FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」に分類され、申告分離課税で所得税15％、地方税5％がかかります。現在、所得税に復興特別所得税が上乗せされるので、合計すると20.315％の税率です。

申告分離課税というのは、ほかの所得とは区別して計算されるということ。給与所得や事業所得など総合課税の所得は合計金額によって税率が変わりますが、FXの税金は申告分離課税なので、ほかの所得に関係なく20.315％課税されるということです。

2011年までは店頭FX取引で得られた利益も総合課税で、他の所得と一緒に計算されていました。課税所得が330万円以上の人は総合課税の税率よりも申告分離課税（20.315％）のほうが低いのでお得ですが、逆に課税所得が195万円以下の人は総合課税の方がお得でした。

2012年1月1日からは同じ「先物取引に係る雑所得等」に含まれる利益との損益通算が可能となりました。FXで10万円プラスになったものの、商品先物取引で10万円マイナスになった場合、損益通算して課税対象が0円になるということです。先物取引に係る雑所得等には、日経225先物取引、ミニ日経225先物取引、日経225先物オプション取引、商品先物取引、取引所外国為替証拠金取引（くりっく365）などが含まれます。同じ雑所得という名称でも、総合課税の雑所得とは通算できません。

また、最大3年間の繰越控除も可能となりました。損失が発生した年から最大3年間、マイナス額を持ち越して各年の利益から控除できる制度です。繰越控除の適用を受けるためには、毎年確定申告が必須になります。

株や投資信託の場合、特定口座（源泉徴収あり）であれば確定申告しなくていいというメリットがあります。しかしFXには特定口座のように源泉徴収される仕組みがありません。FXで利益が得られたら確定申告する必要があります。

・FXで利益が出たとき
ここでいう利益は、受渡日ベースで1月1日から12月31日までの1年間に確定した取引差益、スワップ差益のことです。含み益のまま年を越しても税金はかかりません。年内の最終取引日は通貨によって異なるので注意しましょう。

利益があっても、給与所得者で、給与所得以外の所得合計が20万円以下の場合は確定申告不要です。専業主婦などほかに収入がない人は、FXを含めた所得が38万円以下であれば確定申告しなくて構いません。

大まかにいえば、FX等の利益により、以下の金額を超えるなら確定申告が必要です。
○サラリーマン：給与以外の所得が20万円超
○専業主婦など：所得38万円超

・FXで損失が出た場合
損失には税金がかからないため、確定申告の必要はありません。ただし、損益通算や繰越控除の適用を受けるためには確定申告が必要です。確定申告が不要の場合も、念のため確定申告しておくと役立つでしょう。

例えば、今年FXで10万円の損失を確定したとしましょう。翌年10万円利益が得られたとして、今年の分の確定申告をしておけば、繰越控除でプラスマイナス0円となり、税金がかかりません。確定申告をしていないと、10万円の利益に税金がかかって2万315円支払うことになります。

また、繰越控除は最大3年間できますが、繰り越している間はたとえFX取引がなくても確定申告し続ける必要があります。1年目マイナス10万円、2年目取引なし、3年目プラス10万円としましょう。1年目だけでなく2年目も確定申告しなければ、3年目のプラスが相殺できません。将来のことはわからないので、マイナスが出ても繰越控除のために確定申告しておくのがおすすめです。

FXの損益を確定申告するには、1年間の取引状況を証明する「年間損益報告書」が必要です。多くのFX会社では公式サイトからダウンロードできるようになっています。給与所得者の場合は源泉徴収票も用意しておきましょう。

まずは年間損益報告書をもとに、「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を作成します。必要経費として、FXにかかわるセミナー代や書籍代も計上可能。ただし、領収書を保管しておかなくてはなりません。

繰越控除を行う場合は、「所得税の確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」もあわせて作成します。

あとは通常の確定申告と同様、記入欄を埋めるだけです。まったく確定申告したことがない人が手書きで作成するのは難しいので、国税庁の確定申告書作成コーナーを利用するか、税務署の確定申告会場に行くことをおすすめします。