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ユーロ円(ユーロ/円)は今が買い!?相場の今後の見通しと中長期予想も
ユーロのような海外の商品は国内の商品よりも大きな収益を得ることができます。しかし、少なからずリスクがあることも事実です。今後ユーロ円は買い時なのでしょうか?ユーロ円の今後の展望について解説しています。
これまでの相場を振り返って
ユーロは流通量の多い通貨なので、小さい経済情勢の変化ではあまり大きな値動きはありません。外貨の中でもリスクが比較的少ない通貨といえます。
過去15年のうち、ユーロ円が大きく下落した(円高ユーロ安になった)のは、リーマンショック、ギリシャの債務問題、国民投票によるブレグジット(イギリスがEUを脱退すること)の決定のときでした。
ユーロは安定している通貨とはいえ、きわめて大きな経済情勢の変化が起これば、大きな価格変動が起こる可能性があるということは知っておきましょう。
ユーロ圏経済の展望
ユーロ圏の経済の展望は、新型コロナウイルスを取り巻く現状次第といわざるを得ません。2020年11月に外務省がまとめた「2020年秋の経済見通し」をもとに見ていきましょう。
【ユーロ圏の実質GDP成長率とインフレ率(前年比)見通し】
2021年のユーロ圏の実質GDP(国内総生産)見通しについては、2020年春に予想した▲7.7%よりもマイナス幅が広がり、▲8.7%と発表しています。新型コロナウイルスの影響が予想以上に長引き、経済に与える影響が春先に考えていた以上のものであることを表しているといえるでしょう。
また、2021年のGDPの伸び率(経済成長率)についても、2020年春時点では6.3%の成長率を見込んでいましたが、これを6.1%に下方修正しています。2020年の景気の落ち込みが当初考えていたよりも長引くと予測していることがわかります。
インフレ率という点についてはどうでしょうか。インフレとは物価が上がることなので好ましくないイメージがありますが、物価上昇と景気には正の相関関係があります。経済成長している国では物価が上がるのが一般的な現象です。
前年比で物価がどれくらい上昇したかというインフレ率を見ると、2021年のインフレ率は2020年よりも上昇するものの、2019年のレベルにまでは達しないと見込まれています。通常、インフレ率の上昇は景気回復を示すものなので、そのインフレ率が低いということはユーロ圏の景気回復への道のりはまだ遠いことを意味しているといえるでしょう。
しかし、資産運用や投資の基本の考え方として、「麦わら帽子は冬に買え」という格言があります。誰も買わない時期に安い値段で買っておくと、将来価値が出てきたときに値上がりして大きく資産を増やせるという考え方です。
今後ユーロ圏経済の展望はこまめにチェックをして、買い時のチャンスの情報収集だけは欠かさないようにしておきましょう。
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日本経済の展望
では、日本経済の展望はどうでしょう。中国では新型コロナウイルスが収束したことから、一部業種では多少の回復が見られているようです。
政府の景気動向指数(2020年7月速報値)を見ると、依然として景気は「悪化」と判断される状況にあるものの、景気の先行きを表す先行指数に改善が見られます。また、新型コロナウイルスによる自粛で大幅に下落していたガソリン価格も、現在は少し回復していることから、物価の下落幅も縮小傾向です。
しかし、新型コロナウイルスが拡大する以前まで急上昇を続けてきた観光業の業績悪化、とくにインバウンド(日本に旅行にくる外国人)の激減は、日本経済に大きなダメージを与えています。自粛ムードが今後も継続した場合、企業は雇用調整を本格的に行うことになるでしょう。そうなると、失業率は4%にまで近づく可能性があります。本格的な景気の回復は、日本においてもまだまだ先のことになるでしょう。
日本が新型コロナウイルス以前の経済活動を取り戻すのは、2021年後半以降と考えられています。こちらもユーロ圏経済と同様、2021年後半以降に回復することを見込んで先行投資をしておくという考え方もあります。ただ経済情勢は変わりますし、新型コロナウイルスの流行が今後どうなるかについても注視しておきましょう。
中長期予想
2020年7月ころから、スペインやフランスで新型コロナウイルスの第2波拡大の傾向が見受けられ、各国のロックダウンが懸念されています。仮に今以上に感染が広がった場合、国全体でロックダウンを決行するのか、一部地域のロックダウンにとどめるのかによっても、景気への影響が異なります。また、雇用や失業率にも影響を与えてくるでしょう。
イギリスがEUを離脱するブレグジット問題も、ユーロ円の価格に大きな影響を与えます。現在イギリスは、2021年1月1日の完全離脱後の関税などに関する取り決めをする移行期間にありますが、イギリスとEUとの協議に進展がありません。このまま結論が出ずに「合意なき離脱」という状態になると、ユーロ円は円高ユーロ安に進む可能性が高くなります。
今後の見通しについては、とくに新たに大きな出来事が起きない限り、ユーロ圏の新型コロナウイルスの感染状況と、ブレグジットの問題に絞って注視しておくとよいでしょう。
また、欧州中央銀行(ECB)の政策金利は景気を知るうえで参考になる数字です。ユーロ円が今後どうなるか、最新の情報を知りたい人はぜひECBの政策やECB関係者の発言もチェックしてみてください。
ユーロ円の関係を知っておきましょう
EUにとって何かマイナス要因が発生すれば、ユーロを売却して円を買おうとする人が増え、「円高ユーロ安」になります。具体的には、例えば1ユーロ125円から123円になった場合は2円ほど「円高ユーロ安」になったといいます。
また、日本でプラス要因が発生した場合、円をほしいと思う人が増え、ユーロを売却して円を購入する人が増えます。こちらも「円高ユーロ安」になります。
ユーロ円を買うべきタイミングは、将来的に円安・ユーロ高になると予想される時です。すなわち、日本よりもEUの方が経済や景気が良い状態であれば「円安・ユーロ」高となり、ユーロの買い時となるわけです。
ユーロにおいてはブレグジットの合意なき離脱、日本においては新しい総理大臣である菅義偉氏の政策と実行力が価格の変動要因となる可能性があります。現状ではユーロと円を取り巻く経済情勢は均衡しており、まだ明らかな買い時とはいえないでしょう。
外貨建て商品にはリスクがありますが、ユーロ圏と日本の経済情勢が均衡している現在のような状況では、逆に値動きが少なく、初心者にとってのチャンスです。外貨建ての株式や投資信託などにも挑戦しやすい環境といえます。あまり大きなリスクを取りたくないときは、円建ての定期預金よりも金利が高く、比較的安全に運用できる外貨建て預金にお金を移すこともおすすめです。
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