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生前贈与の際に気をつけるべき点とは 非課税で生前贈与を済ませる方法
平成30年の税制改正により、相続税や贈与税が見直されました。それを受け、この記事では生前贈与を有効活用したい方向けに、生前贈与をする際の注意点、非課税で生前贈与を済ませる方法を解説します。
もくじ
・生前贈与とは
・生前贈与のメリット・デメリット
・種類別、非課税で相続する方法
・孫に生前贈与する際の注意点
生前贈与とは
まず生前贈与がどういうものかを解説しましょう。
1.生前贈与は単なる贈与とは異なる
生前贈与とは、生きている間に財産を贈与することであり、単なる贈与とは異なります。生前贈与の場合は税率が軽減されるため、節税効果が期待できます。親族へ財産を残したいと考える人は、生前贈与をうまく活用することで、相続税の負担を軽減することが可能です。
2.生前贈与には2つの方法がある
生前贈与には、暦年贈与と相続時精算課税制度の2つの方法があります。
・暦年贈与
暦年贈与は、贈与を受け取る者1人につき、毎年110万円以内の贈与を行っていく方法です。この方法で贈与すれば、贈与税が課税されません。例えば、3,300万円の現金を3人に1,100万円ずつ相続させるとします。10年間かけて年間110万円ずつ暦年贈与すると、相続税は一切かかりません。
10年経過する前に被相続人が亡くなったとしても、生前贈与した分については非課税で、残りの財産に相続税がかかるだけで済みます。生前贈与を行う場合、暦年贈与で行うのが一般的です。
・相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、60歳以上の直系尊属(父母または祖父母)から20歳以上の子・孫に対して生前贈与された場合、2,500万円まで贈与税非課税とされる制度です。ただし、2,500万円を超過する部分については、20%の贈与税が課税されます。
ただし、5,000万円の財産のうち2,500万円を子に生前贈与したとします。その後、被相続人が死亡すると残りの2,500万円の財産が相続税の対象となるわけではありません。5,000万円すべての財産について20%の相続税が課されることになります。つまり、一時的に相続税の支払いを先延ばししただけです。この制度を活用すると、暦年贈与は利用できないので注意しましょう。
生前贈与のメリット・デメリット
生前贈与を検討されている方は、そのメリット・デメリットを把握しておきましょう。
1.メリット
生前贈与には、以下のようなメリットがあります。
・節税効果がある
暦年贈与を活用すれば、基礎控除として年間110万円以内なら非課税です。財産が相続税の基礎控除額を超える場合、生前贈与を選ぶことで節税効果が期待できます。
・贈与する相手を選べる
贈与する相手を選べるので、相続時のトラブルを防止できます。相続が発生すると遺産分割協議により、だれがどれだけ財産をもらうかについて話し合いますが、話し合いがまとまらないケースも少なくありません。
しかし生前贈与であれば配偶者や子ども、孫はもちろん親族以外にも贈与できます。死後に相続される場合に起こりうる、無用なトラブルを未然に防げるでしょう。
・贈与する時期を選べる
相続の場合は被相続人が死亡すると相続人は遺産を引き継ぎますが、生前贈与の場合は個人の意思により贈与する時期を選べるのがメリットです。土地や不動産、有価証券は価値が変動するため、価値が高くなる前に贈与することで節税できます。
2.デメリット
生前贈与には、以下のようなデメリットがあります。
・相続時から3年以内の生前贈与は相続税の対象となる
被相続人が亡くなった時から遡って3年以内に生前贈与された部分は、相続税の課税対象です。生前贈与による非課税は無効となり、通常の相続税の税率で課税されます。
・土地や不動産を贈与する場合は贈与税以外が課税される
生前贈与により贈与税は非課税となりますが、不動産取引に課税される登録免許税や不動産取得税がかかります。
・生前贈与を税務署に認めさせるのは難しい
生前贈与を税務署に認めてもらうのは簡単ではありません。贈与を受ける側に認識があること、贈与契約書の存在、贈与税の確定申告を行っていることなどにより、生前贈与したことを証明する必要があります。
種類別、非課税で相続する方法
財産にもいろいろありますが、以下では「現金」「不動産」「土地」について非課税で相続する方法をご紹介します。
1.現金
現金を非課税で相続する方法は次のとおりです。
・生活費として贈与する
生活費として贈与するのであれば、贈与税の対象から外されます。
・暦年贈与する
暦年贈与をすることで、年間110万円以内の贈与は非課税となります。
・夫婦間贈与
生活費や教育費に充てるために夫婦間で贈与した現金は非課税です。
・相続時精算課税制度の活用
この制度は現金の場合にも活用できますが、前述のとおり、一時的に2,500万円までが非課税になるにすぎません。
・直系尊属から住宅取得資金等の贈与
家を新築するための住宅取得資金を、直系尊属(父母や祖父母)から生前贈与してもらうと、条件次第では最大3,000万円が非課税になります。ただし、この制度の対象となるのは、20歳以上の者です。
・特定障害者への贈与
親族である特定障害者の生活資金のため現金を信託銀行に信託した場合は、6,000万円まで非課税となります。この特例の対象となるのは、特別障害者と精神障害者です。
2.不動産
以下の場合、不動産について非課税で相続できます。
・不動産の評価額が基礎控除額以下の場合は非課税
不動産を相続する場合、基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。例えば、法定相続人が1人であれば基礎控除額は3,600万円となり、相続する不動産の評価額が3,600万円以下でほかに相続財産がなければ非課税となります。
・小規模宅地等の特例により土地の評価額を下げる
小規模宅地等の特例を活用すると、被相続人の自宅の敷地を引き継ぐ場合、または同居または生計を同一にしている子が引き継いで居住し続けた場合、330平方メートルまでの部分について評価額を80%下げることが可能です。土地の評価額を大幅に下げることで、相続税を非課税とすることができます。
・賃貸建物を建てて土地の評価額を下げる
土地の上に賃貸建物を建てると土地の評価額は、自分用に使う場合に比べて2割ほど下がり、相続税が非課税になるケースが出てくるでしょう。
3.土地
以下の3つの方法を活用すれば、土地について非課税で相続することができます。
・暦年贈与する
暦年贈与をすることで、年間110万円以内の贈与は非課税となります。例えば、1,100万円の土地を毎年110万円ずつ10年かけて贈与すると、税金を払う必要はありません。
・夫婦間贈与
婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用の家や土地を贈与する場合、2,000万円までは非課税となります。ただし、贈与された家や土地に住み続けることが条件です。
・相続時精算課税制度の活用
この制度は土地の場合にも活用できますが、一時的に2,500万円までが非課税になるだけです。
孫に生前贈与する際の注意点
孫への生前贈与は節税効果が期待できますが、以下の点に注意してください。
1.孫に贈与の事実を伝え、証明できるようにしておく
贈与は契約の一種であり、贈与する者と贈与を受ける者との合意を必要とします。孫に贈与の事実を伝え、そのことを証明できるように契約書を作成しておくことが大切です。
2.贈与した財産を孫が管理できるようにしておく
贈与した財産を孫が管理できるようにしておきましょう。孫が贈与された財産を自由に使えない状態のままだと、生前贈与とみなされない可能性があるからです。
3.暦年贈与を定期金給付とみなされないようにする
暦年贈与を行えば年間110万円までは非課税となるため、毎年110万円ずつ孫に生前贈与しようと考える方もいるかもしれません。しかし毎年決まった時期に一定の金額を贈与すると、定期金給付契約とみなされることがあります。
定期金給付の場合、贈与する「総額」に課税されてしまうため注意が必要です。時期をずらしたり年ごとに金額を変えたりして、定期金給付と評価されないようにしましょう。
生前贈与をすると節税効果を期待できますが、財産の種類ごとに非課税にするための方法と注意点について知っておく必要があります。これらのことを疎かにしていると、税務署に生前贈与と評価されず、通常の相続税を課税されるかもしれません。これから生前贈与される方は、生前贈与について理解を深め、準備に十分な時間をかけることをおすすめします。
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