Question
引き継がせる相手がいない場合、相続や財産の処分はどうなるの?
年齢:40代
未既婚:既婚
子ども:なし
職業:会社員
世帯年収:1,000万円~1,200万円未満
ペンネーム:オリーヴ
民法で定められた法定相続人には順序があり、配偶者は必ず法定相続人になり、配偶者とともに法定相続人になる順番として、1番目が子供や孫、2番目が親や祖父母、3番目がきょうだいや甥姪となっています。
オリーヴさんが気にされている事態だと、配偶者も、1番目も2番目の法定相続人も存在しないことになるため、何も備えずに亡くなった場合、きょうだい、きょうだいが亡くなっている場合にはその子である甥や姪が法定相続人になります。
甥や姪もいない場合は、家庭裁判所が選任する「相続財産管財人(地域の弁護士など)」が、相続人や、債権者(オリーヴさんにお金を貸している人など)を探しますが、そうした対象者も見つからない場合、財産は国庫に帰属することになります。
自分の資産に意思を反映させて処分したい場合、やはり、遺言書を残すことが必要です。お世話になった人や、応援したい活動を行っている団体への遺贈などで自分の考えを反映させる選択もあります。2019年は、相続に関する法律が大幅に変わる年で、遺言書もこれまでより取り組みやすくなりつつあります。
遺言書には、大きく、自分で書く「自筆証書遺言」と、公証役場に出向いて作成する「公正証書遺言」があります。「公正証書遺言」は、手数料や立会人の調整などコストや手間がかかり、「自筆証書遺言」は自分で準備できる手軽さがあるものの、すべて直筆で書く大変さや書類の様式を誤り無効になる恐れなどもありました。
2019年1月13日に施行された改正では、自筆証書遺言について、財産の一覧をリストアップする「資産目録」については通帳のコピーや、パソコンでの作成も可能になりました(本文は直筆)。
また、2020年7月10日施行予定の改正では、自筆証書遺言を法務局に届け、保管してもらえる制度もスタートします。この際に、遺言書の様式を満たすかの確認も行ってもらえるため、自分一人で書き有効なフォーマットを満たしているのかと感じる不安を軽減できるようになります。
なお、遺言書を残しても、法定相続人が本来受け取れるはずの半分など、一定の財産を請求できる遺留分がありますが、第三順位のきょうだいや甥・姪には、遺留分を請求する権利はありません。
家族の形が多様化しているため、若いうちから自分の財産を誰にどのように譲りたいのかを考えることは、より重要になってきそうですね。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳のとき、貯蓄80万円でマンションを衝動買いしたことをきっかけに、お金の勉強を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し賃料収入を得ている。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか(祥伝社)』、『ほったらかしでもなぜか貯まる!(主婦の友社)#なぜたま!』などがある。