楽天証券でiDeCoを始めるには何が必要?iDeCoの特徴や注意点などを解説
iDeCoは節税効果がある?3つの税制のメリットや仕組みについて詳しく解説
iDeCoは老後資金を準備するための手段であり、節税効果も見込めます。一方で、具体的にどの程度の節税ができるのか詳しく知らない人も多いでしょう。ここでは、iDeCoの3つの税制メリットや収入別の節税効果などを解説します。
- iDeCoは節税対策になる?
- iDeCoには3つの税制メリットがある
- iDeCoでどのくらい節税できるの?
- iDeCoで節税できる金額をシミュレーション
- iDeCoを利用するときの注意点は?
- iDeCoが向いている人は?
- iDeCoの節税効果を有効活用しよう!
iDeCoは節税対策になる?
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、老後の資産形成を目的とした私的年金の制度です。
基本的に20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛金を運用することで将来年金として受け取れます。
iDeCoが一般的な株式投資や公的年金制度などと異なるのは、節税効果がある点です。税金負担を軽減しつつ資産形成ができるため、将来に備える手段として人気が高まっています。
iDeCoには3つの税制メリットがある
iDeCoには、具体的に以下3つの税制メリットがあります。
掛金を積み立てているとき
iDeCoで積み立てた掛金は、全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象です。これにより毎年所得税と住民税を軽減できます。控除については記事の後半で詳しく解説します。
積み立てたお金が増えたとき
iDeCoでは積み立てた掛金を使って資産を増やしていきますが、そのとき発生した利益には税金が課されません。
例えば、株式投資などの金融商品の運用で得た利益には 所得税・住民税をあわせて約20%の税金を支払いますが、iDeCoではその税負担が免除されるため、資産形成がしやすくなります。
60歳以降にお金を受け取るとき
iDeCoでは積立期間を終えて受け取る段階に入ってからも税制優遇があります。受け取ったiDeCoで積み立てた資金は各種控除の対象になり、受け取るときにも所得税と住民税が軽減されるのです。
なお、iDeCoでは受け取り方法を年金か一時金か選択できます。年金で受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象となります。
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iDeCoでどのくらい節税できるの?
iDeCoでどのくらい節税できるのかを知るには、まず税金が計算される仕組みを理解する必要があります。以下に詳しく解説します。
所得税や住民税の仕組み
所得税や住民税の金額は「所得×税率」で決まります。所得とは、1月から12月までの1年間で得た収入全体から、必要経費や控除などを差し引いた金額です。
控除とは「取り除く、差し引く」という意味の言葉で「税金の計算から除外して良い金額」という意味合いになります。例えば収入が300万円で控除が50万円適用できる人の場合、300万円にそのまま税率をかけるのではなく、50万円を除外した250万円が所得となり、そこに税率をかけることになります。
適用できる控除が多いほど計算対象となる所得は少なくなり、結果として支払う税額も少なくなるのです。
iDeCoでは掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除、受け取るときは退職所得控除または公的年金等控除の対象となるため、適用される控除が増えて節税になるといえます。
収入によって節税額は変わる?
iDeCoでは同じ金額を積み立てていても、収入によって節税できる金額が変わります。その理由は、所得税の税率が所得額によって異なるためです。
所得税は累進課税といって、所得が大きい人ほど高い税率がかけられる仕組みになっています。2024年1月現在の所得税の税率と控除額は以下のとおりです。
所得税の税率と控除額
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、所得金額が5,000,000円の場合、税率は20%です。そこから427,500円が控除された結果、求める税額は572,500円となります。計算式は次のようになります。
5,000,000円×0.20-427,500円= 572,500円
iDeCoで節税できる所得税の金額は、iDeCoへの年間支払額に税率をかけた金額です。
例えばiDeCoに月1万円(年間12万円)拠出した場合を想定すると、課税所得300万円の人は税率10%となるため、節約できる所得税は12万円×10%=1万2,000円となります。
課税所得600万円の人は税率が20%に上がるため、節約できる所得税は12万円×20%=2万4,000円です。
一方、住民税は定額の「均等割」と所得額で変動する「所得割」で構成されており、所得割の税率は多くの自治体で標準税率の10%が採用されています。所得割の税率は収入の多少にかかわらず一律のため、節税額も変わりません。
節税した税金はどうやって戻ってくるの?
節税した税金は、所得税なら還付、住民税なら翌年の支払額の軽減、という形で戻ってきます。
所得税は、会社員やアルバイトの人であれば職場での年末調整によって税額が計算され、還付分が年末または年始の給与と一緒に支払われるのが一般的です。年末調整を受ける機会がない自営業などの人は、確定申告で税金の申告を行うと数週間から1カ月程度で口座に還付金が振り込まれます。
住民税は、節税結果が反映されるのが翌年6月からの1年間となります。こちらは支払額の軽減という形で調整されるため、直接お金が手元に戻ってくるわけではありません。
iDeCoで節税できる金額をシミュレーション
これらを踏まえて、iDeCoを利用すると具体的にどのくらい税額が変わるのかシミュレーションを行いました。
今回は年収300万円、600万円、1,000万円の独身の会社員を想定し、毎月1万円をiDeCoで積み立てている場合とそうでない場合を比較しました。
iDeCoで毎月1万円を積み立てている場合とそうでない場合の税額比較
年収300万円 | 年収600万円 | 年収1,000万円 | ||||
iDeCo | あり | なし | あり | なし | あり | なし | 課税所得 | 100万円 | 112万円 | 292万円 | 304万円 | 605万円 | 617万円 | 所得税額 | 5万円 | 5万6,000円 | 19万4,500円 | 20万6,500円 | 78万2,500円 | 80万6,500円 | 住民税所得割額 | 10万5,000円 | 11万7,000円 | 29万7,000円 | 30万9,000円 | 61万円 | 62万2,000円 | 税額合計 | 15万5,000円 | 17万3,000円 | 49万1,500円 | 51万5,500円 | 139万2,500円 | 142万8,500円 | 差額 | 1万8,000円 節税 | 2万4,000円 節税 | 3万6,000円 節税 |
※すべて年間額
なお、税額計算にあたっての条件は以下のとおりです。
- 独身の会社員
- 年間の収入は給与所得のみ
- 課税所得は「年収-給与所得控除-基礎控除-社会保険料控除」として計算
- 給与所得控除はNo.1410 給与所得控除|国税庁の表に基づく
- 所得税の基礎控除は48万円、社会保険料控除は年収の14%とする
- 所得税の金額はNo.2260 所得税の税率|国税庁の速算表に基づく
- 住民税の基礎控除は43万円、税率は10%、所得割部分のみの計算とする
- iDeCoは毎月1万円(年間12万円)積み立てる
年収300万円の会社員の計算過程を詳しくご説明します。年収600万円、1,000万円のパターンについても同様に計算を行っています。
課税所得の計算
給与所得控除=300万円×30% + 8万円 =98万円
社会保険料控除=300万円×14%=42万
課税所得=300万円-98万円-48万円-42万円=112万円
税額の計算
iDeCoなしの場合
所得税額=112万円×5%=5.6万円
住民税所得割額=(112万円+5万円※)×10% =11.7万円
※住民税の基礎控除は43万円で所得税の基礎控除より5万円少ないため、課税所得が5万円増える計算になります。
iDeCoありの場合
所得税額=(112万円–12万円)×5%=5万円
住民税所得割額=(112万円+5万円–12万円)×10%=10.5万円
iDeCoを利用するときの注意点は?
さまざまな税制メリットがあるiDeCoですが、いくつかの注意点もあります。
まず、積み立てたお金は原則60歳まで引き出すことができません。ごく一部の例外を除いて解約もできないため、普段の生活を圧迫しないよう計画的に積み立てる必要があります。
またiDeCoは、利用する証券会社選びから、投資商品の決定、運用をすべて自分で行う制度です。
iDeCoは「自分で用意する年金」ともいわれており、運用成績次第で将来受け取れる金額が変動します。元本割れのリスクもあるため、運用の仕方によってはかえって資産が減る可能性もあります。
iDeCoが向いている人は?
iDeCoは税制優遇のある年金制度ですが、あらゆる人が同じようにメリットを享受できるわけではありません。中にはiDeCoを利用してもあまりメリットがない人や、無理をして利用しないほうが良い人もいます。
以下にiDeCoに向いている人を紹介します。
税制メリットを受けやすい人とは
iDeCoに向いているのは「税制優遇のメリットを受けやすい人」であり、例えば以下の項目に当てはまる人です。
- 継続して安定した収入がある人
- 年間所得が高額な人
- 20代から30代にかけての若い人
iDeCoは所得がある人ほど節税効果が大きい制度です。逆に無職や専業主婦など所得が少ない人は、そもそも課される税金が少ないためあまり恩恵を受けることがありません。
また、若い人のほうがメリットを受けやすい理由は、iDeCoが長期投資を前提としているためです。iDeCoに加入できるのは20歳から65歳未満ですが、早く始めるほど生涯の合計節税額は大きくなり、また運用の複利効果で資産を増やしやすくなります。
一方で、若い頃はまだ収入や貯金が心もとなく、iDeCoに掛金を支払う余裕がないことも珍しくありません。さらにiDeCoで支払った掛金は60歳以降でしか受け取れないため、今必要なお金を無理して将来のために回す必要はないと言えます。
特に子供の進学やマイホームの購入といった大きなライフイベントを控えているタイミングでは、むやみに投資するよりも手元に資金を確保するほうが安心して生活できることもあるでしょう。
主体性や今の生活とのバランスも大切
税制メリット以外の観点から見たときに、以下のような特徴を持つ人はiDeCoに向いているといえるでしょう。
- 主体性をもって運用ができる
- お金や投資の勉強が苦にならない
- ある程度生活に余裕があり、余剰資金を活用したい
iDeCoはただ掛金を払っていれば良い制度ではなく、運用する商品選びや、何にいくら投資するのかもすべて自分で決めなくてはいけません。ある程度の投資知識は必要になるため、情報を主体的に調べたり学んだりすることが苦痛に感じる人にはつらいかもしれません。
また、安定した資産運用をしたいのならば「余剰資金」で行うのが原則です。生活費を切り詰めてまでiDeCoへの投資に回してしまうと、かえって家計の圧迫につながります。
将来のための備えも大事ですが、まずは今の生活があってこそ。今と未来のバランスを見ながら、無理のない範囲で利用するのが大切です。
iDeCoの節税効果を有効活用しよう!
iDeCoには3つの税制メリットがあり、節税しながら資産形成ができます。安定した所得がある人や余剰資金を活用したい人にとっては特に恩恵が大きい制度であるため、ぜひ将来のために役立ててみてください。
楽天証券のiDeCoは、運営管理手数料がだれでも条件なしで無料のため、少しでも負担を抑えながら運用できるでしょう。また、わかりやすい管理画面や投資ガイドも充実しており、初心者でも安心して投資ができるサポートもそろっています。
※この記事は2024年2月時点の情報をもとに作成しております。
このテーマに関する気になるポイント!
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iDeCoは節税ができる?
はい。iDeCoには税制優遇が設けられており、利用することで所得税や住民税の節税につながります。
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具体的にどのくらい節税できるの?
収入額によって節税できる額は変わりますが、年間の積み立てた金額に収入に応じた5~45%の税率をかけた額が目安です。
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iDeCoが向いている人は?
安定した所得や余剰資金がある人に向いています。逆に所得が少ない人には節税メリットが多くはありません。
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iDeCoをはじめるときの注意点は?
原則60歳までお金を引き出せないことや、元本割れのリスクなどが挙げられます。
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