自社株買いとは?その意味とメリット・注意点をわかりやすく解説

リリース日:2021/08/20 更新日:2024/10/03

自社株買いとは、企業が自ら発行した株式を買い戻すことです。自社株買いは配当とならぶ株主への還元で、株価の上昇要因にもなるものです。株式投資を考えている人にとっては、重要な情報といえるでしょう。ここでは、自社株買いが企業や株主にとってどのような意味を持つのか、メリットや注意点もあわせて詳しく解説していきます。

  1. 自社株買いとは?
  2. 自社株を買い戻した後、どうなる?
  3. 企業から見た自社株買いのメリット
  4. 自社株買いの注意点
  5. 株主にとってのメリット

自社株買いとは?

自社株買いとは?

自社株買いとは、企業が自ら発行した株式を、自らの資金で買い戻すことです。株式会社は、事業を行うのに必要な資金を得るために株式を発行します。企業が発行した株式は、市場などで投資家がお金を出して買うことになります。自社株買いはこれとは反対の動きで、企業がお金を出して、自社の株式を買うことです。これにより、もともと自らが発行した株式が手元に戻ることになります。理由は後から述べますが、自社株買いは配当金とならぶ、株主還元のひとつです。

自社株を買い戻した後、どうなる?

自社株を買い戻した後、どうなる?

企業が自社株買いで買い戻した株式はどうなるのでしょうか。「金庫株」となるケースと、「消却」するケースの2パターンがあります。

金庫株

「金庫株」とは、企業が自社の株式を買い戻したものを、そのまま資産として保有し続けている自己株式のことです。金庫株は、企業の判断で再び売却できるので、市場に出回る自己株式の量を調整する手段になります。

消却

「消却」とは、企業が自社の株式を買い戻したものを、取締役会などの決議によって消滅させることです。保有し続ける金庫株と違い、発行済株式総数を減少させることになります。企業が自社株買いを発表すると、株価は大きく動く傾向があります。




企業から見た自社株買いのメリット

企業から見た自社株買いのメリット

企業が株式を発行するのは、事業に必要な資金を集めるためです。しかし自社株買いはその逆です。そこにはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で企業が自社株買いするメリットについて説明します。

敵対的買収への対策

敵対的な買収リスクを軽減することです。ある企業の株式を多く保有すれば、その企業の経営に大きな影響を与えることが可能になります。自社株を買えば、敵対する企業に買われる株を少なくすることができるのです。また、自社株買いは株価の上昇要因となることが多いです。株価が上がれば、買い集めるための資金もより多く必要となるので敵対的買収への対抗策になります。

株価の上昇

企業が自社株買いをおこない、市場に出回る株価を買い付けて消却することで、株価は上昇する傾向にあります。発行株式数が減少することで、1株当たりの価値が引き上がり、投資家からの需要が増えたり長期的に株を保有したりすることに繋がるためで、株価のさらなる上昇が期待できるでしょう。

支払う配当金の減少

配当を出している企業の場合、自社株を買えば、市場に出回る株式の数が減少し、配当として支払う金額を減らすことができます。例えば、配当の対象となる株式が1,000万株あるとします。1株に対して100円配当すると、10億円が必要です。100万株を自社株買いすると対象株が900万株まで減り、配当に必要な資金も9億円となるため、1回の配当で1億円削減できることになるのです。企業が保有する資金の使い道を考えるとき、設備投資などとならんで自社株買いもひとつの選択肢となります。

自社株買いの注意点

自社株買いには注意点もあります。企業が自社株を取得するために現金を用意しなければなりません。手持ちの現金が減ることで、経営上の資金繰りに支障をきたす可能性があります

 

株主にとってのメリット

株主にとってのメリット

自社株買いは、配当金と同じく株主への還元となります。株主にとって配当金は恩恵がわかりやすい還元ですが、自社株買いはなぜ株主還元となるのでしょうか。

 

株式の価値を測る指標には、EPSやPERといったものがあります。以下で、EPSやPERについて説明しながら、自社株買いが株主にとってメリットとなる理由を解説していきます。

EPS

EPSはEarnings Per Shareの略で、「1株当たりの利益」を指します。これは、企業の当期利益を発行株式数で割ったものです。自社株買いにより発行株式数が減れば、EPS、つまり「1株当たりの利益」が増えるのです。株主が保有する株の価値が上がることは、株主にとってメリットになります。

PER

市場での株価が割安かどうか判断するための指標がPERです。Price Earnings Ratioの略で、「株価収益率」のことです。これは「株価÷1株当たり利益(EPS)」で計算され、株価がEPSの何倍まで買われているかを示しています。PERの値が高いと割高、低いと割安と判断され、PERが低いほど投資家目線でお得に買える株となります。

 

例えば、1株当たり利益が100円で、株価が1,000円だと、PERは10倍と計算できます。


自社株買いはEPS(1株当たりの利益)を高くします。自社株買いによりEPS(1株当たりの利益)が120円まで上がると、PERは約8.3倍となり、自社株買い前よりも割安と判断されるでしょう。以前と同じPER10倍まで買われるなら、株価は1,200円まで上がります。

 

こうした株価の上昇も、自社株買いによる株主への還元といえるでしょう。

配当

もうひとつの株主還元となる、配当についても触れておきましょう。配当は、企業が得た利益の一部を、株主に対して支払うものです。サービスや物など、株主優待という形になることもあります。この配当を受け取るためには、「権利付き最終日」までにその株式を買付していなければなりません。配当や株主優待を狙っているときには、必ず確認しておかなくてはならない重要な日付です。権利確定日の翌日は「権利落ち日」と呼ばれています。

株主還元となる自社株買いや配当、株主優待の情報をチェックしながら、気になる銘柄を探すのも良いでしょう。楽天証券は、国内・外国株式や投資信託など、取扱商品が豊富にあります。目的にあわせて自分の投資スタイルを探すことができるでしょう。

 

※この記事は2024年8月時点の情報をもとに作成しております。

このテーマに関する気になるポイント!

  • 自社株買いとは?

    企業が自ら発行した株を買い戻すことです。

  • 自社株買いをするとどうなる?

    株価が大きく動く傾向があります。

  • 金庫株とは?

    自社株買いによって企業が取得した株式をそのまま保有し続けることです。

  • 消却とは?

    企業が買い戻した株を、取締役会などの決議によって消滅させることです。

  • 自社株買いのメリットとは?

    敵対的な買収への対策、株価の上昇への期待、支払う配当金の減少などのメリットがあります。

  • 自社株買いの注意点とは?

    企業の資金繰り悪化に繋がる可能性があります。

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。なお、本コンテンツは、弊社が信頼する著者が作成したものですが、情報の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問等には一切お答えいたしかねます。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。あらかじめご了承ください。




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黒川ヤスヒト
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(AFP)
黒川ヤスヒト

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。 関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。

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