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株の配当金にかかる税金とは?株で儲かった分を節税するテクニック
株主にとって楽しみのひとつである配当金。毎年の配当金のために株を所有しているという方も少なくないでしょう。その配当金に税金がかかっていることはご存じですか?確定申告をすると、その税金の一部が戻ってくるかもしれません。どのような税金がかかっているのか、どうしたら税金が戻ってくるのか、詳しく説明します。
- 配当金とは?
- 配当金は振り込み時点で源泉徴収されている
- 配当金と税金
- 配当控除とは?
- 配当控除でお得になる人
- 確定申告で配当控除を受ける方法
- 所得税と住民税で異なる課税方式を選択
- 確定申告不要制度
- 配当控除後の所得税率と住民税率を比較
- NISA口座なら確定申告不要
- 確定申告で税金を取り戻す!
配当金とは?
配当金は、企業が得た利益の一部を株主に分配するものです。企業は必ずしも配当金を支払う必要はなく、支払う時期や回数も企業によって異なります。配当金の受け取り方法は、以下の3種類です。
・株式数比例配分方式
株式を保有している証券口座で配当金を受け取る方式。複数の証券会社で同じ銘柄を持っている場合には、証券会社ごとの株数に按分(あんぶん)して入金されます。
・配当金領収証方式
郵送される配当金領収証を、銀行や郵便局で現金に引き換えてもらう方式です。振り込みで受け取ることもできます。
・登録配当金受領口座方式
配当金が金融機関の口座に直接入金される方式。複数の証券会社で同じ銘柄を持っている場合も、一括して振り込まれます。
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配当金は振り込み時点で源泉徴収されている
「毎年配当金をもらっているけれど、税金を払った記憶がない」と感じている方もいるでしょう。だからといって脱税をしているわけではありません。配当金にかかる税金はすでに引かれた状態で入金されています。
これは株式数比例配分方式、配当金領収証方式、登録配当金受領口座方式のいずれを選んでも同じように源泉徴収されます。企業から届く配当金計算書には、所得税が15.315%、住民税が5%引かれていることが明記されているはずです。
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配当金と税金
1株あたり10円の配当金の株を100株持っていたとしましょう。もらえる配当金は1,000円のはずですが、実際に入金される金額は796円。この段階ですでに税金が源泉徴収されています。
2019年現在、上場株式の配当金で源泉徴収される税率は20.315%。内訳は以下の通りです。
・所得税15%
・復興特別所得税0.315%
・住民税5%
金融機関の利息と同様、年収に関係なく、一律に差し引かれます。
課税方法 | 源泉徴収税率 | |
---|---|---|
上場株式の配当金 | 総合課税 申告分離課税 申告不要 |
20.315% |
非上場株式の配当金 (少額配当の場合) |
総合課税 申告不要 |
20.42% |
非上場株式の配当金 (少額配当以外の場合) |
総合課税 |
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配当控除とは?
この税金を軽減するための手段のひとつが、配当控除です。配当金の元になっているのは企業の利益。企業はこの利益に対して、すでに法人税を支払っています。配当金からも税金を徴収すると、二重で課税することになってしまいます。
配当控除とは、この二重課税を解消するための制度です。課税される所得額が1,000万円以下の人であれば、所得税は10%、住民税は2.8%が配当控除で戻ってきます。課税される所得金額が1,000万円を越える部分については、所得税5%、住民税1.4%が控除の対象です。
実際に配当控除を利用できるのは、日本に本店を構える法人からの配当のみ。外国法人から受ける配当は対象となりません。みなし配当や、非上場株式からの配当金も配当控除を受けられます。また、株の配当金だけでなく、国内上場株式投資信託の分配金も対象となります。
配当控除でお得になる人
配当控除の説明だけを見るとすべての人が得をするように感じますが、そうではありません。株式の配当金に適用される配当控除でお得になるのは、課税所得が695万円以下の人に限られます。これを超える場合、配当控除後にかかる税金の合計が20.515%。一律に源泉徴収される20.315%のほうがお得になることがわかります。
この課税所得695万円というのは、年収ではないためご注意を。収入から給与所得控除や社会保険料などの各種控除を計算後の金額なので、年収でいうとさらに高くなります。
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確定申告で配当控除を受ける方法
配当控除を受けるためには確定申告が必要です。おすすめは「e-Tax」の利用。2019年(2018年分)の確定申告からはe-Taxの利用が簡便化され、オンラインでの申告がさらに手軽になりました。
e-Taxでは、指示に合わせて打ち込んでいくだけで確定申告書ができあがります。配当金の受け取りで株式数比例配分方式を選択している場合、証券会社の年間取引報告書で配当金の合計額が確認可能です。
確定申告の際に注意すべきは、配当金の申告方法を「申告分離課税」ではなく「総合課税」にすること。途中でどちらかを選択する画面が出てきますので、配当控除を受けるためには「総合課税」を選択します。申告分離課税と総合課税の違いを以下にまとめてみました。
・総合課税
総合課税を選択した場合、所得税率は累進税率になります。平たくいえば、所得の多い人ほど税率が上がるということ。課税される所得金額が195万円以下の部分は5%、195万円を超え330万円以下の部分は10%、330万円を超え695万円以下の部分は20%というように税率が上がっていきます。
申告分離課税だと所得税は一律で15%取られます。税率と配当控除の割合を考慮すると、課税所得が695万円以下なら、総合課税を選択したほうがお得です。
・申告分離課税
総合課税より申告分離課税がお得になるケースもあります。上場株式や公募株式投資信託で売却損が出ているときに、配当所得を申告分離課税すると、売却損と配当益を相殺できます。その結果、配当で得た利益が減少するため、源泉徴収された税額は還付されるのです。
しかも売却損は3年間繰り越しできます。繰り越すためには毎年申告分離で確定申告することが条件となりますが、3年先まで配当金にかかる税金を節税できるかもしれません。売却損があれば申告分離課税と覚えておきましょう。
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所得税と住民税で異なる課税方式を選択
さらなる節税を求める方は、所得税と住民税で別々の課税方式を選択する方法を知っておきましょう。
先ほど説明した通り、配当控除を受けるためには確定申告で「総合課税」を選ぶ必要があります。従来はここで総合課税を選ぶと、所得税も住民税も総合課税になっていました。しかし、2017年度(2016年分)の住民税からは、所得税は総合課税で、住民税は申告不要(確定申告しない)という選択ができるようになったのです。
これまで住民税は、総合課税で配当控除を使っても7.2%取られていました。一方で別々の課税方式を選択すると、住民税は源泉徴収された5%になります。この扱いを受けるには、所得税の確定申告をしたうえで、市区町村への申告が必要です。
申告不要制度を使うための申告が必要というのは少しややこしいですが、確定申告をすると住民税も申告したことになってしまうため、住民税は申告しないと伝えなければなりません。申告方法は自治体によって異なります。市区町村の税務担当部署に「住民税の申告不要制度を使いたい」と相談してみてください。e-Taxでオンライン申告できる所得税とは違い、住民税は手書きの書類やエクセルの書式で申告することになります。
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確定申告不要制度
確定申告不要制度についてもう少し詳しく説明します。証券会社で源泉徴収ありの特定口座を開設している場合、確定申告は不要です。配当控除を受けたり、損益を通算したりするには確定申告が必要ですが、あえて確定申告しないことも選べます。
この「確定申告不要制度」は所得税だけ、住民税だけという使い方もできるので、自分が有利になるように選ぶのが節税のポイントです。
・所得税も住民税も確定申告不要制度を適用したほうが良いケース
所得税も住民税も両方申告不要にすると、所得がいくらであっても一律で20%の税金(復興特別所得税を除く)がかかります。所得が低い人は損してしまいますが、逆に課税所得が900万円を超えるような高所得者は申告不要制度を選択したほうがお得です。
また、主婦が確定申告してしまうと、それが所得とみなされて配偶者控除がなくなり、夫の税金が高くなるケースがあります。サラリーマンの妻の場合、年収130万円を超えると社会保険の扶養からも外れ、自分で国民年金や国民健康保険料を納めることになるためです。しかし確定申告不要制度を使えば、配当所得が妻の所得として合算されることはありません。一定額以上の譲渡所得や配当所得があっても、扶養に入ったままでいられるのです。
配当金を申告することで扶養から外れる恐れはないか、シミュレーションを行って損得を見極めたほうが良いでしょう。
・所得税も住民税も確定申告不要制度を適用しないほうが良いケース
所得がそこまで高くない人は、所得税も住民税も総合課税で確定申告するほうがお得です。課税所得が330万円以下の人は7.2%、330万円を超え695万円以下の人は17.2%となり、源泉徴収の20%より税率が低くなります。
また、配当金を含む収入の合計が年38万円以下の人は確定申告したほうがお得です。このような場合はもともと所得税がかからないので、配当金から源泉徴収されたお金が還付されます。
・住民税だけ確定申告不要制度を適用したほうが良いケース
課税所得が900万円以下なら、所得税は総合課税、住民税は申告不要制度を選択するのが一番メリットの大きな方法です。その理由は、住民税は所得にかかわらず税率が10%のため。配当控除を使っても7.2%なので、源泉徴収される5%のままにしておくのがもっともお得になるのです。
これだと所得税率+住民税率は課税所得330万円以下の人は5%、330万円を超え695万円の人は15%、695万円を超え900万円以下の人は18%と、源泉徴収の20%より税金が安くなります。
配当控除後の所得税率と住民税率を比較
ここまでの説明を表で確認していきましょう。所得税には復興特別所得税を含みません。
1. 所得税も住民税も申告不要
確定申告せずに、源泉徴収されたままにしておくパターンです。
2. 所得税も住民税も総合課税
確定申告で総合課税を選択するパターンです。課税所得が695万円以下の人は有利になります。
3. 所得税は総合課税、住民税は申告不要
確定申告で総合課税を選択したうえで、市区町村に「申告不要制度を使う」と申告するパターンです。課税所得1,000万円以下の人は有利になります。
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NISA口座なら確定申告不要
NISA口座で保有している株なら、配当金に税金はかかりません。本来差し引かれる20.315%がそのままもらえると考えて良いでしょう。また確定申告の必要もありません。ただしNISA口座は年間の投資枠が120万円と決められていたり、特定口座ですでに購入している株を移動できなかったりという制限があります。
・なぜ確定申告が不要?
NISA口座の株式にかかる配当金は源泉徴収されずに入金されます。確定申告とは1年のうちにもらった利益から税額を確定させ、源泉徴収された金額と実際に支払う税額を清算するためのもの。そもそもNISA口座の配当金は税金がかかりませんし、源泉徴収もされていないので、確定申告の必要がないのです。
・課税されるケースもあるので注意
ただし、NISA口座だからといってすべての配当金が非課税というわけではありません。NISAで配当金に税金がかからないのは、証券口座へ入金される株式数比例配分方式に限られます。郵便局で引き換える配当金領収証方式や、銀行口座に振り込まれる登録配当金受領口座方式では税金がかかるため注意。受け取り方式の変更はあとからでも可能ですが、切り替えに時間がかかることもあるので、今一度確認してみてください。
また、新たにNISA口座を開設しても、すでに保有している株式にかかる配当金は非課税になりません。特定口座からNISA口座に株式を移すことはできないので、非課税の恩恵を受けたいのであれば、いったん売却してNISA口座で購入し直す必要があります。これから購入する場合も、NISA口座での購入になっているかどうか確認しましょう。
・NISAの有効期限は5年間
NISAの非課税期間は5年間です。5年が経過したあとは、非課税期間の延長(ロールオーバー)をするか、通常の課税口座に移管するか選びます。ロールオーバーには手続きが必要なので、非課税期間が終わる前にきちんと手続きしておきましょう。
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確定申告で税金を取り戻す!
確定申告と聞くと、ハードルが高いと思うかもしれません。しかし、画面の指示通りに入力するだけなので、今やそれほど大変ではないもの。手間をかけたくない人は、NISA口座を活用するのもおすすめです。賢く節税して、もらえる配当金額を増やしてみてはいかがでしょうか。
NISA口座を開設するなら、楽天証券がおすすめ。楽天スーパーポイントを使って投資信託・国内株式の投資ができるので、投資初心者でも手軽に始められるでしょう。
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