楽天証券の口座開設の手順を分かりやすく解説、口座を使うメリットとは?
上場企業が開示する決算短信のキャッシュ・フロー計算書について解説
上場企業は決算の内容が定まった場合には、直ちにその内容を開示することが義務付けられています。この決算の開示方法が、決算短信・四半期決算短信と言われます。決算書の一つの表にキャッシュ・フロー計算書があります。一会計期間の企業のお金の流れを計算するための財務諸表です。キャッシュ・フロー計算書は、財政状態計算書(貸借対照表)と損益計算書と密接に関係しています。キャッシュ・フロー計算書について解説します。
決算短信とは
株式投資には、企業が開示する情報を活かす必要があります。企業が開示する情報の一つに、決算短信というものがあり、決算短信とは企業の決算発表をまとめた書類のことです。
決算書のうち、財政状態計算書(貸借対照表)と損益計算書については、どんな財務諸表で、何の目的で開示するのか、どのように分析するのかなどは知られています。一方、もう一つの財務諸表であるキャッシュ・フロー計算書は、2000年3月期から作成、開示を義務付けられたため、どんな財務諸表で、何の目的で開示するのか、どのように分析するのかなどあまり知られていません。そこで、今回はキャッシュ・フロー計算書について、詳しく説明します。
会計ビッグバン
会計基準の世界標準化の流れにより、2000年3月期の決算から、キャッシュ・フロー計算書の作成、開示が義務付けられました。1990年代後半から日本の会計制度を国際会計基準に近づけるために大きな変化があり、それは「会計ビッグバン」と呼ばれています。
企業が海外進出を活発化することにより、投資資金が国境を超えることが一般的になりました。国際化に伴い、企業会計の管理方法を国際基準に合わせて、国際間の比較検討をできるように、連結財務諸表の重視、金融商品の時価評価、税効果会計、退職給付会計、減損会計等の基準が導入されることになりました。その流れのなか、キャッシュ・フロー計算書の作成、開示が義務付けられました。
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キャッシュ・フロー計算書とは
財政状態計算書(貸借対照表)は、企業の財政状態を明らかにすることを目的に作成されます。損益計算書は、企業の経営成績を明らかにすることを目的に作成されます。キャッシュ・フロー計算書は、企業のお金の流れを明らかにすることを目的に作成されます。言い換えると、事業資金がどのように循環しているのか把握することが目的ということです。
キャッシュ・フローとは、現金や現金同等物の増減のことを指します。現金同等物とは、①容易に換金可能であり、かつ②価値の変動について僅少(きんしょう)なリスクしか負わない短期投資をいいます。現金同等物には、例えば、取得日から満期日または償還日までの期間が3カ月以内の短期投資である定期預金、譲渡性預金、コマーシャル・ペーパー等があります。
キャッシュ・フロー計算書は、財政状態計算書(貸借対照表)や損益計算書と相互に密接に関係しています。期首の貸借対照表の現金預金と期末の貸借対照表のキャッシュが増減となったかを説明する役割を担っています。損益計算書との関係では、損益計算書で計算された利益がどの程度キャッシュを企業に流入させたかを説明する役割を担っています。キャッシュ・フロー計算書の評価目的は、①現金創出能力の評価、②支払能力の評価、③利益の質の評価となります。キャッシュ・フロー計算書の構造は、企業活動を営業活動、投資活動、財務活動に分類して表示する3区分法となっています。
決算短信のサマリー情報について
楽天グループ株式会社は、12月31日が決算日となっています。2020年12月期決算短信は、2021年2月12日に開示されています。
決算短信の構成は、①サマリー情報、②添付資料に分かれています。今回は、サマリー情報の当期のキャッシュ・フローの概況を確認します。
決算短信のサマリー情報【当期のキャッシュ・フローの概況】
参照:決算短信のサマリー情報【連結経営成績】
当期のキャッシュ・フローの概況と、参考に連結経営成績の売上収益、営業利益、当期利益を一覧表にまとめました。2013年12月期から2020年12月期まで、営業活動によるキャッシュ・フローからは、プラスの金額が増えているという傾向がわかります。投資活動によるキュッシュ・フローは、7年間連続マイナスの金額です。財務活動によるキュッシュ・フローは、8年間連続プラスの金額です。そして、現金及び現金同等物の期末残高は、年々増加していることがわかります。2020年12月期には、約3兆円の現金及び現金同等物が残高となります。
連結キャッシュ・フロー計算書をみると、増加原因がわかります。
“2020年12月期は、銀行事業の預金の増加額が1,555,229百万円となっています。2019年12月期は、805,850百万円の増加額です”
連結経営成績を確認すると、2020年12月期当期利益△115,838百万円、2019年12月期当期利益△33,068百万円となっています。当期利益がマイナスでも、現金及び現金同等物が増えています。この関係性がどこにあるかは、詳しく確認していく必要があります。
フリーキャッシュフローについて
キュッシュ・フローには、フリーキャッシュフローという重要な概念があります。フリーキャッシュフローは、営業キュッシュ・フローと投資キャッシュ・フローを足したもので、企業が稼いだ現金等のうち自由に使える現金等のことです。フリーキャッシュフローを可能な限り増やすことで、金融機関等に頼らずに企業の自力で事業活動に投資できる資金能力を増加させます。
上の表から、楽天グループは営業活動により稼いだ現金等と、財務活動により調達してきた現金等を加えて、積極的に投資活動をしていることがわかります。投資活動は、将来の現金創出能力を向上させることにつながります。
まとめ
2000年3月期の決算から作成、開示が義務付けられたキャッシュ・フロー計算書を解説しました。キャッシュ・フロー計算書は、企業のお金の流れを明らかにすることを目的に作成されます。言い換えると、事業資金がどのように循環しているか把握することが目的ということです。
キャッシュ・フロー計算書の評価目的は、①現金創出能力の評価、②支払能力の評価、③利益の質の評価です。企業が開示するキュッシュ・フロー計算書を確認し、投資活動に活かしていきましょう。
このテーマに関する気になるポイント!
- キュッシュ・フロー計算書はどんな目的で作成されますか?
キャッシュ・フロー計算書は、企業のお金の流れを明らかにすることを目的に作成されます。言い換えると、事業資金がどのように循環しているか把握することが目的ということです。 - キュッシュ・フロー計算書の評価目的はなんですか?
キャッシュ・フロー計算書の評価目的は、①現金創出能力の評価、②支払能力の評価、③利益の質の評価となります。 - キュッシュ・フロー計算書の構造はどのようになっていますか?
キャッシュ・フロー計算書の構造は、企業活動を営業活動、投資活動、財務活動に分類して表示する3区分法となります。 - フリーキャッシュフローとはなんですか?
フリーキャッシュフローは、営業キュッシュ・フローと投資キャッシュ・フローを足したもので、企業が稼いだ現金等のうち自由に使える現金等のことです。フリーキャッシュフローを可能な限り増やすことで、金融機関等に頼らずに企業の自力で事業活動に投資できる資金能力を増加させます。
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