カナダドルが資源国通貨と言われている理由は?原油価格の影響も受けやすいのはなぜか。
世界第10位のGDPを誇るカナダ。カナダで使用される通貨はカナダドルで、米国経済、原油価格や金の価格変動の影響を受けます。この記事では、カナダドルの特徴とその値動きの仕組みについて解説しています。
- カナダドルの特徴
- カナダドルが資源国通貨と言われるのはなぜ
- カナダドルが下落や上昇を起こす要因は?
- カナダドルはなぜ原油価格の影響を受けやすい?
- カナダドルは米ドルに類似した動きをする
- 原油価格が堅調な今、カナダドルに注目
カナダドルの特徴
カナダの2019年度GDPは1兆9,392億米ドル。世界第10位の経済大国です。カナダドルの通貨コードはCAD。アメリカ合衆国の隣国であり、輸出の約8割、輸入の約5割が米国を対象とする取引で対米依存の強い国です。そのため、カナダの景気は米国の影響を大きく受け、金融政策も米国に追随する傾向にあります。
カナダドルが資源国通貨と言われるのはなぜ
カナダは国土面積がロシアに次いで2番目という広大な国土をもち、石油の埋蔵量ではベネズエラ、サウジアラビアに次いで3位。また、金の産出量では世界第5位です。原油価格や金価格の影響を受けやすいことに加え、鉱物資源や森林資源にも恵まれていることから、カナダドルは「資源国通貨」と言われます。
カナダドルが下落や上昇を起こす要因は?
カナダドルが下落、上昇する要因はさまざまですが、主要な要因は以下の4つです。
・要人発言
日本で総理大臣や日銀の総裁が発言をすると株式市場や為替に影響を与えるように、カナダにおいても要人の発言がカナダドルの通貨価格に影響を与えます。カナダにおける要人は、首相やカナダの中央銀行であるカナダ銀行(BOC)の総裁などがあげられます。
基本的に要人がカナダにとってマイナスな発言をすると、カナダドルは売りが多くなる傾向です。逆に要人が「今後の景気の見通しは明るい」などプラス要素と捉えられる発言をすると、カナダドルが買われる傾向があります。
・原油相場
カナダドルは原油の相場に影響を受けやすく、基本的には原油価格が上昇するとカナダドルが買われ、原油価格が下落するとカナダドルは売られやすくなります。
カナダ産原油の輸出はほとんどが米国向けです。カナダ産の原油価格も米国の原油価格に左右されることになります。
・米国経済
米国経済とカナダの経済は密接な関係にあります。そのため、米国経済の景気が堅調であればカナダドルも買われ、米国経済が不調であったり、マイナス要因が発生したりするとカナダドルも売られがちです。
・経済指標
定期的に公的機関から発表される経済指標の結果によって、カナダドルの通貨価格は上下する傾向があります。多くの経済指標がありますが、代表的な指標としては、新たに雇用された人数をあらわす新規雇用者数と、労働力人口に占める失業者の割合を表す失業率があります。
発表されるのは、新規雇用者数、失業率とも毎月第1金曜日の22:30(カナダが夏時間を採用している期間は21:30)です。
各経済指標の数字は、事前に予測数値がたてられます。基本的には、予測数値よりも実際に発表された数字が悪ければ、カナダドルは売られる傾向です。また、予想通りの場合、カナダドルの通貨価格は現状維持。予想よりも良好な結果であれば、カナダドルは買われる傾向となります。
カナダドルはなぜ原油価格の影響を受けやすい?
カナダは原油の埋蔵量も多いうえ、原油生産量は世界第4位。輸出額ランキングでも世界第5位です。原油価格がカナダ経済に与える影響は大きく、カナダドルは原油相場の影響を受けやすい傾向があります。
カナダドルは米ドルに類似した動きをする
カナダドルは米ドルに類似した動きをするため、米国の動向もウォッチしておく必要があります。米国に関する次の3点の情報は、カナダドルの通貨価格にも影響を与えるので注視しておきましょう。
・米国の経済指標
冒頭に述べましたが、カナダ経済は対米依存が大きい傾向にあるため、米国の景気や経済指標の影響を受けます。経済指標が米国の景気上昇を示していれば、米ドルと一緒にカナダドルも買われ、逆に米国の景気が下向きであれば米ドル・カナダドルとも売られやすくなります。注目されるのは、非農業部門雇用者数、小売売上高、GDP、住宅着工件数といった経済指標です。
・米国の金融政策
米国の中央銀行にあたるFRBの金利政策もカナダドルの価格に影響を与えます。一般的には、FRBが利上げや市場の資金供給量を減らす「金融引き締め」をすると、米ドルとともにカナダドルが買われ、逆に利下げや市場の資金供給を増やす「金融緩和」をするとカナダドルが売られます。
・米国の要人発言
米国の大統領やFRB議長、地区連銀総裁といった要人の発言もカナダドルに影響を与える要因です。基本的に、発言の内容が米国にとって好感される内容か、金融引き締めを示唆する内容であれば米ドルとともにカナダドルも買われ、嫌気される内容、または金融緩和を示唆する内容であれば米ドル・カナダドルとも売られる傾向があります。
原油価格が堅調な今、カナダドルに注目
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