村税が4,400円の合計6,200円)
神奈川県の場合は、水源環境の保全・再生のための事業や震災対策事業の財源を確保する目的として、標準税率よりも高い税率を適用しています。さらに、横浜市では緑を守る取り組みを推進するために均等割部分が上乗せされています。
・秋田県(令和元年度)の税率
所得割:道府県民税が4.%、市町村税が6%の合計10%
均等割:道府県民税が2,300円、市町村税が3,500円の合計5,800円
秋田県も「秋田県水と緑の森づくり税」として、自然環境を守るための事業財源を確保するために道府県民税が高くなっています。
・愛知県の税率
逆に減税を行っている自治体もあります。例えば愛知県の場合、道府県民税の均等割部分は標準より高いものの、名古屋市のみ標準税率より低い税率が設定されています。
所得割:道府県民税が4%、市町村税が6%の合計10%
(ただし名古屋市のみ道府県民税が2%、市町村税が7.7%の合計9.7%)
均等割:道府県民税が2,000円、市町村税が3,500円の合計5,500円
(ただし名古屋市のみ道府県民税が2,000円、市町村税が3,300円の合計5,300円)
愛知県も、防災や環境保全の取り組みのために道府県民税が標準税率より高いですが、名古屋市は住民の負担を軽減し、地域経済を活性化させる目的で減税措置をとっています。
以上の地域を単純に税率だけで比較すると、高い順に神奈川県、秋田県、愛知県となり、特に名古屋市は低い税率となっています。
このように、住民税の税率はその地域の特性や、自治体がどのような政策に力を入れているかによって変わります。そしてそのために必要な金額も地域によって違います。
特に近年では例に挙げた地域のように、環境保全のための財源確保として税金を上乗せする自治体が増えています。そのため、一概に「都会だから」という理由だけで住民税が高いと言い切るのは難しいでしょう。
各自治体が採用している税率は、自治体の公式ホームページなどで公開されています。自分の住んでいる地域の税率がどのくらいなのか気になる方は、ぜひ調べてみましょう。
税金はカード払いでもOK
会社員であれば、住民税は給与から天引きされる「特別徴収」で納付されます。自営業やフリーランスなど、「普通徴収」で納付している方であれば、住民税をはじめとする各種税金はクレジットカードで支払うことも可能です。
楽天カードなら、納付時にポイントも貯まっておトクです。条件に当てはまる方は、チェックしてみてください。
|
|
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。