配偶者控除とは?控除を受ける方法や年金との関係についても解説

リリース日:2018/11/20 更新日:2024/10/08

税金がお得になる「配偶者控除」ですが、具体的にどのくらいお得になるのか、どういう人が利用できるのかをご存知でしょうか?「私は適用されるの?」と感じた方は一度要件を見直してみましょう。配偶者控除が適用されるのに、申告しないがために損をしてしまう人もいます。配偶者控除の基本知識と受け取り方法などを解説しましょう。

配偶者控除とは?控除を受ける方法や年金との関係についても解説

もくじ

・配偶者控除とは

・専業主婦の配偶者控除について

・配偶者控除と社会保険上の扶養の関係

・配偶者控除を受ける方法

・年金を受け取っている場合の配偶者控除

配偶者控除とは

配偶者控除とは、所得税の控除のひとつで、「所得控除」に分類されるものです。所得税は、課税所得額をもとに一定の計算式によって求められます。配偶者控除が適用されると、この課税所得額を減らすことができるため、結果として所得税を減税できるという仕組みです。

 

配偶者控除の対象になるかどうかは、所得税を納める人の「配偶者の有無」と、「配偶者の所得」、「本人(所得税を納める人)の所得」によって決まります。まず、第1の条件は「配偶者がいること」で、第2の条件が、「配偶者の所得が年間38万円以下であること(所得が給与所得のみの場合は年間103万円以下)」、第3の条件が「本人の所得額が1,000万円以下であること」です。

 

なお、第2の条件である「配偶者の所得」については、「配偶者特別控除」という制度を利用すると「配偶者の所得が年間123万円以下」となり、控除の対象を広げることができます(所得が給与所得のみの場合は、年間201万5,999円以下で該当)。自分は対象ではないと思い込まず要件を確かめてみましょう。

専業主婦の配偶者控除について

専業主婦の配偶者控除について

働いていない専業主婦の方は、配偶者(所得税を収める人)の所得が1,000万円を超えなければ配偶者控除の対象となります。反対に1,000万円を超えている場合は、どのような場合でも対象にはなりませんので気を付けましょう。

 

ここでのポイントは、「年収1,000万円」ではなく、「所得1,000万円」である点です。所得の算出方法は所得額によって異なりますが、年収が1,000万円以上の場合は、一律で220万円を控除すると定められています。そのため、年収が1,220万円までであれば配偶者控除を受けることができるのです。

 

また、この所得額は前年の所得ではなく、控除を受ける年の所得となります。そのため、「いくらになるかわからない」という方も多いでしょう。給与明細をひっくり返してみても、12月の給与をもらうまでは正確な数字が出せないということもあるかもしれません。

 

しかし、配偶者控除を適用させる企業側では、給与が確定してから対象になるかどうかを判断してくれるため、社員側が不安に思う必要はありません。「とりあえず申請しておいて、適用外だったら外してもらう」というスタンスで大丈夫です。

配偶者控除と社会保険上の扶養の関係

配偶者控除と社会保険上の扶養の関係

配偶者控除を受けている配偶者に対して、「扶養に入れている」という言い方をすることがあります。これは「税法上の扶養」という意味です。しかし「扶養」には、それとは別に「社会保険上の扶養」というもうひとつの意味もあります。

 

配偶者控除は前述のとおり、「所得1,000万円以下の税金を納める人」の配偶者が「所得38万円以下」である場合に適用されます。一方、社会保険上の扶養は、「年収が130万円未満になる見込みで、自分自身で社会保険に加入していない配偶者」に対する制度です。つまり、専業主婦が夫の健康保険に入ったり、第三号被保険者として年金に加入したりするのが「社会保険上の扶養」です。

 

たとえば、6月に結婚した夫婦がいたとしましょう。結婚のタイミングで妻が仕事を辞めて専業主婦になった場合、それまでの収入に関わらず即座に夫の社会保険上の扶養に入ることが可能です。一方、控除対象配偶者になるかどうかは、仕事を辞めるまでの妻の所得が38万円を超えていないかどうか(特別控除対象配偶者の場合は123万円)と、夫の年間所得が1,000万円を超えていないかどうかによって判断されるのです。

配偶者控除を受ける方法

会社員が配偶者控除の適用を受けるためには、年末調整の際に「給与所得者の配偶者控除等申告書」に必要事項を記入して提出します。自分自身の年収と、配偶者の年収を記入したうえで、申告書に記載されている表に当てはめて区分を求め、控除額を求めます。書き方がわかりづらいと感じるかもしれませんが、見本を見ながら順番に行えばそれほど難しいものではありません。

 

手順としては、次の7ステップです。

 

  1. 真ん中の広い枠の左側、「あなたの合計所得金額(見積額)」を記入
  2. 1の金額を上の太枠内の「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」に転記
  3. 2の金額が「判定」欄のABCどれに該当するかを確認してチェック
  4. 真ん中の広い枠の右側「配偶者の合計所得金額(見積額)」を記入
  5. 4の金額をすぐ上の枠右側の「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」に転記
  6. 5の金額が「判定」欄の①②③④どれに該当するかを確認してチェック
  7. 申告書下部の表に3と6の判定結果を当てはめて配偶者控除・配偶者特別控除の額を確認し、表右側の枠内に記入

年金を受け取っている場合の配偶者控除

年金を受け取っている場合の配偶者控除

配偶者の収入が給与収入ではなく年金収入の場合は、所得額を算出するための計算方法が変わります。

 

65歳未満の場合は、年金収入が130万円未満までで70万円の控除、130万円以上410万円未満で収入×25%+37万5,000円の控除を受けられます。例えば、100万円の年金収入がある方の場合、100-70=30万円が所得額となり、控除対象配偶者に該当します。一方、65歳以上の場合は、330万円未満で120万円の控除が受けられます。

 

なお、年金とパート両方の収入がある場合は、年金と給与それぞれの控除を受けた後の合計額で年間所得を判別します。この場合の給与所得控除は最低65万円です。つまり、63歳の方に100万円の年金収入と50万円のパート収入があった場合、その年の所得は年金が30万円、パートが0円、合計30万円となるため控除対象配偶者となります。

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平林恵子
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー
平林恵子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

人事労務関係の仕事からライターへ転身。経験を活かしてコラム執筆を行っています。2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。

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