Question
持ち家は本当に資産になるのか
年齢:40代
職業:会社員
世帯年収:600万円から800万円未満
ペンネーム:エム
住宅が資産になるかどうかはエリアや構造、仕様などにもよりますが、「住まいであること」や「人生全体の居住費をどうコントロールしたいか」という視点であれば、必ずしも資産性が高いことだけが重要では無いとも言えます。
例えば、購入した持ち家が高く売れる状況下で自宅を売却した場合、どちらにしても住む場所が必要です。売却して手元に入ったお金で賃貸暮らしをすることもできますが、別の自宅を購入する場合は、値段が高くなっている市況のため、新しい自宅を購入する価格も高くなる傾向にあり、自宅を高く売却できたからといって単純に「得だった」とは言いづらい状況になります。
そのため、ずっと住み続けることを目的とした物件については、資産性や含み益よりも、「住み続けられる」という事実や、「今後の住居費をある程度読める」ということが大きなメリットと言えそうです。
賃貸住宅の方が、結果的に総コストが抑えられたということになる可能性はありますが、将来の賃料水準がどのように推移するかを十分に読むことは難しいでしょう。加えて、セカンドライフ以降、自分がどのくらい生きるかがわからないため、その分の家賃を確保することも、変動幅が大きく算段はやや難しくなります。
購入物件の場合も維持費がかかるとはいえ、月2〜3万円の修繕費等の支出を見込むのと、月10万円などの賃料の継続を見込むのでは、セカンドライフ資金のめどを立てる難易度も格段に変わります。
今、高齢者でも賃貸住宅を借りやすくするよう制度や市場が形成されている過渡期ではありますが、少なくとも現時点では、高齢者だと選べる物件が少し絞られてしまう状況もあり、自分が高齢になったときに、本当に賃貸住宅を借りられるのかという不安も多少残ります(もちろん多めにお金を払える状況を作るなどして選択肢を広げることは可能です)。
購入にも賃貸にも良い点、注意点があげられますが、算段のしやすさという点においては購入に軍配があがりそうです。
なお、現在は低金利の環境が続いているため、ローン返済の利息が大きく感じている場合には、借り換えを行える金融機関がないか、検討されるのも良いかも知れません。最初に借りた時よりも勤続年数や年収が上がっている場合は、より条件がよい住宅ローンに変更することもできるかもしれません。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳のとき、貯蓄80万円でマンションを衝動買いしたことをきっかけに、お金の勉強を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し賃料収入を得ている。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか(祥伝社)』、『ほったらかしでもなぜか貯まる!(主婦の友社)#なぜたま!』などがある。
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