Question
住宅ローン控除について
年齢:30代
職業:会社員
世帯年収:800万円~1000万円未満
ペンネーム:あや
既にまとまった資金があり、いつでも頭金として入れられる状態であれば、特に今年の購入においては慌てて頭金を入れる必要性は低そうです。
現在、住宅ローン減税では、年末のローン残高の1%(通常の中古住宅だと40万円が上限)が10年間か13年間、所得税や住民税から控除されます。当初、5,000万円の住宅ローンを組んでいても、返済が進むと、年々、年末のローン残高は減っていくため、上限額である40万円に近い減税を毎年受けようとするならば、控除が受けられる期間中は頭金を入れたり、繰上返済をしたりせず、年末のローン残高が高く残るようにしても、家計としてはメリットがありそうです。そして、控除が受けられなくなったら、手元にあるまとまった資金を繰上返済するなどすると有利でしょう。
注意点としては、住宅ローン減税は、自分が支払っている所得税や住民税以上の減税は受けられない点です。ローンを組む予定の旦那さまの年収が1,000万円(あやさんが収入がゼロで扶養配偶者と仮定)の場合、所得税は約80万円、住民税は約60万円と考えられ、年間40万円の住宅ローン控除を十分に受けることができそうです。逆に、旦那さまの年収が500万円(あやさんの収入は300万円で扶養対象外と仮定)の場合、所得税約15万円、住民税約25万円と考えられ、40万円満額は受けられない可能性が出てきます(住民税からの控除は最大13.65万円)。
ご夫婦それぞれの収入の状況や扶養家族の状況などに応じて数字は変わるため、判断が難しい場合、住所地を管轄する税務署や、日本税理士会連合会の税務相談で確認をされると良いでしょう。
「特に今年の購入においては」とお伝えしたのは、住宅ローン減税の年末残高の1%という計算方法の見直しが検討されているためです。現在は住宅ローン金利が0.7%など、1%を切る低金利で借りられていたとしても、年末残高の1%を控除対象の金額のベースとして減税がなされています。そのため、年間で支払う金利よりも減税される金額が高くなる場合があり、年末にローン残高を高く残しておくことでメリットが出るケースがあります。
この状態は適切ではないという見方があり、実際の支払い利息分だけを控除対象とする内容も検討されており、来年以降、計算のルールが変わる可能性があります。その場合、支払う利息以上には控除されなくなる可能性があるため、住宅ローン減税との兼ね合いを考えず、家計が適切に回る方を選択するという判断にもなりそうです。
住宅ローン減税を加味しなくても、現在は利息は低いため、無理に頭金や繰上返済を検討しなくても良いという考え方もあります。一方で、手元にまとまった資金があることで、お財布の紐が緩んでしまうと感じる家庭もあります。数字的な部分は確認しつつも、我が家の家計の性格にとって概ね有利な方法はどういう状態なのか検討されると良いですね。
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風呂内亜矢さん
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。
26歳のとき、貯蓄80万円でマンションを衝動買いしたことをきっかけに、お金の勉強を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し賃料収入を得ている。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか(祥伝社)』、『ほったらかしでもなぜか貯まる!(主婦の友社)#なぜたま!』などがある。
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