勤労学生控除とは?働く学生が知っておきたい制度について解説

リリース日:2019/08/02 更新日:2024/10/16

働きながら勉強をしている「勤労学生」に対する所得控除制度が「勤労学生控除」です。勤労学生に該当する人はもちろん、勤労学生の子供がいるママやパパも、利用条件や注意点について知っておきましょう。

  1. 勤労学生控除とは?
  2. 勤労学生控除を受けるための手続き方法
  3. 勤労学生控除で気を付けること

勤労学生控除とは?

勤労学生控除って?

「勤労学生控除」とは、働く学生の住民税や所得税を軽減するためにある制度です。働く学生のうち一定の条件を満たす人が控除を利用できます。所得税は103万円までの収入が非課税ですが、勤労学生控除でさらに27万円が非課税対象となるため、その分税金を低く抑えられるのです。

勤労学生控除を受けるための条件

勤労学生控除を利用するためには、下記の条件をすべて満たす必要があります。

 

  1. 給与所得など、「勤労」によってお金を得ている(働いてお金をもらっている)
  2. 合計所得金額が75万円以下で、勤労以外の所得が10万円以下(収入が給与所得だけの場合、年収130万円以下で、それ以外の収入から経費を引いた金額が10万円以下であること)
  3. 高校や大学、専門学校などの国が定めた学校の学生

つまり、「アルバイトをしながら学校に行っている大学生」や「夜間学校に通いながら結婚して働いている人のうち、年収が130万円以下の人」などは、勤労学生控除の対象になる可能性があるということです。

しかし、そもそも年収103万円以下の場合は所得税がかかりませんし、年収100万円以下の場合は住民税もかかりません。そのため、年収が100万円以下の場合は特に勤労学生控除を申告する必要はないのです。

つまり、勤労学生控除を利用できる人というのは「年収が100万円を超えていて130万円以下の、学校に通っている人」ということになります(※)。

 

※給与収入の場合のみ。ユーチューバーやアフィリエイト、イラストレーターなど、フリーランスとして収入を得ている場合は、収入-経費が35万円を超えて65万円以下の人が対象となります。

勤労学生控除を受けるための手続き方法

勤労学生控除を受けるための手続き方法

勤労学生控除を受けるためには、年末調整や確定申告を行う必要があります

年末調整

アルバイトをしている場合、基本的には勤務先で年末調整が行われます。年末に勤務先から求められる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要事項を記入して提出しましょう。

書類のC欄の中で、障害者区分についての表の隣に「寡婦」「特別の寡婦」「寡夫」「勤労学生」という4つの項目があるので、このうちの「勤労学生」にチェックを入れます。勤労学生であることの証明として、学生証のコピーなどの証明書の提出を求められた場合は、あわせて提出が必要です。

確定申告

アルバイトなどの仕事を掛け持ちしている場合などは、年末調整ができるのは1つの勤務先のみのため、ほかの勤務先の収入に関しては自分で確定申告を行う必要があります。

確定申告の期間は、収入を得た翌年の2月中旬から3月中旬までです。書面またはオンラインの「確定申告作成コーナー」で必要事項を埋め、ほかに提出が必要な証明書などがあればあわせて税務署へ提出しましょう。

なお、勤労学生控除はあくまでも「給与をもらっている本人」が学生の場合に利用できる制度です。「アルバイトをしている子供を扶養する親」などが受けられる控除ではないため注意しましょう。




勤労学生控除で気を付けること

勤労学生控除で気を付けること

勤労学生控除を利用する際に気を付けなければいけないのが、親の扶養に入っている場合です。学生は親の扶養親族になっていることが多く、その場合親は条件を満たせば扶養控除を受けられます。特にアルバイトで仕事をしている可能性が高い19歳以上23歳未満の子供は「特定扶養親族」に該当し、一般の控除対象扶養親族よりも多くの扶養控除を受けることができます。特定扶養親族に該当する場合、親が受けられる控除額は63万円です。

扶養控除を受けることができるのは、扶養親族の年間所得金額が48万円以下の場合のみと定められています。給与収入の場合は、年収103万円以下ということです。

さて、ここで「勤労学生控除を受けられる条件」を思い出してみましょう。年収103万円以下の場合、そもそも所得税がかからないため、勤労学生控除を利用するメリットがありません。つまり、控除を受ける選択肢としては「子供の年収が103万円を超えて、子供が勤労学生控除を受ける」か「子供の年収を103万円以下に抑えて親が扶養控除を受ける」のどちらかになります。

ほとんどの場合、金銭的なメリットが大きいのは、親が扶養控除を利用する場合です。勤労学生控除は年収130万円まででなければ利用できず、そのうえ控除額は27万円です。特定扶養控除は63万円であり、親の収入や所得税率が高いことから、控除によって得られる節税メリットも大きくなると考えられます。

一方、「年収が103万円以下で住民税がかかる」という勤労学生は、勤労学生控除を利用することで住民税を非課税にできる可能性があります。この場合は、親の扶養控除もあわせて利用できるので、メリットがあるといえるでしょう。

学生の中には、「親の事情なんて関係ない」と思う人もいるかもしれません。しかし、自分が稼ぎ過ぎたせいで、親の金銭的負担が増える可能性があることを十分理解しておく必要があります。よく考えずに稼ぎ過ぎてしまうと、親が会社から支給されていた「家族手当」が支給されなくなってしまったり、親の健康保険から外れてしまったりすることもあります。

家族全員で働き方やお金のルールについて理解を深め、家族全体が損をしない稼ぎ方を一緒に考えていくことが大事です。

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※この記事は2024年7月時点の情報をもとに作成しております。

このテーマに関する気になるポイント!

  • 勤労学生控除とは?

    「勤労学生控除」 とは、働く学生の住民税や所得税を軽減するためにある制度です。

  • 勤労学生控除を受けるための条件は?

    「勤労によってお金を得ている」「合計所得金額が75万円以下で勤労以外の所得が10万円以下である」「国が定めた学校の学生である」という条件をすべて満たす人が、勤労学生控除の対象となります。

  • 勤労学生控除の手続き方法は?

    勤労学生控除を受けるためには、年末調整や確定申告を行う必要があります。

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平林恵子
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー
平林恵子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

人事労務関係の仕事からライターへ転身。経験を活かしてコラム執筆を行っています。2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。

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