3年間で資産1,000万円を達成した元浪費家が語る、モチベなしでお金を貯める「ほったらかし投資」
ちょこちょこ投資で負けづらく!長期株式投資さんに聞く、高配当株への投資法
毎月のお給料以外にもお金が入ってくればいいのに。そう思ったことはありませんか?今回、お話を伺ったのは、2021年に手取りで年間223万円の配当金を手にしている長期株式投資さんです。2004年から投資を始めた長期株式投資さんは、数々の失敗を重ねながら2010年頃に今のスタイルに行き着いたのだそう。そんな長期株式投資さんの試行錯誤や、初心者へのアドバイスを伺いました。
投資初心者が失敗しないよう、Twitterやブログで情報を発信中
マネ活編集部:今回は、高配当株への投資について学ぶ著書『オートモードで月18.5万円が入ってくる「高配当」株投資』を出版されている長期株式投資さんに、高配当株の魅力や始め方について伺っていきたいと思います。まずは、現在の活動についてお聞かせいただけますか?
長期株式投資さん:はい。現在の主な活動は、Twitterやブログでの情報発信です。もとはブログがメインで、コロナショックが起こる少し前からTwitterでの発信も始めました。今は1日1回、投資した銘柄や相場感をツイートしています。投資人口がもっと増えればいいなという想いがあるので、初心者にいかに簡単にわかりやすく投資について140文字以内で伝えるか、工夫を重ねています。
ご紹介いただいたように、2022年2月に本を出させてもらいましたので、今はその反響も少し大きいかなというところです。本業は普通の会社員で、平日9時から19、20時頃まで働いています。勤め先は株式投資にはまったく関係のない企業です。
マネ活編集部:ブログでの情報発信はいつからされているのでしょうか。
長期株式投資さん:2009年4月頃だったかと思います。始めた当初は自分の振り返りのために投資記録を残すことが目的だったのですが、アクセスが増えてきたなと感じた頃に、初心者向けに投資手法などの発信をするようになりました。私には投資人口が増えればいいなという思いがあり、私の発信する情報で初心者の失敗を防げたらと思いまして。今は自分のための記録より、初心者が失敗しない投資のやり方の発信の方がメインですね。
マネ活編集部:現在、長期株式投資さんはどういった方針で投資をされているのでしょうか。
長期株式投資さん:累進配当といって、企業が減配をしない、もしくはだんだん増配をしていく方針を明示している会社がここ数年増えてきていまして、そうした会社の株、累進配当銘柄を中心に買っていくスタンスを採っています。具体的な保有銘柄は、JTやNTT、三井物産や花王、アステラス製薬などで、1番投資額が大きいのは三菱商事です。JTだけは投資家に対して累進配当とまでは言ってはいないんですが、いずれも減配の可能性の低い会社で、それらの会社の株を積み上げていく形で運用しています。
「安易な投資」で何度も失敗を繰り返した
マネ活編集部:長期株式投資さんが投資を始められたのは、2004年頃だと伺っています。投資を始めたのはなぜですか?
長期株式投資さん:預金金利がほぼつかない状態で、このまま貯金として置いておいても、特に増えることがないんだなと考えるようになったのがきっかけです。何かしら運用をしなくちゃいけないなと思うようになりました。
マネ活編集部:投資を始めたころはどのように取り組んでいたのでしょうか。
長期株式投資さん:当時は今のように簡単に情報を得られなかったので、基本的には書店で投資雑誌を買って読んでいました。
雑誌に書かれている理論株価と比較して、株価が高いのか安いのかを単純に考えたりもしていました。本来は理論株価の計算方法をきちんと分析して、自分で考えるのが良いのですが、投資を始めた当初はそういうこともなかなかわからなかったので、雑誌などに掲載されている既存の情報を参考にしていたんです。
あとは、インターネット掲示板の(当時の)2ちゃんねるも見ていましたね。
マネ活編集部:当時の投資対象についてはいかがですか?
長期株式投資さん:新興株が中心だったような気がします。情報源がインターネットだったので、話題になるのが値動きの激しい新興株などが多くて。あとは株主優待を実施している企業の優待株を試しに何銘柄か買ってみたりもしていました。
マネ活編集部:結果はいかがでしたか?
長期株式投資さん:成功したと思えるものはないですね。失敗談は非常にたくさんあります。1番大きな失敗だったのは、とある新興株を出していた会社への投資です。当時は1株ではなく単元で買うのが当たり前の時代で、その会社は1単元144万円でした。
その会社に投資を決めたのは、企業ホームページに書かれている将来の展望を読み、そのシナリオが成功するものと自分の中で勝手に思い込んだからという、今思うとあまりにも安易な判断をしていたなと思います。当然、こうした安易な投資は悲惨な結果で終わりました。2006年にライブドアショックが起こり、新興株が壊滅したんです。その後、サブプライムやリーマンショックと、連鎖的に株価に影響を及ぼすことが起きました。大変な時期でしたね。
マネ活編集部:その当時、長期株式投資さんはどのような試行錯誤をしていたのでしょうか。
長期株式投資さん:新興株自体がヤバそうだなと思ったので、大型株、いわゆる日本を代表するような企業の株にシフトしていこうと考えました。いわゆる投資信託の報告書には、ファンドを組成した内容が載っているんですよね。それを見て、どこの銘柄を買っていて、保有比率が何%なのかを知りながら、自分もそうした銘柄に投資をしてみようといった工夫をしていました。あとは、財閥系の会社ならそこまで酷い目には遭わないだろうとか。ただ、これもリーマンショックで崩れたので、ろくな結果にはならなかったのですが。
転機は1冊の書籍との出会い
マネ活編集部:数々の試行錯誤を経て、現在の方針である高配当株に行き着いた背景には、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
長期株式投資さん:2010年に「株式投資の未来」という本を読み、大きな影響を受けたのがきっかけです。当時、投資雑誌だけではなく、株に関連する書籍を片っ端から買って読んでいたんです。なかなかピンとくる本がなかった中で、これはいいなと思ったのがこの「株式投資の未来」でした。
マネ活編集部:どこに惹かれたのでしょうか。
長期株式投資さん:1つ挙げるとしたら、「株式の長期的なリターンは、増益率そのものではなく、実際の増益率と、投資家の期待との格差で決まる」という言葉です。要するに、株価が高くなっている銘柄が必ずしもリターンが高いわけではないということ。これをこの本ではデータで示してくれていて、配当を再投資したときのトータルのリターンは、株価が単純に上がっているだけでは評価できないと書かれていて、非常に衝撃を受けました。ここはかなり重要なポイントだなと今でも思っています。
マネ活編集部:本を読み、どのように投資戦略を変えていくことになったのでしょうか。
長期株式投資さん:この本には、どのような投資手法でどういったセクターに投資をすると、一定のリターンが見込めるのか、割と答えといえるものが明示されているように思います。紹介されている具体的な投資銘柄は米国株がほとんどなんですが、基本的には国によって投資すべき株の傾向は変わらないので、「日本企業ならどこになるだろう?」と考えられるようになったんですよね。
そこから、ヘルスケア・医療分野ならアステラス製薬かなとか、生活必需品分野なら花王かなと判断し、株を買い始めました。
マネ活編集部:投資を始められてから今に至るまで、投資先は日本株なんですか?
長期株式投資さん:そうですね。そもそも、外国株が普通に買えるようになったのって、ここ4、5年ぐらいの話なんですよ。2000年代に外国株を選択肢に入れられるのは、株式投資に熟練している人くらいでした。手数料も高く、信託報酬が2、3%ということもざらにありましたから、手を出しづらいところもあったんです。
2007年、セゾン投信という会社が世界に投資できるグローバルバランスファンドを立ち上げたのを機に、外国の投資先で積立投資を始めてはいます。手数料が0.8%ほどで世界の株式や債券に投資できる、当時としては画期的な商品だったんです。
マネ活編集部:「株式投資の未来」を読まれてからは、ほぼ今のスタイルで投資を続けていらっしゃるんでしょうか。
長期株式投資さん:そうですね。ベースは今もあの本だと思います。そこに自分なりに少しスパイスを加えてみたりしながら続けています。
マネ活編集部:戦略を変えたあと、軌道に乗るのはスムーズだったんですか?
長期株式投資さん:もちろん、すべてうまくいくわけではありませんが、基本的には本に示されているようなリターンは享受してこられたと思っています。10年以上保有している銘柄が結構ありまして、例えばアステラス製薬は2009、2010年頃に投資を始め、今では株価がおよそ3倍以上になっていますし、配当も増え続けています。途中で売却する必要がなかった銘柄が多いという結果から考えると、当時採った戦略に間違いはなかったんだなと思いますね。
マネ活編集部:現在、何社くらいに投資されているんでしょうか。数が増えると、情報を追うのも大変になりませんか?
長期株式投資さん:追う必要があるのは、自分の中で割合の高いものだけでいいと思っています。私なら20社ないくらいですかね。追うのも四半期に1回の決算時期だけで十分で、決算の数字がおおむね順調であれば問題ないと思います。普段は放ったらかしにしておいて、何かが起きて株価が大きく変動したときにきちんと見て、売却が必要な事象かどうかを検討するようにしています。
マネ活編集部:売却の判断はどうされているんですか?
長期株式投資さん:基本的には売ることを考えて買ってはいません。売却を考えるのは、ほかにもっと良い投資先があると確信を持てるときですかね。あとは、配当を維持できなくなりそうだなとか、業績がずっと右肩下がりになっているなとか、ビジネスが上手くいかなくなっている兆候が表れたら、詳しく状況を確認するようにしています。
マネ活編集部:2010年に今の戦略に切り替えてから、日本では東日本大震災が起き、世界ではコロナ禍が起こりました。影響はいかがでしたか?
長期株式投資さん:震災のときは2日で20%ぐらい株価が全体的に落ちましたが、それほど時間をかけずに回復し始めました。電力株は大打撃を受けましたが、ほかの銘柄はそこまでの影響がなかったかなと思います。コロナ禍も、そこそこ株価が落ちはしましたが、すぐに戻ったんですよね。なので、大きな打撃は受けずに済みました。基本的に株価はいずれ回復するものだということを歴史上の事実として認識してますし、リーマンショックも経ているので、コロナ禍での恐怖はまったくなかったです。
ただ、個人的には「もっと買い増しできたな」という後悔があります。リーマンショックの下落を想定していたんですが、コロナ禍での下落は思いのほか回復に転じるスピードが速かったので、買い増し機会を逸しちゃったなと。
マネ活編集部:定期的に買い増しされているんですか?
長期株式投資さん:そうですね。1株ずつ買えるサービスを利用して、毎日積立投資を趣味としてやっています。1カ月か2カ月に1回ぐらいは個別銘柄で安くなっているものを買い増したり、銘柄を入れ替えたりしている感じですね。
今すぐ、少額から投資を始めてほしい
マネ活編集部:株式投資の初心者、高配当株の未経験者に対して、アドバイスをお願いします。
長期株式投資さん:よくある失敗が、投資資金を確保して、一気に投資することです。あまり理解が進んでいない状態で突っ込んでしまい、下落でダメージを受けてしまうケースが多いかなと思います。相場に慣れ、長く株式投資を続けていくためにも、初心者は少しずつ買うことを強くおすすめします。今は格安の手数料で1株ずつ買えるサービスがあるので、ちょこちょこ買って、相場に慣れつつ、試行錯誤しながら自分の理解を深めていきましょう。そうすれば、そんなに大きな失敗をすることはないんじゃないかなと思います。
マネ活編集部:勉強してから始めたい、資金を貯めてから始めたいと思って二の足を踏んでしまう方に対しては、どのように助言をされますか?
長期株式投資さん:個人的には、すぐに少しずつ始めるのがいいと思います。やりながら勉強した方が効率が良いですし、長く運用期間を確保した方が、リターンが高くなる可能性もありますので。資金については、本当に少額から始められるんですよとお伝えしたいですね。家族での外食1回分、5,000円くらいで買えますし、1,000円を切るような銘柄もいっぱいありますから。
マネ活編集部:情報は何で収集すればよいでしょうか。
長期株式投資さん:会社四季報には必要な情報の7割くらいが載っているんですが、初心者が見て理解するのは難しいかなと思います。株を買うと、中間報告書や株主通信が企業から送られてきますので、まずはそれらを見てビジネス展開や見込みを把握していけばいいでしょう。私は著書で17銘柄を紹介していまして、まずは1株ずつ買い、どういう会社なのかを把握していただいた上で、運用上の金額を均一にしていきましょうとお伝えしています。そうすると、一定程度バランスの取れたポートフォリオを整えられます。買っていく中で学びがあるでしょうし、その会社に投資する理由を見つめ直すことで、自分の考えも出てくるでしょう。その考えのもと、投資をして、うまくいくのかいかないのか、経験値を積み重ねていってもらえたらと思います。
おもしろいのは、実際に1株買ってみると、コレクター精神がくすぐられるのか、もっと欲しくなる人がいるんですよね。いろんな銘柄を買ってみたくなると。私は、これはすごくいいことだなと思っています。1株ずつ、いろんな銘柄を買ってみるのは勉強になりますし、ちょっとずつ買うのは非常に負けづらい手法なので。ちょこちょこ買っていくうちに相場に慣れ、知らないうちに資産形成が進んでいるっていうこともよくあると思います。
マネ活編集部:そのほか、初心者が知っておくべきことはありますか?
長期株式投資さん:基本的には、少しずつ継続してやれば負けづらいと思いますが、やはり株価は動くものですから、一時的に株価が下落して損を抱える可能性があることは想定しておいていただきたいですね。長い目で見たらリターンが上がっていく可能性が高いのは歴史的にも証明されていますから、一時的な下落で精神的に大打撃を受けないよう、心づもりをしておくといいのかなと。
日本株のリスクはおよそ20%ぐらいだとされていまして、想定しているリターンから20%ブレる可能性があるんですね。人間はプラスより損失に敏感にできていまして、100円得してラッキーと思ったときの感情のブレ幅は、大体50円損したときの感情のブレ幅と同じくらいなんです。ダニエル・カーネマンのプロスペクト理論で説明されています。ですから、損が出始めたときにダメージを受ける度合いはかなり高いものなんだとして知っておくこと。実際にそうした局面になったときには、理論どおりだなと冷静に捉え、学びに変えられるような姿勢で投資をするのが、1番学習効率が良いと思います。客観視できると、たぶんおもしろいと思うんですよ。
マネ活編集部:ありがとうございます。では最後に、長期株式投資さんの今後の展望についてお聞かせください。
長期株式投資さん:自分の運用は、これまでどおりやっていればいいかなと思っています。新しい学術的な理論や注目の投資本があれば、今後も貪欲に学んでいきたいですね。
活動としては、投資教育の一助になるような展開ができないかなと模索しています。私自身、投資を始めたときに十分な情報がなく、だいぶ痛い目に遭ってきたわけですが、学ぶテキストがあれば防げた失敗だったと思うんですよね。学校教育でも投資の基礎の基礎がようやく取り入れられ始めましたが、まだまだお金をどうしていくのか、資産運用をどうしていくのかという分野の教育は不足していると感じています。そこに一石を投じ、投資人口を増やしていきたいなと思います。
日本の株は適切な値付けがされず、価値がないのに株価が暴騰する新興株が出てくるといったことが繰り返されてきたんです。逆に、もっと上がっていい大型の株があり得ない安さで放置されているケースもあります。こうした状態は、個人投資家のレベルが上がれば改善されると思うんです。自分の経験を還元することで、企業が正当な評価を受けられる社会に繋がればという想いもありますね。
※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。
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