楽天証券でiDeCoを始めるには何が必要?iDeCoの特徴や注意点などを解説

リリース日:2024/01/22 更新日:2024/09/25

「将来どれだけ年金を受け取れるの?」「老後の生活費は年金だけでカバーできるの?」といったように、将来の年金について不安や悩みを持っている人も多いでしょう。

老後資金の準備方法にはいくつかありますが、そのひとつがiDeCoです。ここでは、iDeCoの特徴、注意点を解説するとともに、iDeCoの始め方について楽天証券を例にとって紹介していきます。

  1. iDeCoとは
  2. 楽天証券でiDeCoを始めるには?
  3. iDeCoを始めるタイミングは?
  4. iDeCoの特徴と注意点
  5. iDeCoを正しく運用しよう

iDeCoとは

iDeCoとは

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、国民年金(基礎年金)や厚生年金といった公的年金とは別に任意に加入する私的年金のひとつです。申込手続から掛金の拠出、運用までを自分で行い、将来年金として拠出した掛金と運用益の合計額を受け取ることができます。

 

掛金の拠出は65歳まで可能で、受取開始は原則60歳以降です。公的年金に上乗せして老後資金を準備したい場合に活用できる制度です。

加入対象者

iDeCoは、原則として国民年金の被保険者であれば加入できます。しかし、下表のように加入対象外となる場合もあるため、加入前に対象者に該当するか確認しておきましょう。

iDeCoの加入対象者

国民年金加入区分 加入対象となる人 加入対象外の人
第1号被保険者 20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、フリーランス、学生など
  • 国民年金保険料の納付の免除を受けている人(障害年金受給中の人などを除く)
  • 農業者年金の被保険者
第2号被保険者 厚生年金の被保険者(会社員や公務員など)(※)
  • 企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛金が、拠出限度額の範囲内で各月拠出でない人
  • 企業型DCでマッチング拠出を選択した人
第3号被保険者 厚生年金の被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者
任意加入被保険者
  • 60歳以上65歳未満で、国民年金の保険料の納付済期間が480月に達していない人
  • 20歳以上65歳未満の海外居住者で、国民年金の保険料の納付済期間が480月に達していない人
その他
  • iDeCoの老齢給付金を受給している、またはしたことがある人
  • 老齢基礎年金を繰り上げ受給している人
 

※65歳以上の厚生年金被保険者で加入期間が120月以上ある人は国民年金の第2号被保険者とはなりません。

加入区分ごとの拠出限度額

iDeCoは国民年金加入区分によって、毎月の拠出金の限度額が決められています

iDeCoの拠出限度額

国民年金加入区分 拠出限度額(月額)
第1号被保険者 6万8,000円(※1)
第2号被保険者 勤務先に企業年金がない会社員 2万3,000円
企業型DCのみに加入している会社員 2万円(※3)
DB(※2)と企業型DCに加入している会社員 1万2,000円(※4)
DB(※2)のみ加入している会社員 1万2,000円
公務員 1万2,000円
第3号被保険者 2万3,000円
 

※1 国民年金基金の掛金または国民年金付加保険料との合計額
※2 DB:確定給付企業年金、厚生年金基金、石炭鉱業年金基金、私立学校教職員共済制度をいう
※3 企業型DCの事業主掛金額との合計額が月額55,000円の範囲内
※4 企業型DCの事業主掛金額との合計額が月額27,500円の範囲内

 

第1号被保険者は毎月6万8,000円まで拠出できますが、国民年金基金や国民年金付加保険にも加入している場合は、それらと合計して6万8,000円までです。

 

第2号被保険者は勤務先の企業年金制度により毎月の限度額が異なるため注意しましょう。

 

第3号被保険者は特に条件なく毎月2万3,000円まで拠出可能です。

商品の選び方と運用

iDeCoで運用する商品は、運営管理機関があらかじめ選定した運用商品の中から自分で選びます。運用商品は、3~35本を選択肢として提示する決まり(※)となっており、定期預金や保険商品などの「元本確保型」と、投資信託で運用する「価格変動型」があります。

 

運用商品は複数を組み合わせたり、運用期間中にほかの運用商品へ変更したりすることも可能です。

 

※平成30年5月1日時点において提示している商品数が35を上回っている場合、5年間は平成30年5月1日時点の商品数が上限となります。

楽天証券でiDeCoを始めるには?

楽天証券でiDeCoを始めるには?

iDeCoを始める前に、どのような流れで手続きしていくのか理解しておくと良いでしょう。楽天証券のiDeCoを例に、手続きの流れを解説していきます。

 

楽天証券のiDeCoは、申込者(対象者)によって以下のように申込方法が異なるため、それぞれに分けて解説します。

楽天証券でのiDeCoの対象者と利用できる申込方法

申込方法 申込書 Web
対象者
  • 会社員、公務員など第2号被保険者
  • 任意加入被保険者
  • 自営業など第1号被保険者
  • 第3号被保険者
 

「申込書」による申し込み

第2号被保険者、任意加入被保険者に該当する人は、申込書により手続きを行います。

 

1. 楽天証券Webサイトで加入者情報を入力する
資料請求が完了すると、申込書類が送付されます。

 

2. 申込書類に記入する
送付された申込書類に必要事項を記入します。また、会社員・共済組合員の人は「事業主の証明書」が必要になるため、勤務先の担当者に依頼してください。

 

3. 申込書類を返送する
申込書類と必要書類をそろえて、楽天証券に返送します。審査などのため、手続き完了まで1~2カ月ほどかかります。記入内容に不備があるとその分時間がかかるため、返送する前に確認しましょう。

 

4. 加入審査・手続きの完了と書類の送付
加入審査や手続きが完了すると、「個人型年金加入確認通知書」「口座開設のお知らせ」「コールセンター/インターネットパスワードの設定のお知らせ」が送付されます。

「Web」からの申し込み

自営業や学生、専業主婦(主夫)の方などはWebから申し込みます。

 

1. 楽天証券Webサイトで加入者情報を入力する
次の手順で基礎年金番号が必要になるため、年金手帳やねんきん定期便などの書類をお手元に用意しておくと安心です。
必要情報を入力した後に、次の手順に進むURLが記載されたメールが送付されます。

 

2. 申込情報を入力する
基礎年金番号や掛金の拠出方法、掛金の引き落とし金融機関の設定などを行い、必要書類をアップロードします。審査などのため、手続き完了まで1~2カ月ほどかかります。

 

3. 加入審査・手続きの完了と書類の送付
加入審査が完了すると「申込書による申し込み」と同様の書類が送付されます。

iDeCo口座開設後の手続き

楽天証券のiDeCoの手続きが完了し、「個人型年金加入確認通知書」「口座開設のお知らせ」「コールセンター/インターネットパスワードの設定のお知らせ」がお手元に届いた後は初期設定を行います。

 

初期設定完了後は、掛金の配分指定をします。運用する商品を選び、どのような商品にいくら掛けるか1%単位で指定しましょう。

 

掛金の引き落としは毎月26日(金融機関が休業日の場合は翌営業日)です。残高不足にならないよう事前に確認しておきましょう。




iDeCoを始めるタイミングは?

iDeCoを始めるタイミングは?

iDeCoは、いつからでも始めることができます。掛金の拠出は原則として65歳までとなっているため、十分な資産を形成するために早めに始めたほうが安心できます。「iDeCoを始めたい」と思ったときがベストなタイミングでしょう。

 

なお、iDeCoの掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象になります。会社員や公務員の方などが年末調整のときに控除を受けたい場合は、会社での手続きが間にあうように加入する必要があります。

 

iDeCoの申込手続は完了までに1~2カ月ほどかかるため、年内に控除を受けたいと思う場合は8月か遅くとも9月までには申し込むと良いでしょう。

 

また、転職や退職の予定がある方は、それらが済んだ後に加入すると手続きが面倒にならず済みます。先にも解説したように、加入区分によって掛金の上限額が異なるため、職種が変わると拠出限度額が変わる可能性もあります。

iDeCoの特徴と注意点

iDeCoの特徴と注意点

iDeCoは国が推奨している私的年金ということもあり、いくつか特徴があります。しかし、注意すべき点もあるため、より有利に取り組めるよう確認しておきましょう。

iDeCoの特徴

iDeCoには拠出期間中や受取時などに税制優遇措置が設けられています。以下でiDeCoの特徴を見ていきましょう。

拠出金は全額が所得控除の対象

iDeCoで拠出した掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」に部類される所得控除の対象になります。年末調整や確定申告のときに申請することで所得控除が受けられるため、所得税と住民税の支払負担が軽減されます。

運用益が非課税

一般的に、投資信託などの金融商品で得た利益(運用益)には20.315%の源泉分離課税がかかりますが、iDeCoで得た利益は非課税となり税金がかかりません。税金が引かれないため、効率良い資産形成が可能です。

 

また、運用益も含めて再投資することで複利効果も期待できる点もメリットのひとつです。

受取時も控除枠を利用できる

iDeCoで積み立てた資金を受け取るときにも控除枠を利用できます。退職金のように1度にまとめて受け取る場合は「退職所得控除」、年金のように分割して受取場合は「公的年金等控除」が適用されます。

 

なお、退職所得控除と公的年金等控除の併用も可能です。

転職や離職をしても持ち運びができる

iDeCoで積み立てた資産は、転職や退職をする場合に「移換」手続きをとれば持ち運び(ポータビリティ)ができます

 

また、条件を満たしている場合、確定給付企業年金や企業型確定拠出年金といったほかの年金制度からの資産を引き継ぐことも可能です。

運用次第では資産をより増やせる

iDeCoは運用商品を自分で選び運用する仕組みとなっており、運用次第では資産をより増やせる可能性があります。ただし、定期預金などの元本確保型を選ばない限り、同時に資産が減ってしまう可能性もあることも念頭に置いておきましょう。

iDeCoの注意点

iDeCoの引き出しや運用における注意点を説明します。

原則60歳まで資産の引き出しができない

iDeCoで積み立てた資金は原則として60歳まで引き出すことができません。というのも、iDeCoは老後資金の準備が主な目的であり、加入者の資産形成をサポートするために様々な税制優遇措置が設けられているためです。

 

したがって、掛金の拠出期間中にまとまった資金が必要になっても、途中で解約して資金化することは原則としてできません。

運用次第で資産が減少する可能性がある

iDeCoの運用商品には、定期預金などの元本確保型もありますが、大半は投資信託で運用する価格変動型の商品です。そのため、金利変動や株価変動、為替変動などのリスクがともない、元本割れする可能性があります

 

ただし、iDeCoは「長期・積立・分散投資」という投資スタイルをとりやすいため、上記のようなリスクを抑えやすくなっています。

iDeCoを正しく運用しよう

iDeCoを正しく運用しよう

iDeCoは公的年金に上乗せして加入する私的年金で、老後資金の準備のために活用される制度です。掛金の拠出時や運用時、受取時それぞれにおいて税制優遇され、資産形成しやすい仕組みとなっています。

 

しかし、資金の引き出し年齢が制限されていることや、投資商品を含むため元本割れのリスクがあるなどの注意点もあります。

 

iDeCoを始めるときは、以上の点をしっかり理解したうえで取り組むことが大切です。

楽天証券などの証券会社のWebサイトにも、iDeCoの特徴が載っています。楽天証券の場合、公式サイトに「楽天証券のiDeCoを利用するとどのくらい節税できるのか」といった「節税シミュレーション」もあります。

 

※この記事は2024年1月時点の情報をもとに作成しております。

このテーマに関する気になるポイント!

  • iDeCoとは?

    iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、公的年金とは別に任意に加入する私的年金のひとつです。申込手続きから掛金の拠出、運用までをすべて自分で行い、拠出した掛金と運用益の合計額を将来受け取れる制度です。

  • iDeCoに加入できる人は?

    原則として国民年金の被保険者であれば加入できます(ただし、一部対象外の人もいます)。

  • iDeCoの掛金はいくらまで掛けられる?

    加入者によって異なりますが、第1号被保険者は月額6万8,000円まで、第2号被保険者は月額1万2,000円~2万3,000円、第3号被保険者は月額23,000円までです。

  • iDeCoを始めるベストなタイミングはいつ?

    iDeCoはいつでも始められます。長期間加入した方が資産を無理なく貯められることが多いため、「始めたい」と思ったときが始めどきといえます。

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。なお、本コンテンツは、弊社が信頼する著者が作成したものですが、情報の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問等には一切お答えいたしかねます。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。あらかじめご了承ください。




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木内菜穂子
この記事を書いた人
木内菜穂子

※本著者は楽天カード株式会社の委託を受け、本コンテンツを作成しております。

金融機関や税理士事務所勤務での知識を生かし、FP1級、AFP、日商簿記2級などの資格を取得しました。現在は、金融・保険をメインとしたライターとして執筆活動をしています。お金に関する情報をわかりやすくお伝えできるよう日々努めています。

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