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財務諸表の分析方法|株式投資に必要な情報を読み解くための準備を徹底解説
株式に投資する場合、どの企業の株式を購入するか検討することから始めます。株式の価値である株価は、値上がりしたり、値下がりしたりします。株価は、買いたいと思う人と、売りたいと思う人の需給バランスで決まります。この需給バランスは、様々な要因により変化します。一つの変動要因として、会社の財政状態、損益状況や、中期計画などの将来性です。そこで、今回は財務諸表のうち、損益計算書の分析方法を徹底解説します。
財務諸表とは
株式に投資する場合、投資をする企業の財務諸表の分析をする必要があります。財務諸表とは、企業の一定期間の財政状況や経営状況をまとめた書類です。財務諸表は経営者の経営判断に用いられたり、利害関係者に報告したりするために利用され、一般的には決算書と呼ばれています。 財務諸表のなかでも「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の3つが「財務三表」と呼ばれるもっとも重要な帳票であることがわかります。
楽天グループ(4755)の「財務三表」を参考にして、財務分析を説明していきます。
参照元:楽天証券 損益計算書
財務三表を読み解くための準備段階
財務三表を読み解くためには、まずは企業の概要を把握します。楽天証券の企業情報に、財務諸表を確認できるページがあります。四年分の「損益計算書」、「貸借対照表」、「キュッシュフロー(計算書)」の情報が記載されています。まずは、単位が百万円であることを確認します。事業年度の後の「連」は、連結決算の財務諸表ということです。
連結決算とは、親会社だけでなく、国内・海外子会社および関連会社を含めたグループ全体の決算をまとめた内容のことです。日本では、2000年3月期から証券取引法(現在の金融商品取引法)のディスクロージャー制度を大幅に見直し、連結決算中心の開示になっています。詳しい決算内容は、企業のウェブサイトから確認できます。
下の図は、楽天グループの事業系統図です。楽天グループでは、下記のグループ全体の決算をまとめて連結決算として開示しています。
設立日は1997年2月7日、株式上場日は2000年4月19日、売買単価は100株という情報がわかります。2021年11月5日の終値が1,257円だったので、売買価格は12万5,700円(1,257円×100株)となります。また、上場市場は東証1部ということが確認できます。東証1部とは、東京証券取引所の市場第一部に上場されているということです。
2022年4月4日に市場構造の見直しがあります。現在の市場区分を「プライス市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」の3つの新しい市場区分へと再編します。
財務分析① 損益計算書分析
楽天グループの損益計算書を確認しましょう。(単位:百万円、筆者加工)
損益計算書の最上段には「売上高」が記載されています。次に、文字の最後に「利益」がつく「売上総利益」「営業利益」「当期純利益」があります。今回は、この「売上高」「売上総利益」「営業利益」「当期純利益」に注目して、分析をしていきます。
売上高成長率は、前年と当期の売上高の差額を前年の売上高で割って計算します。2018年12月期の売上高成長率は、{(1,104,480-944,474)÷944,474}×100=16.9%となります。売上高成長率は重要な経営指標のひとつであり、会社の成長性がみえてきます。
楽天グループの場合、2017年12月期の売上高944,474百万円が、2020年12月期には1,455,538百万円となっています。この4年の売上成長率は、54.1%となっています。つまり、4年で売上高が1.5倍以上になっていることがわかります。
次に、売上総利益率、営業利益率、当期純利益率をみていきます。各々の「利益」を「売上高」で割って計算します。2017年12月期の売上総利益率は(570,211÷944,474)×100=60.4%、営業利益率(149,344÷944,474)×100=15.8%、当期純利益率は(110,585÷944,474)×100=11.7%となります。
4年の推移をみると、利益率が落ちてきていることがわかります。2020年12月期は、マイナスに転じています。有価証券報告書で内容を確認すると、2020年12月期は新型コロナウイルス感染症の影響による経済停滞が起こり、2019年12月期に比べ大幅に下振れしたことがわかります。
損益計算書の金額の増減だけではなく、分析することにより、会社の成長性や、利益率の変化を読み解くことができます。
まとめ
財務諸表の分析をすることは、会社の財政状態、損益状況や、中期計画などの将来性を把握するためにも有益です。今回は、財務三表を読み解く前の準備段階と、損益計算書の分析の初歩を説明しました。株式投資は資産形成の一つですが、リスクが大きい投資と言われます。ご自身でしっかり分析をできるようになることが大事だと考えます。
このテーマに関する気になるポイント!
- 連結決算とは、どのような仕組みなのでしょうか?
連結決算とは、親会社だけでなく、国内・海外子会社および関連会社を含めたグループ全体の決算をまとめた内容のことです。 - 現在、東証一部、東証二部等の市場構想が、来年見直されるのことですが、どのような市場構造になるのでしょうか?
2022年4月4日に市場構造の見直しがあります。現在の市場区分を「プライス市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」の3つの新しい市場区分へと再編します。 - 損益計算書の初歩的な分析方法は?
売上高成長率により、会社の成長性がわかります。売上総利益率、営業利益率、当期純利益率により、利益率の変化がわかります。
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