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スタグフレーションとは|不景気なのに物価が上がる!?原因と対策やインフレとの違いも解説
経済が停滞している中で物価が上昇する状態が「スタグフレーション」。スタグフレーションの発生により世界経済に大きな打撃を与えることも。本記事では、スタグフレーション時期を乗り越えるための投資ポイントについて説明します。
スタグフレーションとは?
スタグフレーションとは「経済の停滞」を意味する「スタグネーション」と物価の上昇を意味する「インフレーション」を掛け合わせた造語です。経済が停滞して失業率が高止まりしている中での物価上昇状態を意味します。「不況時は需要減少により物価が下落し、好況時はその反対に物価が上昇する」という原則から外れた状況です。
この言葉の起源は1965年に遡ります。当時「英国病」とも呼ばれた深刻な経済停滞状況下にあったイギリスの保健大臣イアン・マクロード氏が自国の経済状況を語る中で生まれた言葉です。その後、2度に渡るオイルショックの影響を受けて全世界が急激な物価上昇と多くの失業者問題に悩まされ、世界的にスタグフレーションという言葉が広がっていきました。
この現象の一番の問題は、一度発生してしまうと抑制するのが非常に難しいことです。通常の不況であれば、低金利政策や財政出動により通貨の市場流通量を増やして経済を刺激することができます。しかし、スタグフレーションの状況下で同じことを実行すると、物価の上昇に歯止めがきかなくなる可能性があります。最悪の場合は、自国通貨の暴落という状況に陥りかねません。
アメリカで過去に発生したスタグフレーションを事例に、この現象を詳しく確認していきましょう。
・1973年からアメリカで発生した深刻なスタグフレーション
きっかけとなったのは、第4次中東戦争による1973年の第1次石油危機とイラン革命による1979年の第2次石油危機です。この2度にわたる原油価格の高騰がアメリカのスタグフレーションを誘発しました。
スタグフレーションの状況を示す指標に悲惨指数というものがあります。アメリカの経済学者であるアーサー・オークン氏が考案したもので、消費者物価指数の前年比伸び率と失業率を足した数値です。数値が大きいほど経済が深刻な状況であることを意味します。
当時のアメリカはこの悲惨指数が20を超え、相当深刻な事態に陥りました。1973年から80年代初頭にかけて物価は10%を上回る勢いで上昇し、失業率も5〜10%の高水準で推移していました。高い失業率の中、毎年物価が10%以上高くなっていく異常な事態にアメリカの国民生活は大きな打撃を受けることになりました。
・現在のアメリカを取り巻くスタグフレーションの状況
2021年9月のアメリカでは物価の上昇率が5.3%、失業率が4.8%となっており、悲惨指数は10.1という状況でした。アメリカでは先述のスタグフレーション発生後、悲惨指数が10を上回ることが何度かありましたが、結果的にスタグフレーション発生につながることはありませんでした。
今後も原油価格高騰は続くかもしれません。その場合でも、アメリカでシェールオイルが増産されることにより石油輸出国機構の減産体制が見直され、原油の需給が改善されるという可能性もあり得ます。
また、アメリカの人手不足は解消する方向に向かっており、中国も何らかの景気対策を講じてくると想定されます。このように、各国でスタグフレーションの発生には繋がらないと思われる動きは見られますが、発生するかどうかは引き続き世界の動向を確認するのが良さそうです。
スタグフレーションとインフレーションとの違い
スタグフレーションとインフレーションの違いについても確認しておきましょう。
通常の物価上昇(インフレーション)は好景気によってもたらされるもので、不景気時に発生することはありません。好景気時は、雇用状況が改善され賃金も増加します。それに伴い物価が上昇していくのがインフレーションです。
経済状況が反転して不景気となれば雇用状況が悪化し賃金は減少しますが、それに伴い物価も下落していきます。いわゆるデフレーションの状況です。
しかし、スタグフレーションの場合は、不景気にもかかわらず物価が上昇していきます。雇用状況が悪化し、賃金が減少する中で物価が上昇していきます。物価が上昇していくということは、保有している現金や預貯金の価値が減少していくことと同じです。雇用状況が悪化している中でそのような状況に陥ると、国民の生活状況にも悪影響が及びます。
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近年の物価上昇の背景とは
スタグフレーションの懸念を高めているのは、原油価格の高騰とアメリカなどによる利上げの加速です。過去の事例を分析すると、それらの事象がスタグフレーションの要因となる可能性は大いにあると考えられます。
原油先物価格は新型コロナウイルスの大流行により行われたロックダウンにより、2020年4月にはマイナス価格に転落するという異常事態が発生しました。しかしその後は回復基調に転じ、2021年11月の時点ではWTI原油先物が83ドル/バレルとなっており、コロナ流行前の45%高の状況となっています。
その価格高騰の原因は、OPEC加盟国と非加盟の原油産出国で構成されるOPECプラスによる減産体制です。物価上昇を食い止めるためには原油価格の安定が不可欠ですが、OPECプラスは増産要請を拒否して減産体制を維持しており、原油価格は高止まりを続けています。
そのような状況に、供給ショックが追い討ちを掛けています。新型コロナウイルスの流行によって、世界のサプライチェーンは大きな打撃を受けました。感染リスクを回避するために必要な労働力が確保できていないという状況が続いています。
少しずつ動き出している経済活動を支えるのに十分なサプライチェーンが機能しておらず、半導体を中心に自動車やエネルギーなどさまざまな分野で供給能力が追いついていないため、全体的に物価が上昇しています。
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)はすでに量的緩和の縮小を決定していますが、物価の安定のために、利上げに踏み切る可能性が高いと言われています。利上げがどの程度物価の抑制に効果を発揮するかで、スタグフレーション発生の可能性は変わってくるでしょう。
物価上昇に備えるポイント
今後、日本の状況がスタグフレーションに発展するかどうかは断言できませんが、主に原油高を理由に物価は上昇しつつあり、日本経済に厳しい影響を与えています。そのような状況で、企業が存続するためや、利益をあげるためにできる対策はあるのでしょうか。ここからは、スタグフレーション対策の具体例を紹介していきます。
・付加価値の高いサービスを構築しておく
付加価値の高いサービスを作り上げておけば、資材や人件費といった経費高騰により価格を上げざるを得なくなったとしても、サービスの利用者数が大きく減ることを防ぐことができるかもしれません。付加価値を高めていくためには、現状のサービスに満足するのではなく、常に改善するための努力を続けていくことが欠かせません。
・消費者が求めるサービスを常に把握する
情報革新のスピードが速くなった現代では、消費者が求めるサービスも常に変化していきます。今はWEB検索を行えば、誰でも必要な情報を簡単に手に入れられる時代です。近年自由化された電気やガスなどのインフラの事例をみても分かるように、消費者は自分自身でサービスを比較して、自分にとって一番有利なものを選択していきます。
このように、消費者が自由に情報を手に入れられる状況であることを理解し、求められるサービスを常に把握していくことがこれからの企業には必要となるでしょう。
・自社の経営状態を確認してみる
自社の財務諸表を収益性や安全性、成長性といった観点から分析し、経営状態を確認してみましょう。安全性という視点の分析であれば、次のようなものが考えられます。
短期財務安全性分析:流動比率及び当座比率を分析
長期財務安全性分析:固定比率、自己資本比率、負債比率を分析
さらにキャッシュフローの状況も分析しておけば、財務基盤が盤石であるかを確認することができます。しっかりとした財務基盤を持っていれば、仮にスタグフレーションが発生した場合でもすぐに経営状態が悪化する、という可能性は低く抑えられます。まずは、自社の状況を確認し、いざという時に適切な対策を講じられるようにしていきましょう。
スタグフレーション時期の投資ポイントや注意点
投資を行う上でのスタグフレーションへの対応策についても確認していきましょう。スタグフレーション時は、物価の上昇に伴い貨幣価値が減少していきます。そのため、現金や預貯金として資産を保有しておくことは大きなリスクにつながる可能性があります。
一方、株式や不動産、金などの現物資産を保有しておくことは、スタグフレーションへの対応策のひとつとなります。不景気に不安を感じると、預貯金を増やさなければと思うかもしれませんが、むしろ、景気が悪いからこそ、投資を行う時期であるともいえるのです。
特に株式は、スタグフレーション下では市場価格を下げることになるでしょう。つまり、企業価値に対して割安な価格で取得できる可能性があるということです。相場が落ち着いたのちに売却すれば大きな利益を得られる可能性があります。
また、不動産に投資をしておけば物価の上昇に伴い不動産価格が高騰することもありますので、不動産価格が上昇を始める前に購入し、家賃収入を得ながら価格上昇を待つのもひとつの方法でしょう。
安定性を求めるのであれば、金が優秀な資産であるといえます。過去に価格が暴落したことはなく、常にある程度の水準を保ち続けてきた、信頼できる資産のうちのひとつです。購入にあたってのハードルも低く、多くの人が利用している投資方法でもあります。
ここまで見てきたように、投資という観点からみたスタグフレーション対策は、現金や預貯金を他の資産に変換して保有することです。不景気に必要以上に不安になるのではなく、適切な対策を講じて資産を保全していきましょう。楽天証券で投資を行えば、楽天ポイントが貯まったり、貯まったポイントで投資を行ったりすることもできます。
また、物価が上昇する中でも、お買い物の際にクレジットカードを利用すれば、物価の値上がりに乗じて多くのポイントを貯めることができ、お得にショッピングをすることができます。これもスタグフレーション対策として有効と言えるかもしれませんね。特に楽天カードは、ポイント還元率が1%と高水準であることに加えて、さまざまな特典・サービスもあります。クレジットカードでお得にポイントを貯めたい方は、ぜひ楽天カードを検討してみてはいかがでしょうか。
※ご利用内容によっては一部ポイント還元の対象外、もしくは、還元率が異なる場合がございます。
このテーマに関する気になるポイント!
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スタグフレーションとは?
経済の停滞を意味する「スタグネーション」と物価の上昇を意味する「インフレーション」を掛け合わせた造語です。経済が停滞して失業率が高止まりしている中でも物価が上昇している状態をいいます。
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今後日本がスタグフレーションになる可能性は?
アメリカの人手不足は解消する方向に向かっていることに加えて、各国も経済対策を講じていることを考えると、2022年3月時点ではスタグフレーションが発生する可能性はそれほど高くないといえるでしょう。
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