厚生年金について、仕組みや受給額など知っているようで知らない基礎知識

リリース日:2019/04/18 更新日:2024/10/11

厚生年金と国民年金、自分はどちらを受け取れるか知ってますか?実は、会社員の人は両方もらうことができます。知っているようでいて実は知らないこともあるかもしれない「厚生年金」について、改めて考えてみましょう。

厚生年金について、仕組みや受給額など知っているようで知らない基礎知識

もくじ

・厚生年金と国民年金とは

・60歳以降も働いて保険料を納めると年金額は増えるの?

・給料ごとに違う厚生年金の受給額

・パートやアルバイトの場合はどうなるの?

厚生年金と国民年金とは

まずは基本的な知識として、厚生年金と国民年金の違いについておさらいしておきましょう。

 

日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、全員が国民年金に加入することになります。個人で国民年金保険料を支払うのは、自営業者や学生などの会社勤めをしていない人ですが、実は厚生年金保険料のなかには国民年金保険料も含まれています。会社勤めをしている人も、国民年金に加入しているということです。「自分は会社員だから国民年金はもらえない」というようなことはありません。

 

それでは厚生年金とは何かというと、これは会社勤めをしている人が加入するもので、将来、基礎年金(国民年金)の給付額に上乗せして厚生年金を受け取ることができるという制度です。このことから、会社員の年金は基礎年金部分と厚生年金部分の2階建てであるともいわれます。

60歳以降も働いて保険料を納めると年金額は増えるの?

60歳以降も働いて保険料を納めると年金額は増えるの?

会社員は、月々の給与から厚生年金保険料を控除されることになります。国民年金の場合、加入年齢は20歳から60歳までの40年間です。それ以上保険料を納めることはできません。一方、厚生年金の場合、60歳を超えたとしても会社勤めをしていた場合は保険料を控除されることになります。

 

厚生年金の受給額は、おおよそ保険料を支払っていた間の給与の平均額と加入年数によって決まります。そのため、60歳以降も働いて保険料を納め続けた場合、それだけ加入年数が増えることになり、将来受給できる年金額も高くなります。ただし、これは厚生年金部分についてのみです。

 

厚生年金の保険料には国民年金保険料も含まれているとお話ししましたが、40年収めた後については、国民年金がそれ以上上乗せされることはありません。受け取れる基礎年金の額は一定以上になることはないのです。

 

そのため、60歳以降も働き続けることで上乗せできる年金受給額は、厚生年金部分のみということになります(60歳時点で国民年金未納期間がある場合は、未納期間について国民年金を追納した扱いになります。ただし、これも65歳までで、それ以降は国民年金の加入期間が10年未満の人のみ加入月数の上乗せが可能です)。

給料ごとに違う厚生年金の受給額

給料ごとに違う厚生年金の受給額

将来いくら厚生年金を受け取れるのかは、現役時代いくら給料をもらっていたかによって変わります。これは退職前の一定期間の平均などではなく、加入期間すべての平均です。

 

ちなみに、2003年4月までは賞与を含まない平均、2003年4月からは賞与を含んだ金額の平均を元に受給額が決まります。これに一定の掛け率や加入期間などを反映させることで実際の受給額を算出することができますが、実際の計算方法は非常に複雑です。

 

自分がいくら厚生年金を受け取れるのか知りたい人は、ねんきん定期便を確認したり、ねんきんネットを利用したりしましょう。

 

いずれにせよ、給料が高い人はそれだけ将来受け取れる厚生年金の額も高くなるといえます。ただし、厚生年金受給額を決めるベースとなる標準報酬月額には上限があります。そのため、いくら給料が高いといっても、年金は一定額以上にはなりません。

パートやアルバイトの場合はどうなるの?

パートやアルバイトの場合はどうなるの?

パートやアルバイトであっても、一定の条件を満たせば厚生年金に加入することができます。その条件とは、「労働時間が正社員の4分の3以上であるかどうか」あるいは「労働時間が週20時間以上で月給8万8,000円以上、1年以上継続して勤務予定、学生以外、会社の従業員数が501人以上」のすべてを満たすことです。

 

この場合は厚生年金に加入することになり、将来は加入期間や加入中の給与の平均に応じた厚生年金を受け取ることができます。

 

一方、上記の条件に当てはまらない人は、国民年金保険料を自分で納めることになります。国民年金保険料を支払わないと、将来国民年金を受け取ることもできなくなってしまいます。国民年金は厚生年金に比べると金額が少ないといわれていますが、満額受け取ることができれば年額77万9,300円(2019年3月時点)になります。

 

夫婦ふたりの老後を考えたときに、夫の厚生年金と国民年金に加えて、妻の国民年金が満額受け取れるかどうかは老後の生活の余裕に大きくかかわってくるでしょう。目先の国民年金保険料を節約するのではなく、将来の老後についても考えた選択をすることが大切です。

 

もちろん、パートやアルバイトをして厚生年金分を上積みすることができれば、さらに大きな安心材料になります。個人年金などは受取期間が限定されているものも少なくありませんが、厚生年金や国民年金は終身保険ですから、一生涯受け取ることができます。女性は男性に比べて平均寿命が長いため、長生きリスクに備えることが大切です。年金の仕組みを知って、しっかり老後の準備をしておきましょう。

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平林恵子
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー
平林恵子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

人事労務関係の仕事からライターへ転身。経験を活かしてコラム執筆を行っています。2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。

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