・【個人事業主】自動車税の勘定科目と仕訳について

・自動車税の按分方法とは

・【法人】自動車税の勘定科目と仕訳について

・自動車税の消費税はどのように考えたらよいか

事業のために負担した自動車税は、経費で落とせる支払いです。経費計上するときの勘定科目は、租税公課を使います。個人事業主の租税公課には以下のような支払いも含まれるので、決算時にはまとめて処理が必要です。

個人事業税・印紙税・消費税（税込み経理の場合のみ）・固定資産税・不動産取得税・登録免許税・利子税や延滞金の一部・商工会議所や協同組合などの会費や組合費など

これらをまとめて、以下のように仕訳します。以下の例は、普通預金のお金を使って租税公課を支払ったときの処理です。

租税公課以外の勘定科目として、車両費とすることもあります。ガソリン代や高速料金など自動車に関する出費を1つの勘定科目にまとめて、お金の流れを把握しやすくするためです。営業用車両がいくつもあってビジネスに深い関わりがある場合は、車の維持や管理、営業活動にかかる経費がひと目で分かったほうが便利でしょう。経理はビジネスを軌道に乗せるために行うものでもあるため、やりやすい方法を決めてください。

勘定科目をコロコロ変えるのはよくないのですが、ある程度は経営者の自由にできます。自動車税をどんな扱いにするかを最初の年によく考えて、ルールに沿って記録しましょう。

個人事業主の自動車税で気をつけたいポイントは家事按分です。プライベートでも使っている自動車の場合、税金すべては経費計上できないので、決めたルールに従って按分します。按分方法は、説得力があるルールを決めて運用すれば自由に決めて大丈夫です。たとえば、こんな按分方法が考えられます。

・走行距離で按分する

・使用時間で按分する

・事業用に使った日数で按分する

按分方法は、税務調査が入ったとしても、明確な根拠をもとに説明できるものにしましょう。聞かれたときに根拠を提示しながら説明して、相手が「YES」といえば大丈夫、「NO」といわれたらしかるべき対処が必要という世界です。家事按分したときの仕訳は、以下のように処理します。

これは、5万円のうち半分を経費計上している例です。全額を事業用口座から支払ったものの、半分は事業主が借りたものとして区別していることが分かります。反対に「プライベート用の口座から全額を支払ったが、半額は事業用として経費計上したい」といったときの仕訳はこうなります。

本来なら経費から払うものを個人が負担したことから、事業主借を使っています。事業用・個人の出費はきちんと分ける必要があるため、抜けがないように記録しましょう。

法人の自動車税の扱いも基本的には同様です。租税公課として損金に算入して、費用計上を行います。法人の租税公課で注意したいポイントですが、法人税・地方法人税は「法人税、住民税及び事業税」勘定を使うのが正解。租税公課に含めて経理処理を行っても、税理士に提出したときに損金不算入となってしまいます。

法人の経理処理は、個人事業主のときとは異なるポイントがいろいろと出てくるため、顧問税理士に聞きながら覚えていくのがよいでしょう。

消費税課税業者が自動車税を支払った場合は、どのように処理すればよいのでしょうか。まず確認するのは、会社の経理の方式です。売上の計上を税込価格で行っているなら、自動車税についても同じです。消費税を含めた自動車税の金額で、租税公課を計上します。あくまでも原則なので、該当年度の未払金に計上して必要経費としても問題ありません。

税込経理を選択すれば、日常的な経理は楽になります。その反面で、売上高が実情以上に大きく見えてしまうことがあって、実際の数字を正しく把握しておかないとリスクです。消費税の把握がしにくくなる面もあるため、数値の管理をより一層シビアに行っていく必要があります。

次に、税抜経理を行っているケースです。売上の計上を税抜価格で行う方式であれば、消費税を租税公課に含めません。通常の経理では、「仮払消費税等」として別枠記載をしておきます。営業活動をしていれば、商品の仕入れなどいろいろな取引で仮払消費税等が発生するはず。売上をあげたら、仮受消費税が発生します。決算になったら仮払消費税と借受消費税を相殺して、帳尻を合わせる流れです。では簡易的な数字を使って、処理方法を見ておきましょう。

【通常時の仕訳】

【決算時の仕訳】

実際の仕訳は、消費税の計上タイミングや経理方式など、いろいろな要素を加味して行わなくてはいけません。不安に感じることは専門家に相談して、正しい処理を守りましょう。